<第14話末文より>

(アフス城内・開発武器試験場・バトルアリーナ)

ミク:そ・・・・・・・・・そ・・・・・・・・そんな・・・・・・・・・

ルカコピー:申し遅れました、私はルカコピーと申します。親愛なるミクさん、さぁ、楽しみましょ?

<Dear My Friends! ルカの受難 第15話 ミクの受難>

 ザシュ!

 ルカコピーは剣士の姿で、ミク達の方向へ更に1歩踏み込んできた。

ミク:ひっ!

 ミクはまだこの状況を飲み込めも受け入れもできない、更に泣き出す事も混乱する事もできない心理状態だったので、ただ反射的に1歩後ずさりすることしか出来なかった。

 しかし、助け船はすぐにやってきた。テルである。

テル:ちょっと待て! こっちは今の今言われたばかりで、ミクさんの準備が出来てない! 時間を頂きたい!
ユキ:・・・いいだろう。用意が出来たらミクを闘技スペースに連れてきてくれ。ルカコピー、すまんがこっちの待機スペースで待っていてくれ
ルカコピー:解ったわ。ミク、もう私と楽しむのは決定事項だから、くれぐれも逃げないでよね♪

 こういうとルカコピーはユキ側の待機スペースにサクサクと移動し、座ってミクの方をニコニコしながら見ていたのだった。

***

(アフス城内・開発武器試験場・テル側待機スペース)

ミク:ガクガク・・・・・ブルブル・・・・・
学歩:大丈夫でござるか?
テル:・・・・気持ちは分かる。実はさっきの試合中、私は事前にミキから知らされていて、そして、ミキと決めてしまったんだ。前の試合で私が勝って、君とルカコピーを戦わせて、先の道を開く事を・・・・こうでもしないと完成魔法陣は奴らに渡り、君達の世界も危険な状態になってしm
ミク:もういいです・・・・わかってます、テルさんが勝ってイーブンにして、なんらかの試合が執り行われて、それにも勝って私たちがトータルで勝たないといけないって事くらい・・・ただ・・・その選手が私で・・・相手がルカのコピーだ、って事を・・・まだ受け入れられないんです・・・・ごめんなさい・・・・
テル:いや、それが“普通”の反応だよ。私ですら、珍しくミキに激昂してしまったよ、“それでも人間か!”と
学歩:拙者なら、ミキを斬り裂き、ユキ達を斬りつけに行くと思う。危なかった

ミク:・・・・・ごめんなさい・・・・私・・・・・弱くて・・・・
テル:今は自分を責めるな。時間は制限無しで貰っている。気が落ち着いたら、これからの事を決めないと行けない。残念なことだが、君がルカコピーと戦うのは避けられない。私の魔力で、君の武器や装備もそれなりに強化しないといかん
学歩:テル! まだそういう事を話す段階ではないでござる! 自分の大親友の姿をした敵と戦うミクさんの事をもっと考えるでござる!!
テル:しかし、“どうやっても避けられない未来”から目を背けてばかりでは行けない! 冷静に戦略を立て、絶対に勝てる方法を見出し、装備も心も準備しておかないと!
学歩:だから、まだその段階では!

ミク:もういいです、言い合いはやめて下さい。多分、二人とも正しいです・・・
テル、学歩:・・・

ミク:学歩さん、テルさん、うん、もう大丈夫、そろそろ歩き出さないと! 私、戦います、“ルカの偽物”と。多分、最初は一発も銃弾を当てられないで、逃げ回るだけだと思います。ごめんなさい、でも、逃げている間に、もしかすると、“当てる決意”、が生まれるかも知れないんです。もしそれが最後の最後でも生まれなかったら・・・・私はルカコピーに殺されると思います
テル:・・・そうだな、ヤツはルカさんの純正コピー品ではない。向こうの屈強な戦士のパーツをミックスされている。間違いなく、君を殺しに来るだろう
学歩:くっ・・・・なんたる卑劣な・・・・・
ミク:・・・もし、私が殺されたら・・・・ルカには悪いけど・・・・
テル:・・・ああ、すまないが、戦力と今の状況から、ルカさんの帰還は諦め、私は速攻で逃げさせて貰う。こんな条件を突き付けた向こうの考えにはつき合いきれないからな。学歩達、インタネ共和国とクリプトン王国の面々は、完成魔法陣の譲渡と引き替えだろうが、安全に帰還させてくれるだろう。そちらは向こうに任せることにする。だが・・・

