-第二十二章-
「ああ、そう。よくわかったわ。大変だったわねぇ」
別に大変でもなさそうな声で、ルカは言った。
「あ、うん。まあね」
ふう、とルカが天を仰ぐようにため息を漏らすと、レンがそれを真似るように天井を見上げた。真っ白い天井に所々黄ばんだ部分がある。みていて面白いものではないが、無言の時間は、こうでもしていないと酷く気まずいのだ。
「そういえば、レン。あの子――リンといったかしら?あの子の願いって、何なのかしら?あんなに熱心に、何を願っているの?」
「――さあ?けど、リンには、両親がいないらしい。小さいときに両親が離婚して、母親に引き取られたけど、その母親も一年位前に亡くなってる。姉のメイ姉は、リンを養うために働きづめで、家に帰ってくることも少ない。だから、知り合いの探偵事務所に転がり込んでるんだけど、たまに母親の写真を見てぼうっとしてるから、もしかしたら、そういうことかもしれない」
そういって、レンは表情を暗くした。
「――そうですか。…いつかの誰かさんと同じ…純粋に誰かを好いていただけなのに、結局は自分が傷ついている。ねえ?」
「…わかってるよ」
「前にも言いましたが、彼女を守りたいと思うのなら、このあたりで手を引くことが最善の方法ですわ。まだ、記憶は残っています?」
「うん、まだ、かすかにね。もう、彼女の顔も思い出せないけど、あの時の兵士たちの無様な死に際は、いつでも鮮明に思い出せるんだ。…やっぱり、俺はまだ、帝国を許してはいないし、あの時の帝王から代替わりしたといっても、恨みは晴れない。だからこそ、今回はチャンスかも、と思ってしまう。――リンを利用してでも、あの時の恨みを晴らそうとしている自分がいる」
そういって、レンは両手を組み、ひざの上においたまま、うつむいた。
声はかすかに震えていた。
少し歩いて、リンはふと、メイトに問いかけた。
「じゃあ、レンの願いは、その彼女を生き返らせることだったの?」
「うん?あ、いや、レンの願いは…自分を殺して欲しいって。そんなことをした自分が許せないから、でも、自分で死ぬのは勇気が出ないから、殺して欲しい。って、そういってきた」
「…なんだか、可哀想…」
「それ、レンにはいうなよ。アイツ、同情されんのとか、大ッッッ嫌いだから」
「は、はぁ…」
あんな優しそうな面して、同情されるのがキライとは、善人面もいいところではないか。そう思って、リンは喉もとまででかかった言葉を飲み込んだ。今は、レンの文句を言っている場合ではないのだ。
「…私、両親が居ないんです。父親は離婚して、母親は一年前に死んじゃったから。だから、私、母さんを生き返らせて欲しいって、お願いするつもりだったんです。けど、ちょっと気が変わりました」
「じゃあ、何を願う?」
「…ひみつです」
「…。あ、そう」
メイトは両手をズボンのポケットに突っ込んで、広く晴れ渡った空を眺めた。大きな雲が、ゆっくりと流れていった。
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鏡(キョウ)
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ご意見・ご感想
リオン
ご意見・ご感想
こんばんは!一個、看板が混ざってますけど、あえて突っ込まないで起きますね★
毎度毎度、返信が遅れますが、みずさんこんばんは。
リンは気が変わって、レンを自分だけのものに…。あれ、可笑しいな、屋内なのに酸性雨が。
あはは、誰がやってるんでしょうねー。(棒読み)
やっぱあれです。ダメイトですかね。
メ「ヘタレじゃねぇよ!何で俺がレンのとばっちりを受けなきゃなんねーんだよっ!?」
レ「そりゃーまあ、俺の兄貴だし、うん、ヘタレだし」
メ「レン、いたのか。…俺って、やっぱりヘタレなのかなぁ?(うるうる)」
レ「…そんなに気にしないで、ね。…何、やってるのさ?」
メ「いや、心臓を狙ってやってるんだけど、なかなかうまくいかなくて」
レ「…。」
どうやら、犯人はメイトだったようです。ヘタレって言われたのがそんなに悲しかったのでしょうか。
頭より、心臓を狙われていたようですね!(清々しい笑顔)
大丈夫です!肺に刺さったらもっと大変ですから!
では!
2009/10/16 20:37:22