ぶつけろ枕!(私的アドレサンス)
投稿日:2009/11/17 23:33:51 | 文字数:3,060文字 | 閲覧数:2,760 | カテゴリ:小説
私はアドレを応援しています。
それにしてもとんだヘタレですね!すみませry
すみません、ギャグです。
~~~~~~~
私は、常々思うのです。
―――レンって、男じゃない!
<ぶつけろ枕!>
「信じらんない!信じらんない!」
「ちょ、リン、落ち着いて!」
「落ち着ける訳ないでしょこのヘタレ!」
「へた・・・!?僕が気にしてるの知ってるだろ!?」
「知るかぁ―――ッ!」
家が広くてよかった。私は心底そう思った。
だってうちの広さなら喚いたところでお父さんやお母さんには聞こえない。
「なんなの!?かっわいい女の子が涙目で見つめてんのよ!?それで帰るとか失格!男としてアウトよアウト!」
「可愛い女の子って、姉弟だから!手を出したら男としてアウトとかじゃなくて社会的にアウトだから!」
「知るか!」
「だああああだから駄目だって言ってるだろ―――!」
ぷつん、とレンがキレた音がした。
ちょっとまずいな、とは思ったけど、正直今ならレンのベスト状態と口論しても負ける気はしない。
よし、かかってきなさい!
私はかわいらしいネグリジェ姿を強調するように胸を張ってみせた。
どうよこの鏡音リンのネグリジェ姿!伊達にクラスで1番可愛い子の称号持ってるわけじゃないわ。よーく見なさい、ヘタレン!ノックアウトしてあげる!
「聞いてるわよ!合意の上なら問題なし!」
「いや、問題あるから俺必死なんだけど!」
ふむ。説得が効かないと来たか。
ならば。
私は持ち前の瞬発力を活かして、ベッドからレンに向かって疾走した。そんなに距離はないけどね。
慌てた形相で避けるレンに舌打ちをして、手早く扉に鍵をかけてしまう。だけでなく、鍵を抜く。
むう。避けなければ実力行使で押し倒しちゃおうと思ってたのになぁ。まあでも、目的の一つは達成できたからいいか。
抜いた鍵をこれみよがしに見せびらかす。
「ちょ、リン、何してんの!?」
「ふふふ。帰りたくば私を(押し)倒すしかないからね」
「あっごめん今()の中の言葉読めたよすごく不本意だけど!」
一息で言いやがったこいつ。
っていうか大体、私が痺れを切らしたのはレンの態度のせいなのに。
あからさまに『女の子』として扱って、明らかに一線越えようか越えないかどうしようかみたいな態度取られ続けたら、普通誰だって焦れるでしょ!
もう、本当に困るくらいなら、私が寝れなくて目を閉じてるときとか朝起きられなくて意識が覚醒してるときにこっそりキスとかしないでよ!レンは私が寝てるんだと思ってるんだろうけどさ。
でもそんなことばっかりされていると、叫びたくなってくるの。
―――一線越えたいならさっさと越えてよ、このヘタレ!
なんというか、すごく・・・イライラするよね。
「っていうか据え膳なのよ!食ってかないとかありえない!」
さっき顔面に命中させた枕を拾い上げて再び投擲体制を整える。
この至近距離、外すことはありえないわ。さあ喰らいなさい、私の全力投枕!
「待って待って待ってえぇぇ!わ、わかったからちょっとは僕にも話させて!」
真っ青になって両手を上げるレン。
何を今更。問答無用!
と、行きたいところだけど。
「わかった」
とりあえず枕を発射準備位置から下ろす。
言いたいことがあるっていうなら聞かないと。レンが本当の本当に嫌だって言うなら考え直すし。
はあ、と胸を撫で下ろすレンをじっと睨み付ける。
レンは何回か深呼吸をしてから、私と目線を合わせた。
「リン、無茶すぎるよ」
「なにが」
「その・・・す、据え膳とか」
ちょっと待って。私のスタイルチラ見したのは何の意味があるの。
貧相云々を言う気ならベッドじゃなくて血の海に沈めてやる。
かあ、とレンの頬が赤くなる。
「本当にやばいから、やめて」
・・・・えぇ?
