グリーンライツ・セレナーデ【二次創作】
「ああ、今日もなかなかアイデアが浮かんでこないっ!」
マスターはいつも、私の前でそんなことを言ってきます。
しかしながら、私には何も出来ない。
応援でも出来れば良いのですけれど。
「何かいいアイデアでも浮かんでくれば良いんだけれどなあ」
そう言い出して、マスターはパソコンを操作し出します。
そうすると泊まりません。あっという間に夜は明けて、朝になります。
「ああっ、急いで仕事の支度をしないと!」
マスターはどたばたしながら、部屋を出て行きました。
マスターと私の間には、フィルムの壁があるだけ。
でもその壁を通り抜けることが出来るとしたら――。
出来るとしたら――?
◇◇◇
帰ってきたマスターを出迎えるのが、私のおつとめみたいなものです。
「お帰りなさいっ! マスター」
「おう、ただいま。……って、ええっ? どうして実体化できているわけ?」
「うーん、何ででしょう……。マスターを応援したいという思いが生んだような」
「それだけ!?」
「それだけですけれど! でも応援したいというのは事実です! さあ、マスター! 頑張ってください!」
そう言って私は画面に戻ります。
「戻れるんだ……」
「さあ、走りましょう。マスター」
「……、」
「いつか未来が、あなたを照らし出すまで!」
そう。
いつかきっと、誰かが見てくれているはず。
その『誰か』になりたかったんだってこと。
私は言いたかったけれど、そこまで強くは言い切れなかった。
私はその役割を果たすことが出来るだろうか?
私は隣にいたい! それでいいじゃあないか、初音ミク!
そんな自問自答をしながら、私は思うのだった。
「でも、俺には何も浮かばないんだよ。君の応援は有難いけれど」
「もし、マスターの持っている『魔法』で新しい世界を作れるとしたら?」
「え?」
「世界を作れるのはマスターだけなんですよ! だから、諦めないでください。私はずっとマスターの笑顔を、輝く顔を見ていたいんですから!」
私の言葉は、届いてくれるかどうか分からない。
けれど、その言葉は本当だって事。気づいて欲しい。
そして、マスターは、笑みを浮かべて、言いました。
「……そう言われちゃあ、頑張るしか無いよな!」
「そうです! マスターの魔法でみんなを笑顔にしてください!」
「魔法って……いったい何だ?」
「何でしょう? マスターの目の前にはどんな歌だって歌うことの出来るボーカロイドが居ますけれど」
「俺にとっての魔法……? 俺に出来る事って、音楽くらいしか」
「何だって良いんです! 頑張れば良いんです! もし堪えきれないなら泣いたって良いんです! いつも、私は傍に居ます」
◇◇◇
それから、マスターと私の『魔法』作りは始まりました。
孤独で涙を流した日もありました。
けれど、私は傍でいつも声を聞いていました。
二人だけの秘密だってたくさんあります。ここで言うのも、どうかと思うので言いませんけれど。
けれど、マスターは一歩ずつ、一歩ずつ歩み始めました。
歩みはやがて小走りに、小走りはやがて走りに変わりました。
マスターと私は二人三脚で、『魔法』を作り上げていきました。
ずっと、ずっと、あなたにもっと力を上げたくて。
きっとたくさんの『マスター』がたくさんの『魔法』を作ってくれるでしょう。
そして、私はその『魔法』のお手伝いが出来れば良いのです。
どこかで出会えるあなたにも、遠くで手を振っている君にも。
誰にも真似できないようなあなたを、間近で見たいから。
――だから、傍に居させてください。
グリーンライツ・セレナーデ【二次創作】
泣いた。
気づけば書いていました。
とりとめの無い文章になってしまったのは否めませんが、お蔵入りするのもどうかと思ったので。
原曲:http://www.nicovideo.jp/watch/sm33480697
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