ミク:だが?
テル:それは考えない方向でこれから戦略を立てる
学歩:そうだな
ミク:!
テル:我々は絶対に勝つのだ! 負けられない戦いなのだよ、これは! 我々にとっても! ミクさんにとっても! ルカさんにとっても!
学歩:無論だ

 ミキ戦の時からそうだったが、実に珍しい光景だった。冷静沈着で、かなり冷酷な“彼”が、こんな熱い決意を示したのは。ミク、学歩、アペンド達、そして協力してくれたミキ達などの造反組が、彼をこんな熱い人間に変えていったのだろう。だが、ただ熱いだけの熱血漢に変わったわけではない。その裏にちゃんと“勝つストラテジー”を組み立てる“冷静さ”を伴っていたのだ。

テル:これから、“勝つ方法”、の戦略設計と武器防具の改造を行う事にする!

 ガタン!

 その時、外部回廊からバトルアリーナのテル側待機スペースに入れるドアが開き、医務室にいるはずの、ソニカ、リン、レン、アペンドが入ってきた。レンに付き添っているリン以外の負傷者は、それぞれ各所に包帯を巻いていたが、通常生活するには問題ない状態まで回復していた。

リン:皆さんには、私の治癒魔法もかけてあるのでご安心下さい
レン:テル、そういう事には俺達も混ぜてくれよ? 相手は剣術使いらしいしな
ソニカ:よりにもよって“そっくりさん”が出てきたらしいな。それなら、私の出番だ!
アペンド:相手はルカコピー、こちらは魔弾銃。それなら、銃の製作者の私が改良しないと話にならんだろ!

学歩:皆さん、大丈夫でござるか?
テル:というか、何で来れたのだ? それと、何で今の今起こった対戦カードの情報を知っているんだ?

アペンド:医務室のベッドで寝ていた“ミキ”がこっそり私たちの所に移動して、コソコソ話で全部教えてくれたのだ
レン:そりゃ最初は警戒したけど、話を聞いたら、怪しんでいる状況でないと判断してね
リン:医務室の酒瓶持ったおじさん先生に、“心配だから”、“私の治癒魔法をかける”って口説き倒したの。様態も安定してきて緊急でもないから、戦わない条件付きで、許してくれたの
ソニカ:さすがに戦闘や激しい動きは無理だが、作戦会議くらいには参加できるぞ?
アペンド:こんな状況下で、医務室で寝てられるか!

テル:…すまない。私も“確実な策”があった上で“やろう”と言っていたわけでは無かった故、大変助かる。有り難う
アペンド:テル・・・・・変わったな
テル:おかげさまでね

 剣術指南の、学歩とレン
 フィジカル&メンタルヒーリングのリン
 偽物攻略のソニカ
 魔弾銃のアペンド
 統括のテル

 そして戦うミク、相手のルカコピー

 役者は揃った。もう、後戻りはできない。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

Dear My Friends! ルカの受難 第15話 ミクの受難

閲覧数:388

投稿日:2012/05/13 23:08:48

文字数:2,908文字

カテゴリ:小説

  • コメント3

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  • clown

    clown

    ご意見・ご感想

    今晩は! 遂に15話目です!!
    お返事遅くなってしまって申し訳無いです…。

    ミクさん頑張って下さい! 本物のルカさんにとっても…!
    ミクさんにとってこれは過酷な戦いになるでしょう…。恐らくきっと…。
    でも選択肢は偽物のルカさんと戦うか、それとも自分自身と、そしてルカさんから逃げるかの2つだけ…。きっとミクさんなら自分と戦い、成長してくれる、と信じています…!!

    今回も素晴らしい作品、有難うございます。最終話であろう次回の話を、楽しみに待っております!!

    それでは、またお会いしましょう…♪

    2012/05/15 20:13:25

    • enarin

      enarin

      clown様、今晩は!

      > 遂に15話目です!!

      はい?♪ もう15話目なんです?♪ 文字数少な目で話数多めなので、コレまでのシリーズ換算なら10話くらいだと思います。

      > ミクさん頑張って下さい! 本物のルカさんにとっても…!

      そうですね、ミクさんにとっても辛いEX最終戦。自分の友達の姿をした人物に銃口を向けるのは、誰だってムチャに等しいこと。でもそれを越えないと、負けてシナリオは最悪な方向に…

      > きっとミクさんなら自分と戦い、成長してくれる、と信じています…!!