「我慢しなくていいのに」
「だから、ああもう!リンは分かってるの?どういうことになっちゃうのか!」
きょとんとした私から、レンは真っ赤になった顔を背ける。
耳まで赤くなってる、と頭の一部が変な観察を始めた。
「このまま・・・その、やっちゃったら、もう普通の姉弟には戻れないんだよ?ずっと変な関係のままでいないといけないんだよ。姉弟でも恋人でもない、いびつな関係。それでいいわけ?」
何よその自分はわかってます的な発言。
ちょっとむっとするわ。フリーズした頭がまた回転し始める。
「何、レンは私がそれを考えてないとでも思ってたの?」
ずい、と私はレンに近寄った。身を引かれたから、更に二歩。
昔は私とよく似ていた顔が、近付く。
あのねレン。私の方がより前から、レンを弟だなんて考えないようになっていたんだから。
なのに同じベッドで一緒に眠って。着替えとか勉強とか一緒にして。四六時中一緒に居て。
いつだってドキドキしてた。
弟じゃなくて、『鏡音レン』に、ね。
気付いた時にはパニックになったよ。おかしいって。
鏡映しの姿が崩れただけでこんなおかしな気持ちを持っちゃうようになったのか、って。
でもそのうち結論は出た。
―――気持ちを抑えるなんて、無理。
もしもレンも私を想ってくれたなら、行けるところまで行きたい。
「ばか」
私は自分と同じ色の瞳を見つめた。
少し見上げる形になるのが淋しいような・・・嬉しいような。
「覚悟ならしてるよ」
ゆっくり、その体に手を回す。
回し切った瞬間、ぎゅう、と凄い勢いで抱きしめられた。
首筋にかかる息が―――熱い。
「・・・リン!」
幸せな気持ちになって、私も回した腕に力を込める。
禁忌?かまわないよ、そんなの。
レンが腕を解き、かわりにその両掌で私の頬を包み込んだ。
幸せそうな笑顔。
それがゆっくりと近づいて――――
ボーン。ボーン。ボーン・・・
鐘の音で、ぴたり、とレンの動きが止まった。
―――どうしたんだろう。
問うようにその顔を見ると、そこにじわり、とかなり決まり悪そうな表情が浮かぶのに気付いた。
嫌な予感。
「・・・・宿題、してない」
「・・・・はあ?」
ぱ、とレンが私の顔から手を離す。
「ごめんリン、明日の夜まで待って!」
言い捨てて奴は私の手から鍵を取り、颯爽と身を翻した。
私はぽかん、としたままそこに立ち尽くすしか無い。
だって、え、ちょっと、
じわじわと理解が染み渡ると、さすがに怒りが溢れ出して来た。
これはないでしょ普通!!
鍵取るための演技だった、とかの方がいいわ!
素だったら明日虐め抜いてやる!ヘタレ!ヘタレ!さすがお母さんに刺されたお父さんの血を引いてるだけあるわ!ふざけないで、返せ乙女の期待!
私は落ちていた枕を拾い上げて開いた扉に向かって思いっ切り投げ付けた。
やっぱりレンなんて男じゃない!
~~~おまけ。翌日のふたり~~~~
「あー、と、リン」
「話しかけないでくれる?ヘタレ」
「ごめんなさいリンさん」
「あそこまでやっといてキスすらしないとかありえない」
「いや、だって」
「だって?」
「キスしたら絶対止まんなかったし・・・」
「・・・合格にしといてあげる」
作品へのコメント2
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ご意見・感想
>Ж周Ж さん
私もなんだこの解釈wと思ってるので!レンに関してはロリ誘拐のレンとアドレンが大好きです。なのになんだこのヘタレンw
>錫果 さん
わりとそのつもりで書きました!
