「お父様、早く帰ってこないかな」
大好きなお父様は、私を外に出してくれない。
だから私は外の世界なんて何も知らない。
でも別にそれでもいいの。
だってお父様が「外は危ないことがいっぱいあるから出ちゃだめ」って言ってるんだもの。
ならば私はそれでいい。お父様はいつだって正しいのだから。
この部屋の中には、あなたと私だけしかいない。
物と言えるようなものもなく、者と呼べるような者もおらず。
この空間に存在するのは、「私」と車椅子、「あなた」と笑顔。
それに窓から差し込む一筋の光と、ふかふかのベッド。
ただそれだけ。人が生活するにはあまりにも、何も無さ過ぎるただの空間。
家の中で何をするわけでもなく、外に出かけることも全くせず。
本を読むこともせず、ぬいぐるみで遊ぶこともせず、絵を描くこともしない。
何もせず、陽の光を感じて物思いにふけるだけ。
その行為はまさに「人形」。そこに心や感情が存在するかといえば、イエスとは答えられない。
だけどね、それでも私は幸せなの。
お留守番してじっとして、いい子でいたら、お父様は褒めてくれるの。
お父様が嬉しいなら、私も嬉しい。
外の世界なんて知らなくたって、私はこんなにふわふわした気持ちになるのだから。
二人で唄を歌い続けましょう。
この幸せな日々が続く限り、世界が果てるその日まで。
いつか来るであろう終末の日まで、二人の「宴」を続けましょう。
あなたがそれを望むなら、私はそれに従います。
それがきっと、正しいことだから。
<<【箱庭の少女】少女人形と楽しい終末【二次創作】>>
「るりらーるりらと響く唄ー」
今日も私は歌う。耳を澄ますと、小鳥のさえずりが聞こえてくる。
いいねえ朝だねえ。休日って感じがするねえ。
でも私にとっちゃ毎日が休日なんだけどね!
誰だ今引き篭もりの自宅警備員とか言った奴!出てきなさい!
私のツインテールアタックをくらうがいい!事実なのは否定しないけど!
それはさておき、私が今何してるのか知りたい人ー?
手ーあーげて!
……何よ、誰も手上げないの?ふーん…。
【自主規制(いっつお仕置きターイム☆)】
うんうん、皆手上げてるわね?
やったあ素晴らしい!私は優しい優しい皆に仲良くしてもらってとっても幸せね!
じゃあ正解発表!
お父様を待ってまあーす!イエーイ!
「あのね、あとちょっとしたらお父様が帰ってくるの!」
もう嬉しいのなんの!
でもやっぱり最近は退屈でね、ただ窓の外を眺めるだけじゃ飽きちゃうのよー。うん。
だからね、私は新しい遊びを編み出したのよ!
『どうでもいいけど、今度は何も壊さないでほしいわ』
「あらら、そうだっけ?気をつけるわね」
赤いグラスの呟きに私は首を少し傾げて答える。
赤いグラスはものわかりがいいから、楽しく話しやすい。
うんっと、ちょっとお話をするわね。
お部屋には何もなかったんだけど、ずっと何もしない私を心配して、お父様がいろいろなものを置いていったの。
文字の読み書きを教えてもらったから、本がいっぱいある。
いろいろなものを残したいから、紙と書くものがある。
その他にも、赤いグラスに青のスプーン、そして黄色い枠の二対の鏡。
楽しいものがいっぱい!うわあい!
「毎日楽しいな、うふふ」
『今日は何をして遊ぶんだい?』
「うっさいわ黙ってろお前なんか『イリュージョン!』とか言ってスプーン曲げをするはげたおっさんの餌食にされてしまえこのカレー臭」
『酷くない!?僕だけ扱いが酷くない!?僕別に曲げられたり珍しがられたりするつもりないからね!?あとその人選何!?そのチョイスなんの恨み!?カレーを食べるための道具にならないよ!?』
「ねえ知ってる?主に50歳代以降の男女にみられる特有の体臭の俗称で、30代 - 40代にみられる、おやじ臭(おばさん臭)と混同されるが実際には全く異なるのよ?」
『なんで加齢臭の定義について詳しく教えてくれたのかな!?別に悪口じゃないよね!?ポジティブに受け取っていいよね!?』
「この体臭成分は青臭さと脂臭さを併せ持ってね、加齢臭は男性のみの症状との誤解も多いけど、元々は臭いや体臭に敏感な女性向け商品開発の研究のために発見された物質の一つなのよ、それでね」
『宇和ああああああああああああああああああああああああああああああああ』
いい感じに青いスプーンが泣いたから説明終了。うっは、ざまあ。
ちなみに○iki先生に教えてもらったよ。
青いスプーンなんかどうなろうと知ったことじゃないのよ!
あ、ちなみに黄色い鏡?うーん…
「じゃあ改めて今日の遊びは、これです!ででどん!」
『…それは何かしら?』
「これ?お父様の鞄から盗ってきtごほんごほん、落ちてた!」
私が掲げたのは裁判に使う木槌。
まあ、見た目はハンマーですよね。そこで、
「今日は窓を割って遊ぶよ☆」
『悪い子おおおおおおおお!!!!!やめんしゃい!!!!危ないしいい子の皆さんには見せられない画面になるからやめんしゃい!!!!!』
「むむー…授業中に喋るとは何事だ!そんな子は…」
ガシャーン!
