【A】

「もう、人でいられるのは今日までね」
そう呟きたくても　声は出ないけど
足がまだ生えている事に安心してしまう


魔女との契約は３日間人間でいる間に
王子と恋に落ちるのが条件
けど、私は無理だと諦めかけているのよ



【B】

あの時私は見てしまったの
魔女が取引した声を利用して私に変わっていて
それをみた私は信じられなかった



どうしてどうして　魔女は言ったはず
「３日間の間に王子と結ばれれば良いだけ」と
あれは契約違反にならないのかしら？




【S】

私は耐え切れず魔女を追いかけた
あれを見たら大人しくなんてしてられないもの
人生をかけた３日間は大事にしたいから





【A】

魔女は浜辺で歌い終わった後　高笑いをしていた
私が急に飛び出したのを見て　面白そうな目をしていたわ
予想外な事をして欲しかったのか　喜んでもいたのよ


私が「そんなに貝殻を返して欲しいのか？」の言葉に頷くと
「私を倒してまで奪う欲を見せれば貴様の望みを聞いてやる」
と新たな条件を出してきた





【B】

私はその条件を飲む事をしたわ　
これは私の命をかけた契約だから　必死なんだもの
王子との恋は無理なんて誰が言ったの？

何が何でも叶えてみせるんだから　負けられない
そう心に誓った人魚は魔女から渡された短剣を手にした
これは　私の命をかけた戦い　負けるわけにはいかないわ


絶対勝ってみせるんだから！！！



間奏




【S】

私の本気をあなたにみせてあげる
あんな物を見たら大人しくなんてしてられないもの
人生をかけた３日間は大事にしたいから




【C】

私だって欲を出せるはずよ　今まで頑張ってたのも
私利私欲からした行動だもの　国王の末娘なんて
ただの肩書きしかならない　私自身を見て欲しいのよ！


数分後に戦いが終った後　魔女はその場で倒れ
愛という名の想いにかられた　人魚姫
彼女の手には赤く染まった貝殻が握りつぶされていた



「王子様、いま会いに行きます」