<きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社! 第6話 ローラ>

(AD2300年3月14日午後3時・ロシア・ロシア科学アカデミーの発表会場裏)

ザッザッ

レン:前回の21世紀の世界から考えると、24世紀って事になるな。
ミク:ミク~、80年くらい前に、三角錐エンジンを付けた“とらんざむな白いロボット”とかは、出て来なかった設定になっているみたいミク。
メイコ警部:あー、それ、かなりやばい気がするから、スルーするわ。
レン:右に同じです。
ミク:ミク~、じょーだんミク。

レン:さて、それは良いとして(いいのか?)、この時代のターゲットの“永久人工心臓ユニット”の事をタイムトラベル中に調べたよ。心臓、つまり循環器を永久に使える装置なんだけど、これ、残念ながら人間に使える装置じゃないんだ。もし人間に使える装置だったら、頭部を破損しない限り、半永久の命を手に入れた事になるからね。でもそれは出来ないから、機械で作った循環器を含むアンドロイドに組み込んであるんだ。つまりこのターゲットの持つ主“ローラ”というのは、持ち主というより、装置を組み込んでいる“人造人間”なんだよ。
ミク:これまでと全く違うケース、ミク。
メイコ警部:確かに違うわね。勿論彼らは“同等品”を持っていると考えられるわけだから・・・・・はぁぁぁ、また私たち、“フォロー役”なのかしらね・・・・。
レン:それがですね、彼らが本当に“同等品”を作れるのか、わからない代物なんですよ、これ。
メイコ警部:え?。
レン:人間の技術では、“永久機関”というモノは作れないんです。僕たちの時代、42世紀である“4126年”のこの時点ですら、永久機関は作られてないです。だから前回の講義の事も考えると、この装置を“永久”たらしめるための必須技術や必要物質は何だと推測されますか?。
ミク:ミクぅ~、少なくても地球人の技術じゃだめなんだったら・・・・!、ミクっ!。
レン:そう、“地球外生命体の技術”と、その技術によって作られた部品“オーパーツ”だよ。たぶん、物議を醸し出さないために、この発表会でも、絶対に伏せるであろう項目だと思うけどね。

メイコ警部は会場裏にも張ってあった発表会のポスターに目を向けていた。そして読み進めるうちに顔が真っ青になった。

メイコ警部:ちょ・・・・・この成果を発表する研究機関・・・・なんでここがそんな技術を持っているの・・・・。
ミク:ミクぅ~、どうしたの?。
レン:青ざめるのも無理はないよ。何せ発表者が属する機関、それは“警察直下の研究機関”なんだからね。つまり少なくてもこの時代から先、このオーパーツが使われた人智を越える技術が、警察に装備されて来るわけだから。

大人の女性:そう。そして、その“禁忌”を破ったがために、結局、ずっと先の子孫の首を絞める事になるんだけどね。
女の子:全く持って良い迷惑よね。
男性:将棋ですら2手3手、いや100手先、1000手先を考えて1手を打つのにね。浅はかと言うか・・・・。

メイコ警部:か・・・・・・・・怪盗リン一味!!!!!!。
レン:な・・・・・・なんであなた達がここに・・・・。
ミク:ミク!!!、改心してお縄に付きに来たミクか!?。

Dr.ルカ:あなた達サイドだったら、当然そう考えるわよね。
怪盗リン:というかビックリしないはずはないわね。
カイト:やっぱり問答無用でお縄かい?。

メイコ警部:当たり前でしょ!。あの書き置きが本当なら、あなた達に会える機会はあと2回!。チャンスは使ってこそ華y
レン:ちょっと待って下さい。どう考えても“裏に何かある”か“事情がある”としか考えられません。
メイコ警部:泥棒の事情なんて、警察は考えないの!。
レン:なら、相手の術中にはまって、何も情報を得られないで取り逃がしてしまったら?。
メイコ警部:う゛っ・・・・・・。
レン:こんな近距離で会っているのに、潜り込むための変装を全然していないし。つまり、今回は特別な事情があるから、こんな危険なことをしても、僕たちに会いに来た・・・・そうだね?。

