【最後のタバコ】
煙草に火を点ければ いつもの時間
苦く広がる 甘い香り
真っ暗な堤防で 波の音の中
煙を吐き出し 空を見上げた
僕は手放した 二度と戻らない時を
君は手放した ふりをしていただけだった
手元に灯る小さな灯りは 弱弱しく息をしていた
君の口から零れた最後の言葉
愛しくも醜く 僕の心(なか)をかき乱す
君がくれた最後の笑顔
儚くも永遠に 僕の心(なか)に染み渡る
灰が静かに零れ落ちた
手が届いたと思っていた君の眼には
僕はどう映っていたのだろう
滑稽な道化師? 思いのままの愛玩人形?
むしろそれにすら 僕はなれなかったのか
君が描いた 未来のスケッチでは
僕は君の隣にいないのに…
無垢な君の 残酷な言葉
煙草の火はまだ点いている
僕の口から零したたくさんの言葉は
儚くも永遠に 君の心(なか)には届かない
僕が捧げたたくさんの笑顔は
砂が積もっていくように 僕の心(なか)を蝕んでいった
灰が零れ落ちて 僕は静かに目を閉じた
煙草を石に押し付ける時 いつも同じ決意をする
君の声と 君の笑顔は
いつも僕の決意を鈍らせた
君の声 君の笑顔 溢れ出る君をかき集めて
僕はきつく蓋をした
いつもより早く 煙草を押し付け
いつもと違い 深呼吸して
『明日は美味い煙草を吸おう』
いつもと同じ決意をした
波の音とともに消える 君の最後の言葉
無垢で残酷な「傍にいて」
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