「こうしちゃうぞ?」
ん?私が何をしたかって?
あれよ、でこピンで隣の家のテレビの内部ぶち抜いて炎上させただけよ?
説明しよう!私は右手の指先に強力な気をためて放つことで、狙ったものを空間を越えて粉砕・消滅させ、炎上させることができるのだ!
どうやって習得したかって?えっとね、今日本番前に台本パラパラめくってたらできるようになったのよ。
だからこれアドリブよ。これ、皆には内緒よ?
『怖い!あんた魔術師かよ!どうやってもそんなことできねえだろ!台本めくってもそんなことやれねえよ!あんたの指先は兵器かよ!』
「へえ?まだ文句あるんだ?」
『ないですごめんなさい手を下ろしてクダサイ』
「わかればよろしい」
恐怖によるトラウマ植え付け完了。
うふふ、力こそ正義よね!
ちなみに黄色い鏡は従わなかったから、この力で鏡を内側から粉砕してあげた。いりゅーじょん!!!!
あ、破片はgiftの材料にしてやった。うふふのふ。
「さ、窓を割ろっと」
『いや、でもそれはよくないよ』
「うるさいなあ…ちょっと、黙ってよ」
スプーンをへし折って投げ捨てる。
うん、最後までうるさい奴だったなあ。
「ただいまー」
「あっお父様!お帰りなさい!」
そんなこんなで、お父様が帰ってきた。
今日は窓割り中止ね。
「あれ?お父様、顔色が悪いわよ?」
「あぁ…実はお父さん、今日お仕事やめたんだ」
「え!?どうして!?」
「はは…いらないから、クビにされちゃったよ。新しい仕事探さなきゃな」
その言葉を聞いて、私はとても驚く。
「新しい仕事探しちゃうの?」
「じゃないと、君の足を治すためのお金がないからね」
「へえ…私と一緒に、いてくれないんだ?」
あくまでも、私よりお仕事なの?
お父様は私のこと嫌いなの?
へえ、そうなんだ…そうなんだ。
「大丈夫、金さえたまればずっと一緒にいられるよ」
「そう…言い訳するんだ?」
「え?」
ソウナンダ。
私ト一緒ニイタクナインダ?
ナンデ?娘デショ?
ナラ、モット大切ニシナサイヨ。
「お父様、今お外に沢山人がいるんでしょ?お父様が騙した、普通の人たちが」
「な…」
「私知ってるのよ。お父様は大金をもらって、裁判を私物化していたんでしょ?悪いことだ悪いこと!」
暗い寝室と窓の景色が世界の全てだった。
でも文字を教えてもらった、だからお父様のこといっぱい調べた。
そしたら悪いことがいっぱい出てきた。
お父様はいつでも私に優しいけど、外の世界のことは何一つ教えてくれなかった。
それは私の足を治すために頑張っているからだと思っていたけど、自分の罪を隠し通すためだったと私は知った。
隠していたのは、そういうことでしょ?
「部屋の皆は『僕らと君は似た者同士』って言ってた。違う、私には感情がある。手がある、心がある。そして…」
「誰よりも純粋な、悪意がある」
ならばその悪意の元で、あなたの罪を裁いてあげましょう。
「そして今日、あなたの行動に民衆が耐え切れなくなり、内乱が起きた…」
「待て、私は何もしていない!なのに何故…お前が…!」
「お前?娘に向かって、その口は何?…もういいや、いらない。役立たずのあなたなんか、いらない」
もう捨てちゃってもいいでしょ?
「というわけで、あなたに呪いをかけまーす!」
「えっ!?」
「そーれ!」
私はポケットからgiftを入れた小瓶を取り出し、お父様からパクった木槌で叩き割った。
「ふふふ。これであなたは呪いに苦しむ」
「な、なにをした」
「足の小指をタンスにぶつける、靴紐がほどけやすい、近所の犬にやけに吠えられる、主婦のおばさま方に変な噂を立てられる、白髪が少しずつ増える、の五つです☆」
「地味に嫌なのばっかりだあああああああああああ!!!!!」
ふはははは!ガチで嫌なのを押し付けない、それが嫌がらせの極意よ!
え?悪魔だって?そうよ、私は怠惰の悪魔だもの!当たり前じゃない!
「とどめ」
そして指先に力を入れて、でこピンを放つ。
すると、家のあちこちの家具がふっとび、あちこちから煙が上がって火がついた。
「今この家を燃やしたわ。今のこの状況だもの、内乱で民衆らが放火したと処理されるでしょう。私がやったという証拠はどこにもないわ」
「どうして…どうしてこんなことに…!」
「どうして?そんなの、あなたが罪を犯したからよ」
あなたの罪は、娘を愛しすぎた色欲じゃない。
裁判で私腹を肥やした暴食じゃない。
妻と「娘」を亡くした憤怒じゃない。
民衆を見下した傲慢じゃない。
金持ちの貴族への嫉妬じゃない。
公平な裁判をしなかった怠惰じゃない。
でも、すべてを手に入れようと目論んだ強欲じゃない。
じゃあ何か?