Dr.ルカ:さすがレン君、私の見込んだ男の子ね、お姉さん嬉しいぞっ。
レン:あ、その、エト、エトエト・・・。
メイコ警部:レン君!、泥棒の術中にはまってどうするの!。
怪盗リン:でも、レン君の推理はビンゴだよ。
カイト:大当たり、事情があるから、こんな事しているんです。

メイコ警部:はぁ・・・・もう、何がなんだか・・・・。わかったわよ、事情を聞いてあげるわよ。でも、理解できない事情だったら、おとなしくお縄に付いてよね。
Dr.ルカ:わかったわ。約束します。じゃあ、私たちも変装して、ここの休憩所で話し合いましょう。

そういうと、Dr.ルカ、怪盗リン、カイトは、さらっとマントを翻すと、この時代、この発表会に会うように、全員スーツ姿に変装した。

レン:ル・・・ルカさんのスーツ姿・・・・やっぱ・・・いいなぁ。
メイコ警部:れーーんーーくーーんーー、こっちも変装するわよ。
レン:え?、あ、はい!。

レンは、とことんルカさんに弱いようだ。そしてレン達もマシンでスーツ姿に変装した。そして、出来るだけおどおどせず、休憩所に移動した。

(午後3時20分・ロシア・ロシア科学アカデミーの発表会場・休憩所)

移動した全員は、カイトに無料のコーヒー全員分を頼んで、テーブルに持ってこさせた(不憫な子)。

メイコ警部:さて、納得のいく事情を説明して貰うわよ。少なくても警察vs泥棒のスタンスは変わらないんだからね。
怪盗リン:ええ。こちらもそのつもりよ。
Dr.ルカ:まず、今回のターゲットに関するレン君のさっきの調査結果は、全部正解よ。さすが探偵ね。偉いわよ。
レン:あ、ど、どうも有り難う御座います。
メイコ警部:(はぁ~)。
Dr.ルカ:さて、レン君の情報の通り、今回のターゲットには、“同等品にもオーパーツが組み込まれていないとならない”物。つまり、私たちの“99%デュプリケーター(複製機)”ですらも、同等品を作る事が出来ないわ。つまり、“同等品と交換する事が出来ない”案件。だから、交換して入手する事が出来ないから、完璧に盗むしかない。それに、“心臓ユニット“である性質上、盗むのはパーツだけってわけにはいかない。つまり“本人”を誘拐しないとならない事になるのよ。
メイコ警部:ちょ・・・・、ま、まさか、私達にもそれを協力してくれなんて、言うんじゃないでしょうね!?。
怪盗リン:ピンポーーーン!、でも半分だけ正解。
カイト:誘拐するのは僕たちだけで、あなた達は、僕たちが行うことを“承認”してくれるだけでいいんd。

メイコ警部:ふ・・・・ふ・・・・ふざけるな!!!。

メイコ警部は立ち上がって顔を真っ赤にして怒鳴った!。近くにいた来場者が全員、メイコ警部の方を向いた。メイコ警部は冷静さを取り戻し、静かに着席した。

メイコ警部:あ・・・あなた達・・・もう少し考えて言葉を発してよね。警察が“誘拐の承認”なんてできるわけないでしょ・・。
怪盗リン:さっきは言葉の最後で怒鳴られたから言えなかったけど、ちゃんと“承認しなくちゃならない情報”を持っているのよね。
Dr.ルカ:そう、承認する以外の答えが出てこない情報を。

そういうと、カイトは1つのモニターをカバンから取り出した。そしてスイッチを入れてメイン画面から“ローラ”の項目を選んだ。するとモニターにローラと思われる女性型アンドロイドの映像が映った。

メイコ警部:これがそのローラさんね。ほとんど人間と変わらないのね。
怪盗リン:そう、このローラさんが今会場に来ていて、発表の壇上で紹介されるのよ。でもね、これがその情報の1つじゃないのよ。肝心なのはこっち。

そういうと右ボタンを押して、次の映像に映った。そこには・・・・

メイコ警部:な・・・・・ここは警察の格納庫・・・・
レン:ローラさんがいっぱい・・・・・
Dr.ルカ:そう。この同時刻で既に警察は、“量産型ローラ”の“製造技術”と“ライン”と“ある程度の製造”を終えているわ。そしてこの“プロトタイプ”であるローラさんのなれの果ては・・・。

