きりきり、音がする。
 わたしの頬を撫ぜる温かな温度に誘われるように瞳を開けば、碧眼が優しげに微笑う。
応じるようにまばたきをすると、頬にあった手は頭へと移る。そうして離れていく瞬間、ゆるりと襲う寂しさにも、いつの間にか慣れた。



「おはよう、ルカ」



青空に透けてしまいそうな柔らかい青は、そういえば伸びたと思う。きらきらと光るそれになんとなく目を細めると、不思議そうに首を傾げられた。
それがなんだか可愛らしく見えて、くすりと笑ってしまった。

なんでもないの。それでも納得のいかないような顔に、肩をすくめてみせる。



「カイトの髪がきらきらして、きれいだなって思っただけよ」



上質の絹糸、緩やかに風と靡くカーテン。それらと似た、柔らかなわたしの声。
当たり前だ、わたしは歌うためにつくられたのだから。
それが存在意義なのだから。



「ルカの髪だって綺麗だよ」



そう言ってわたしの腰まで伸びる薄紫をすくい取る。わたしのつくりもののそれは嘘のように優しく煌めいて、まるでわたしを責めているよう。愚かしく罪深い、わたしを。





ああ、わたしは目の前で微笑むこのひとを、いつのまにか愛していた。











ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

また、明日。 #1

連載してみようと思います。
お人形さんはルカちゃん、ご主人様はカイト兄さんです。
うちの中では落ち決定してるのですが、書いてるうちに方向が変わるかもしれないなあ。
変わらないように書ければと思います。
頭にあるラスト、結構気に入ってるので。

連載というものは初めてなので、生温かい目で見守ってやってください。
優しさと愛しさを、伝えられたらと思います。

閲覧数:145

投稿日:2009/07/05 17:54:18

文字数:526文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました