【小説】wo R ld's end 02

投稿日:2010/02/23 13:53:25 | 文字数:2,743文字 | 閲覧数:257 | カテゴリ:小説

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Rはこんな感じの設定です。芸能界にはまったく詳しくないのであちこち捏造というか、あり得ない設定を多々含んでいると思われますが、その辺はご容赦ください。

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TEXT
 

「あぁもう! なんであたしが仕事ある日に限ってホームルーム長引かせんのよあの担任はっ!」

 あたしは必死で走っていた。校門までの距離をこんなに長く感じたことはない。――そこ、マラソン大会のときの方が長く感じただろうとか突っ込まないでよ。

「リンちゃーん!」

 校門の外で黒塗りの車が待っていて、その中からミク姉が顔を出した。

「早く早く!」

「分かってるよ!」

 運転手がドアを開けてくれるのを待たずに、勝手に開けて飛び乗る。もう、間に合わない。

「学生でアイドルってのも大変だね」

 他人事のように、ミク姉が言う。ミク姉の方がずっと売れてるアイドルでしょうが。

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 あたしは、とある有名アイドルグループのメンバーだ。

 元々はメイコ姉とカイト兄のユニットだったらしいけれど、ミク姉がそこに入り、あたしとレンが入り、ルカ姉が入って、今の六人になった。
 元々、メイコ姉とカイト兄も別々に活動することが多かったらしいし、今でもそれは変わらない。あたしとレン以外のメンバーが、一緒に仕事をすることは珍しい。

 それなら、どうして「グループ」という扱いを受けているのか。

 それは、あたしたちは歌手であり役者であるのと同時に、他のメンバーのマネージャーでもプロデューサーでもあるという、特殊な集団だからだ。
 元々、メイコ姉が売れていたときにカイト兄が暇だったために始まったというその制度は、全員が売れっ子になった今でも続いている。
 たとえば、今日はあたしがモデルとして仕事をして、トップアイドルのミク姉があたしの手伝いをするのである。

 それに、あたしたちは、六人全員で一緒に暮らしている。
 あたしやレン、ミク姉は未成年で親もいるけれど、もうグループとしての生活が長すぎて、こっちの方が本物の家族みたいになっている。
 なんてこと、口が裂けても親には言えないけれど。

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 撮影場所に滑り込むと、すでに撮影が始まっていた。

「あーらら」

 笑いながらミク姉は頬に手をやり、のほほんとそんなことを言う。
 何故、被写体が到着していないのに撮影が始まっているのか。理由は簡単だ。もうすでに、カメラの前には可愛らしい金髪の少女が立っていた。

「見事だねー。ね、リンちゃん」

 そんなこと言われても、どう答えればいいのか。あたしは溜息をついた。
 また、だ。

 少女は、この世のすべての男に通用するであろう、可憐でかつ妖艶な視線をカメラに向けた。あたしには、どっちともない。
 あたしが遅れたのが悪いのだけど、まったく、腹が立ってくる。なんで、「男」があたしより可愛いんだ。

 あたしとレンは、とにかく外見がよく似ている。世間一般には、双子として認識されている。
 だけど、それは違う。

 あたしがアイドルになったきっかけは、病弱な天才子役の代役として、偶然見つけられたことだった。その子役というのが、レンだ。
 つまり、あたしたちは、「外見が似ていたから出逢い、一緒に活動している」のである。

 でもまさか、十四歳にもなって、まだ誰も、二人の区別がつかないとは。
 むしろ、レンが代わりに撮影した方が、男受けがいいくらいだ。そして、あたしがレンの代わりに撮影した方が、女受けがよかったりする。
 もういい加減にしてほしい。

 途中で休憩が入って、レンは何も言わずに影へ行った。あたしはそれを、スタッフに気付かれないように追いかける。
 ミク姉が笑顔でスタッフに近づいて、時間稼ぎ。もう、何度これを繰り返したことか。

