校庭のすみ、その奥にはレンガで造られた小さな長方形の花壇が1つある。
ずっと誰の目にもとまらなかったのか、もう何十年も手入れがされていないようだった。
私は1か月前、偶然その花壇を見つけた。
せっかく造ってもらったのに、土ぼこりや泥にまみれて埋もれるのは悲しい。
そう思い、まず最初に花壇の中の草を抜き、レンガの汚れを落としてきれいに拭いてみると、ぴかぴかとまではいかないけれど見違えるほどきれいになって、すごく嬉しかった。
そして、試しに1つ、花の種を埋めて育ててみることにした。
しかし、何日たっても出てこない芽に、私は日に日に期待が薄れ、とうとう諦めかけてしまった。
それでもやっぱり諦めきれず、その後も水をやり続けていたら、今朝、やっと待ち望んでいた姿がそこに現われてくれた。


「やった…お昼休みにお祝いをしようね。」


私はルンルンという言葉が辺りに飛び交ってるんじゃないかといううくらいご機嫌で、まだかなり先にあるお昼休みがとても待ち遠しい。
友達からも”何かいいことでもあった?”と聞かれるほどで、その度に私はえへへと笑いごまかす。
なんとなく、あの場所を独り占めしていたかった。


キーンコーンカーンコーン


4時間目の授業の終わりを告げるチャイムとともに、私はいつも通りお弁当を持ち、いつもより早くて軽い足取りで教室を出る。
行先はもちろんあの花壇。
花壇につくと、淵のレンガの表面を手で払い、そこに大きめのハンカチを置き、その上に腰かける。
可愛い芽を眺めながらお弁当の包みを開こうとしたその時


「ねえ、僕も一緒に食べていい?」


突然の声に驚いてバッと顔をあげると、そこにはクラスメイトのレン君が笑顔で立っていた。

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フラワーハート~恋という名の種~(仮名)

閲覧数:134

投稿日:2012/01/11 13:47:51

文字数:726文字

カテゴリ:小説

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  • tiger_love

    tiger_love

    ご意見・ご感想

    投稿ありがとうございました。
    花壇を鍵にして、いい方向に行くと思います。
    ただ、本文中の「レン君」を「レン」にして欲しいです。
    会話文のときのみ、ミクが「レン」と呼ぶようにお願いします。


    突然の声に驚いてバッと顔をあげると、そこにはクラスメイトのレンが笑顔で立っていた。

    「レン君!? どうしたの?」

    2012/01/11 17:52:11

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