また右ボタンを押した。そこに映し出されていたのは1体だけのローラだった、が、少し違っていた。

メイコ警部:裸の状態で、しかも左胸のユニットがごっそり取り除かれている・・・・。
怪盗リン:そう、警察はこのあと、量産型の技術確立とさらに発展させた機体開発に成功したため、初代のローラは永久人工心臓を取り除かれて“廃棄”されるの。その永久人工心臓も、次世代機の開発のために解体されちゃうしね。
Dr.ルカ:これが今この会場に持ってこられたローラさんの末路。
怪盗リン:発表では“初めて開発に成功”とかいうんだけどね、本当は、“初めてで”発表しているんじゃないの。既に初代ローラの情報は完璧に入手してある“研究の終了段階”で、その一部だけ誇張して発表しているだけなのよ。
カイト:この初代ローラがこの会場からいなくなっても、一応警察が持ってきている“量産型”を公開すればそれで済むこと。この時代の警察は、そういう連中なんですよ。

メイコ警部:そ・・・・そんな・・・・“そういう怪しい連中”を取り締まるのが、警察の仕事じゃなかったの・・・。
Dr.ルカ:この時代からじゃないんだけど、警察直下の研究機関は各時代で極秘裏に“オーパーツ”を大量に入手する事に成功しているの。レン君、どうやったらそんなこと出来ると思う?。
レン:オーパーツは元々、地球外、つまり宇宙由来の素材の事。当然、見つけるのは本来困難。ルカさん達ですら発見するのに苦労していた。それを“大量”に入手するためには、当然“宇宙人から大量に入手”しなければいけません。
Dr.ルカ:Good!。警察直下の研究機関はね、各時代で極秘ルートを使って宇宙人とコンタクトを取っていたの。そして地球の物品と交換で、オーパーツを入手していたのよ。

怪盗リン:でも、それが仇になって、子孫の首を絞めることになったの。

メイン画面に戻り、今度は“6666年”の映像を選んだ。そこに映し出されたのは・・・・

メイコ警部:こ・・・この建物は・・・世界警察本部・・・・。
レン:見事に破壊されてますね。そして周りには異形の生物が横行跋扈してます。

怪盗リン:これは“私たちが来た時代”の風景よ。

レン:え!?。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社! 第6話 ローラ

☆オリジナル作品第4弾である、「きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社!」の第6話です。
☆今回は“超展開”です。
☆“永久人工心臓ユニット”は空想上の物品です。

******

hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct

☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『causality』:http://piapro.jp/content/c0ylmw2ir06mbhc5

☆nonta様も、同じく商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1

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投稿日:2010/03/02 18:48:59

文字数:4,320文字

カテゴリ:小説

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  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    hata_hata様、今晩は!

    > 正にSF的超怒濤の展開!!こうきたかぁああ~っ!

    こうきたぁぁぁあぁぁ!、すんません、叫びました~。はい、こうなりました。もう超展開。悪い意味では昔の某戦隊ヒーロー(オーレ○ジャー)的なヤバさにならないように、気を付けます~。

    > 思いきし覆されましたw

    なんか当方の小説の定番となっている”斜め上展開”。今回はかなり斜めになってましたね。でもそれには”意味”があるのでご安心を。でも推理探偵モノには戻らないと思います。

    > やはり主人公の冠は伊達ぢゃなかったんですね。いままでの影の薄さを補って余りある設定だぁ~w

    はい。いわゆる、前半目立たず、後半返り咲きの刺し馬です。というか本当に存在が消える寸前でしたね。これから彼は真の主役ですよ~!。

    > 次回が待ち遠しい!一体どんな展開になるのか?

    今、尺とか考えて作ってます。でもまず、”足りない説明”をしてからになります。6個目、最後のオーブですし、それに人間ですからね。

    > にーさん・・・・やっぱり不憫ww

    これが正しい兄さんの役所です~!。でも今回だけかも・・・。これからシリアス戦闘編ですからね。でもどっかで入れたいな~、不憫な兄さん・・・。

    ご閲覧、コメント、有り難う御座います!