ニコで「ファミーユ」(アドレ+サンドリ)を聞いてから、自分設定としてはカイトとリンレンが家族関係だったら面白いなあ、主義になりまして。お兄ちゃんとかお父さんとか。この世界のサンドリヨンも書きたいです。当然ギャグなわけですが。
ジュブナイルは気づいたらリンがそんな発言してたんで・・・気づいてもらえるとは思ってませんでした(ぇ2009/11/19 07:35:40 From 翔破
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ご意見・感想
アドレサンスはこのくらいほのぼの(?)してればいいと思います!(笑)
ギャグと言いつつ、節々や最後でがっつりレンリン(リンレン)萌え頂きましたー
“クラスで一番可愛い子”がジュブナイルだったり
“お母さんに刺されたお父さん”がサンドリヨンだったりしたら私もう一生ついて行きm(ry 意味不明
それでは、素敵で愉快なアドレサンス、ごちそうさまでした!2009/11/18 23:06:37 From 錫果
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こんなサンドリヨンは嫌だ(前)
私は瞑目した。
ああ神よ、何故かくも残酷な運命を私に与えられたのですか―――
<ティアラを投げ捨てて>
「もう一曲、いいかな?」
絡んだ指に、意図せずして胸が高鳴るのを感じた。
こんなサンドリヨンは嫌だ(前)
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私的アドレサンス(後)
リンの様子がおかしい。落ち込んでいるのか、ずっと暗い顔をしている。
思えば昨日の夜から変ではあった。どこか上の空で、朝起きた時には泣いていた跡もあった。
どうしたのか聞いてみようかとも思ったけど、触れられたくないっていう気持ちが伝わって来たんじゃ手の出し様がない。
どうしたんだろう。
考えつく理由は部屋を分けると決められたこと位だけど、あのあとそれに触れられなかったし。リンは嫌だったら気が済むまで嫌だと言う性格のはずだ。
私的アドレサンス(後)
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私的アドレサンス(前)
「リン、レン、自分の部屋が欲しくないか?」
始まりは父さんの一言だった。
「え―?なんで?」
私は口を尖らせた。だって別に不便があるわけじゃないし、今までもずっと同じ部屋だったし。なんでわざわざ分けなくちゃいけないのかな。
お父さんは暢気な顔で指を立てて見せた。
私的アドレサンス(前)
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pair
私は、ゆっくりと右手を真上に伸ばした。
電灯の明かりに透かすようにして、その形を眺める。床に落としていた左手も同じようにして、左右の手の甲を見比べる。
仰向けで床に寝転がっているせいでなんとなく背中がひんやりするな、なんて思いながら、それでも目線は両手から外さずに。
…そういや、コンセプトからしてそうだったっけ。
<pair>
pair
-
Side:リン(私的闇のダンスサイト)
割とダークです。ご注意ください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
闇のダンスサイト、二人で踊りましょう。
私は、限界だった。
世の中には耐えられないものがある。例えばいじめとか。劣等感とか。空気の悪さとか。その他諸々、人によって違うのでしょうけど。
Side:リン(私的闇のダンスサイト)
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Side:レン(私的闇のダンスサイト)
人によってはグロテスクかもしれません。
ご注意ください。
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ぐちゃぐちゃになった『それ』を見た瞬間、思考回路のどこかが決定的におかしくなった気がした。
俺とリンは恋人同士だった。
Side:レン(私的闇のダンスサイト)
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誰もが皆(私的悪食娘コンチータ)4
食べるということは、昔は私にとってとても嬉しい事だった。
そばには大切な家族がいて、皆で笑いながら美味しいご飯を食べる。それは幸せの具現。
でも側に誰もいなければ美味しいご飯も美味しくない。
<Side:コンチータ>
がらんとした広間の中で、私は目の前に崩れ落ちたその塊を見詰めた。
誰もが皆(私的悪食娘コンチータ)4
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両手一杯の(私的恐怖ガーデン)上
昔作文を書いた。
タイトルは『将来の夢』。
『じゃあ、鏡音リンちゃん』
『はい!』
幼い私は喜び勇んで返事をした記憶がある。あの頃はほんとに何も考えてなかったけど。
両手一杯の(私的恐怖ガーデン)上
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誰もが皆(私的悪食娘コンチータ)3
『で、出来ない・・・出来ないよ!』
そう。
大丈夫、その気持ちはよく分かるわ。あなたが選んだことならそれはそれでいい。とやかく言うつもりはないの。
でもね、レン。だったら私も選ばせてもらうわ。
<Side:メイド>
誰もが皆(私的悪食娘コンチータ)3
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誰もが皆(私的悪食娘コンチータ)2
俺は何を知ってるっていうんだろう。
ねえ、どうして?
どうしてこんなに怖いんだ。
<Side:召使>
「レン、掃除が甘い」
誰もが皆(私的悪食娘コンチータ)2
鏡音が好きです。双子でも鏡でも他人でも。
というか声が好きなのが原因なのか…それとも設定が原因か…
ちなみに最近ピクシブも同HNでやってます。
タグがいじられているとテンション上がります。何ですか皆さんセンス良すぎです
そういえば、何だかブクマとかコメとか頂いてるようでどうしよう。まさかの100ユーザーブクマ突破かなり嬉しいです。精進します。
文:正直暗いかハイテンションな犯罪臭しか書けません!
ぽっぷできゅーとな作風って何?私の辞書は欠陥辞書らしく、検索してもヒットしませんでした。
絵:素人も良いところですが練習も兼ねて妄想を垂れ流していく所存であります。
まあ見てのとおり、種族を細かく言えばリン廃です。日々レベルアップしています。
ボカロウイルスは周辺で増殖中。いいぞもっとやれ