      まさに”自分との葛藤と戦い”。ミクさんはこれまで実戦は1回なので、この戦いで仲間の助力を得ながら、なんとか勝って欲しいところです。

      > 今回も素晴らしい作品、有難うございます

      有り難うございます! とっても励みになります! 今、この続きを書いてます。話の行き先がまとまってきたので、書きやすくなってます。

      > 最終話であろう次回の話を、楽しみに待っております!!

      あ、いや、次回でもまだ最終話ではないんですよ?♪ 某漫画の有名なセリフ”もうちっと続くんじゃ”な感じで、まだまだ続きます。文字数を少な目にしている関係で、話数も多めになってきてます。

      > それでは、またお会いしましょう…♪

      こちらこそ、次回でもお会いしましょう! ちなみに次回は、ちょっと泣けるお話になってます?♪

      このたびのご閲読、コメント、有り難うございます!

      2012/05/15 21:05:57

  • オレアリア

    オレアリア

    ご意見・ご感想

    enarinさん、今晩は!
    前回の14話からの間もないスピードうpお疲れ様です。
    ディアフレは毎回楽しみにしているので本当に嬉しいです!

    そして今回の15話、ルカの受難にミクの受難…親友2人の苦しい戦いが今始まった訳ですね。

    しかしミクの気持ちが固まりつつある中、テル達が力を合わせて打倒ルカコピー!これほど心強いバックはいないですね。
    これなら勝算は…!

    その一方でミキは何とかして本物のルカを連れだそうと奔走して、ようやくそれが上手くいこうとしていた時にまさかの先客にイロハ皇帝が…一瞬ヒヤリとしたシーンでしたが、敵サイドであるはずの彼女がルカコピーを無理矢理に作った強引なユキやアル達とは違い、協力的だったのにはとても驚きでした。

    そんなイロハ皇帝も納得する、ミキでさえ思考レベルが遠く及ばない¨ルカの理由¨とは一体どんなものか?僕にもまだルカの真意が分からないままです…w
    それも次回には明らかになるのですね!楽しみです!

    今回もブックマーク頂きますね!
    長い戦いになるであろうEX最終戦の更新、待っております!

    2012/05/14 21:29:24

    • enarin

      enarin

      オセロット様、今晩は!

      > スピードうp

      今回は”書かずに入られなかった”のがホンネです。第14話と第15話は作品内時間で続いており、アイデアも頭にあったので、テルの策を第16話以降に持っていく事に決めてからは速かったです。誤字はありましたが…

      > 毎回楽しみにしているので

      毎回、本当に有り難うございます! とっても励みになります! 今までで話数が最も多い作品になってますが、コレくらいの方が書きやすいですね。

      > 苦しい戦いが今始まった訳ですね

      タイトルになっている”ルカの受難”の方は、ルカさんが至って冷静だから、まだまだ先のような感じですが、ミクはテンパってますね。ホント、絶体絶命。

      > これほど心強いバックは

      どんなゲームもラスボス前には、死亡してない仲間が集うのがRPG風作品の王道だと思ったので、みんな集めました。ソニカの助力は実は偶然でした。

      > まさかの先客にイロハ皇帝

      実は1回目のアイデアでは出てこない事になってました(逃げながらルカとミキは会話)。でも、”それではルカがミクの所に戻ってしまって、シナリオがおかしい事になる”事に気づき、コピーにあまり乗り気でなかったイロハを出してきました。

      > 協力的だった

      はい。第14話でもルカコピーの件を知らずに来て、会議で半ば強引に決められてしまった面があったので、イロハ皇帝はルカコピーの事だけは負い目を持ってます。なので用件限定ですが協力的なんですね。

      > 僕にもまだルカの真意が分からないままです…w

      本物のルカは、ユキ達が当初、来賓扱いにしていた程、聡明です。彼女が持っている”理由”は、人情厚い人からはちと嫌煙されてしまうものですが、先の先を読んでいるものです。お楽しみに!

      > 楽しみです!

      有り難うございます! 次回はルカの理由がメインです。どちらかというと人情に流れる傾向があるミキは、果たして納得してくれるのでしょうか?

      > 今回もブックマーク頂きますね!

      有り難うございます!! とっても嬉しいです!

      > 長い戦いになるであろうEX最終戦の更新、待っております!

      はい。出来るだけ速く投稿したいと思います!

      このたびのご閲読、コメント、ブクマ、有り難うございます!

      2012/05/14 21:58:40

  • enarin

    enarin

    その他

    すみません! 誤字発見です!

    元:出来るのは、戦って買って貰いたいミクさんと…
    訂正後:出来るのは、戦って勝って貰いたいミクさんと…

    ごめんなさいませ…

    2012/05/14 12:22:32

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