「レン!」

 名前を呼ぶと、完璧に女装をしたレンは、気だるそうな瞳をあたしに向けた。そして、無言で衣装を脱いで投げつけてくる。一目で男だと分かる、乱暴な仕草。

「いい加減、時間どおりに着けよな」

「仕方ないじゃない、中学生なんだよあたし!」

「知るかそんなん。俺だって学校終わってから来たんだぞ」

 それはそうだけど、あたしとレンは通っている学校が違う。あたしが行っているのは女子校で、レンが行っているのは男子校。
 それに、授業態度も成績も悪いあたしは、基本的にサボタージュが不可能だ。普段から猫かぶっているレンは、その辺の融通がきく。
 あたしもレンも担任が男だし、つまりあれだ、レンの方が男受けがいいんだ。悲しいことに。

「いいからさっさと着替えろ、時間ない」

「いっそ、最後まで撮影したら?」

「次の衣装は腕と足の露出度が高くなる。さすがに誤魔化せない」

 まぁ、スタッフは多分気付いているのだろう。
 少なくとも、頻繁にあたしたちが入れ替わっていることは、業界の人にとっては周知の事実というか、まぁ暗黙の了解なのだ。
 ただ、見分けはついていないというだけで。

 問題は、スタッフを誤魔化せるかどうかより、ファンを誤魔化せるかどうか。
 まぁ、あたしたちは常に「鏡音リン・レン」というユニットとして仕事をしているのであって、よほどのことがなければ個人名義での仕事はしない。
 つまり、最初から「二人のどちらか」という扱いなのだから、別にだましていることにはならない。たまに入れ替わっていることも、ファンには言ってある。それも人気の理由のひとつなのだ。
 でも、明らかに「女装しました」と言わんばかりの写真を載せたのでは、互いにプロとして納得がいかない。

「前は全部誤魔化せたのになー」

 あたしは仕方なく、物陰で着替え出す。
 互いのことを見てはいないけれど、さすがにやばいんじゃないかと思う。年頃の女と男が、こんな場所で一緒に着替えていいのだろうか、と。しかも急いでいるから隠す工夫なんてしていない。

「はい、これ着てね」

「うげ」

 レンは嫌そうに、あたしが着ていたセーラー服を受け取った。レンが着て来た服もどこかにはあるのだろうけど、生憎ここにはない。
 あたしは、レンから受け取った衣装を着た。温かい。それだけで、心臓が高鳴った。
 もう、確信犯なんじゃないかな、この子は。

 顔が似てる? ユニット? 双子?
 そんなの、昔の話だよ。あたしの気持ちは、もうとっくに変わっている。きっと外見だってもうすぐ変わって、入れ替わったり出来なくなる。もういっそのこと、今この場で、顔も声も全部全部変わってしまえばいいのに。
 なんで、気持ちが変わったのに、身体はまだ変わっていないのだろう。まるで、気持ちが変わったのはあたしの方だけなのだとでもいうように。

 あたしは、そっと、胸元のリボンを引き寄せた。レンの残り香を探して。でも、そんなもの、どこにもなかった。

とりあえずいろんなことに手を出しまくってる鏡音廃です。巡音も買ったようです。

マイリス→http://www.nicovideo.jp/mylist/18736642

オリジナル曲の二次創作・派生作品等は、ボカロやPIAPROの規約の範囲内でご自由にどうぞー。

小説の更新が滞ってますが、プロットはちゃんと出来てますよ><

http://hozue.blog-fps.com/

http://sns.cv02.net/?m=pc&a=page_f_home&target_c_member_id=2229
http://v-nyappon.net/?m=pc&a=page_f_home&target_c_member_id=12234

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2010/2/17 追記
HNを秋穂(あきほ)から穂末(ほずえ)に変更しました!

2010/7/18 追記
ニコ公開三曲目となる「水鏡プリテンス」で、P名を頂いてしまいました(ありがとうございますっ)。

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一応、お仕事やコラボのことに関して書いておきますね。以下の文章は、状況によってコロコロ変わります。

現在、曲・絵の新規依頼は受け付けておりません。交流のある方(複数回のメッセージ交換が目安)からの依頼ならば検討しますのでご一報お願いします。
作詞ならば依頼を受け付けられますが、依頼理由はきちんとお書きください。

一つの作品を仕上げるまで根気強く手伝ってくださる(ここ重要)絵師さん、動画師さんは常に募集しています。
また、作品ごとにイラスト募集を(突発的・〆切あり)することがあります。

コラボはお互いに本気じゃないと自然消滅するだけですので、やるなら本気でやりましょう。一報したうえでの延期・降板は受け付けますので。

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