    2009/04/26 21:19:07

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    nai☆様、今晩は!

    > だ~いどぉ~んでぇ~んが~ぇし!

    この展開が”まさかの大誤算!”にならないように慎重に組み立てていきます~!。

    > “00”ネタ

    出来るだけストレートな単語にならないようにしたんですが、ピンと来てくれて嬉しいです!。24世紀だとあのロボットはもう出来上がって破壊された後なんですよね。

    > そのようなものを背負っていたとは

    これは初期設定の段階でそうでした。というか初期の初期は戦闘艦のためでなく、”人体錬成”に関わるモノだったのですが、あまりにストレートにアレだったのでやめました。

    > 物証も無く話だけで信じたメイコ警部

    イヤ~、これが今回の最大の突っ込み所ですね。映像だけで信じてしまう警官はまずいないので。まぁこれはストーリーということで・・・orz

    > 『情報統合ナントカ・・・インターフェイス』的なノリ

    まさに”普通の人間に興味ありません!”のアレのキャラで”読書家の○の嫁”ですな。いやーさすがにそこまでは・・・。でも遠くはないんですよねー、展開的に・・・・。

    > ここに超能力者

    ギクッ・・・・・・・あ、そ、その、”ココロのきのこオーブ”であるレン君は、戦闘艦の何の役割なのかがわかると、そのセンは捨てられないよーな・・・・。”フィンファンネル行け!”的。

    > 「コンゴトモヨロシク」で無事に仲魔

    まさに”仲魔”(^o^)/ 。これは意図的にこの言葉にしました。なんか仲間に加わる究極の言葉だと思ってます。仲魔の海外組では戦闘艦の名前であるアンと、このローラだけですね。

    > って! えぇぇえ? レンきゅんが! レンきゅんがぁぁぁぁ!!!

    モノとしての扱いにはしませんのでご安心を。集めたモノは、”各きのこオーブ”という名前で怪盗達は呼んでいましたが、その意味は、これから書いていきますのでご安心を!。

    ご閲覧、コメント、有り難う御座います!

    2009/04/26 21:10:32

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    紅翼様、今晩は!

    > そんな事情があったんですね

    まだまだレン君達には”映像”で納得してもらった感があるので、これから”実感”してもらう事になります~。

    > て、えぇぇぇぇぇぇえええ!!!レ、レン君が『きのこオーブ』!?

    まさに起承転結の転!。えっと、モノ見たいに扱わないのでご安心を。”きのこオーブ”というモノは何なのか?、これからの展開でわかっていきます~!。

    > なかなかコメできなかったんですが、スミマセン! 心落ち着けながら、次を待ってます

    お時間が御座いましたらでOKOKです~!。でもコメントはホンネで嬉しいです~!。ちょっと皆さんの動揺を誘ってしまい申し訳ないです~。これからガンガン進みますので、ヨロシク!

    ご閲覧、コメント、有り難う御座います!

    2009/04/26 20:27:18

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    nonta様、今晩は!

    > コレはまさに超展開!

    はい、これまで安穏とやっていたストーリーだったので、急でしたね。

    > いろいろな謎が解けると同時に行動の基盤になっていたモノがひっくりかえるという。

    そうですね。推理探偵物だったのに、いきなりSF戦闘物・・・。でもこれからが、”これまで怪盗側がやっていた事の意味を実感させる”戦闘編となります。でも、推理物から戦闘物への転換というのも、無理矢理過ぎたかも・・・・。流れでは計画通りなんですが・・・。

    > さらに最後のきのこオーブが!!!

    まさに起承転結の転!。でもこれも”計画通りだ・・・”。あ、でも、レン君をモノみたいに扱う事はしないのでご安心を。他の5つは、”動力、循環器、武器等”でしたが、戦闘艦として、もう1つ大事なモノが残ってます。

    シンジ君!

    > 少しゆっくり心の整理をしたいのと同時に、早く先を知りたいというのもあります。

    急な展開で申し訳ないです~!。でも、ちゃんと”超展開”した意味を持たせますのでご安心を。

    ご閲覧、コメント、有り難う御座います!

    2009/04/26 20:20:43

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