「本当の娘」しか見ずに、人形の私を本当の意味で愛してくれなかった罪よ。
私に誰かの面影を重ねてる?そんなの大罪じゃない。
私はあなたのこと、好きで好きでしょうがなかったのに。
なのにあなたは私を見てくれなかった、じゃあ私はあなたを見捨てていいよね?
「でも安心して、私はあなたを見捨てはしない」
でこピンをもう一発、今度はあなたに向けて。
するとね、お父様の今日の記憶だけが全部壊れるの、素敵でしょう?
倒れこむお父様を抱える。
ああ、きれいな寝顔。今から燃やしてしまうのが勿体無い。
でももうお部屋が燃えているから、どうしようもないのよね。
「ふふっ…これであなたは、私だけを見てくれる」
「そうしたら、冥界の底で二人で、ずっと歌い続けましょう」
「互いが互いしか見ず、互いしか愛さない。なんて素晴らしいのかしら」
私は、お飾りのドールじゃないのよ?
「愛しい娘と二人一緒に死ぬなら、怖くなんかないでしょ?」
私も何も怖くない。
私ってなんていい娘なのかしら。
さあ、そろそろ屋敷全体に火が移ったかな。
最後に私は歌う。
お父様が最後まで決して見せようとしなかった、お父様を壊した残酷な外の世界には聞こえないように。
今、命が尽きるその瞬間まで、あなたのためだけに歌ってあげましょう。
だって、私自身が心の底からそれを望んでいるから。
燃え尽きた屋敷から見つかるのは、孤独な男の亡骸と焼け焦げた人形だけ。
でもここが燃え尽きてしまうそのときまで、私は歌い続ける。
あなたに捧ぐレクイエムを。
【箱庭の少女】少女人形と楽しい終末【二次創作】
テンションに任せた結果、ギャグ要素迷子。
どうもゆるりーです。
大罪ギャグ最終話を書く前に、しばらく間が空いたので練習に書きました。
昔の私はどうやってあんなの書いてたんだろう。
このシリーズをあのテンションで書くのって意外とすっごく難しいんですよ。
というわけで、スランプです。
もしかしたら、魔女ザルムホーファーの逃亡とかクロノ・ストーリーとか書くかもしれませんね。
今回の反省。
・一発書き
・登場人物少なっ!?
・途中急展開
どうしてこうなった。
今回気をつけたことはカイトの扱い。
スプーンもカイト扱いです。最近「カイトの扱いに定評のあるゆるりー」タグがつかないのが悔しいです(実は目標だった)
前のバージョンで、かなりどうでもいいおまけ。
誰も得しないよ☆←
「箱庭の少女」本家様↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3840548
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Turndog~ターンドッグ~
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いつものタイトル前シリアス→唐突のギャグ→安定の青いの→さりげない舞台裏演技しろよおい→ここまでテンプレ→そこからの謎のシリアスギャグ(新しいジャンル誕生)
⇒前のバージョンのおまけで腹筋崩壊←今ココ
真っ白な台本をぺらぺらめくってたらでこピンであらゆるものを破壊する程度の能力を手に入れてしまうんですかミクさんあんたが一番何者ですか!wwwww
先生とルカちゃんが帰ってきたら次はミクさんがヴォカロ町に来いや!ww
うちのミクさんとミク×ミクの大乱闘やりてえよ!wwwww書きたいよ!www
木槌はねー。窓を割るために使うもんじゃねえだよ……
人間の頭を割るために使うんだよ!!!(どんなサイズの話だ
鏡いいいいいいいいい!!!!
無茶しやがって……!! せめて資源ごみに出してやるからな(おい
鏡の欠片からgift? 無重力状態で融解させて表面の金属コーティングも硝子も全部一つにしちゃえば(それただの溶けたガラスと銀
地味に嫌な呪いをっ……
つーかあれか!? giftは藁人形か!www
大方古い藁の香りのするgiftなんだろうな呑みたくねえぞ!www
笑わしてもらいましたが正直言うと確かにスランプな雰囲気有りますねえ……。
やっぱアレじゃないですかねー? ギャグが複雑化しすぎてるんじゃ?
単純なボケと純粋なツッコミが笑いの種!
『ふとんがふっとんだ理論』と言います(それ今作ったろ
2014/04/27 22:37:29
ゆるりー
安定の冒頭文と唐突のギャグと青いのと舞台裏でございます。
新しいジャンル誕生した!w
我が家のミクさんの指先はどうなっているのでしょうか。
でも後日試したら、三日に一回できる程度になったそうですよ。十分怪物。
もういっそ送り込みましょう!シュールな光景になります!
ありがとう鏡。君の勇士を忘れない。
すさまじい状況ですねw
今回のgiftは飲むものじゃないというwww
ああ、やっぱり…。
うーん…難しいですね…。
2014/04/29 19:01:25