ねぇ

人はいつか忘れるようにできているらしい
痛みも
声も
温度も
それでも夕方になるたび
僕の世界だけは止まる

駅へ向かう道
踏切の音
帰り道の匂い
何一つ変わっていないはずなのに
君だけがいない
何度も前を向こうとした
新しい靴も履いた
新しい朝も迎えた

だけど、
夕焼けだけはいつも残酷だった
綺麗だから苦しい
苦しいから目を逸らせなかった

坂道の途中で立ち止まる
誰も僕を待っていない
笑い声が遠くで響くたび
ひとりだけ季節を間違えた
君が残した言葉より
言えなかった言葉ばかり
胸の奥で今日も静かに
呼吸を続けている

「もう平気?」
そんな一言で
終われるような今日なら
こんなに長く夕焼けを見ていない
夜が来れば終わるはずなのに
僕だけが終われない

橙の光が網膜に焼き付いて
君がいた今日だけ消えてくれない
忘れたいわけじゃない
忘れられないだけなんだ
どうしてこんなに綺麗なんだよ
こんなに苦しい世界なのに
君のいない明日ばかりが増えていく

何度季節が巡っても
あの日だけ置いていかれた
歩幅を合わせる相手もなく
影だけが隣を歩く
優しくなろうとするたび
弱くなった気がしていた
泣かないことだけ覚えて
涙の場所を忘れていた

「生きていればいい」
そんな言葉じゃ
何も救われなかった
僕が欲しかったのは
答えじゃなくて君だった

ねぇ

もし今日が あの日の続きなら
僕はまだ ちゃんと悲しめているのかな

橙の光が網膜に焼き付いて
目を閉じても君が消えない
君を失ったあの日だけ
世界は動きを止めたまま
どうして今日を終わらせるたび
君は遠くなってしまうんだ
それでも夕焼けは何も知らずに笑っていた

忘れることが生きることなら
僕は少し下手だった
だから今日もこの空を見上げる
君がいないことだけは
まだ覚えていたいから

あの日の君は今も綺麗だ

橙の光が網膜に焼き付いて
君がいた今日を離せない
悲しいからじゃない
大切だっただけなんだ
明日が僕を連れていっても
夕焼けだけは置いていくな
この胸の奥で暮れない空を
何度でも生きていく

明日もきっと夕焼けは綺麗だ
だからまた少しだけ苦しくなる

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

橙、暮れないで / 歌詞

知声に歌ってもらった
"ボカコレ2026夏ルーキー投稿楽曲"の歌詞になります。

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投稿日:2026/08/21 19:02:14

文字数:916文字

カテゴリ:歌詞

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