「―…らーらーらー…あれ…違うなぁ…」
私はその歌声で目を覚ました。
「…んー…?レン…?」
「あ、リン。ごめん、起こしちゃった?」
「ううんー…おはよ」
「おはよ」
「…何練習してんのー?」
レンは持っていた楽譜を私に見せた。
「Vocal…カイト兄とがっくんとレン…?」
「そうみたいだよー」
「へえ、珍しいねぇ」
「だよねぇ」
レンはふわぁ、と欠伸をして立ち上がった。
そして棚からギターを取り出す。
「ギターもやんの?」
「うん、ソロがあるんだぁ」
「へぇ、頑張ってねぇ…」
「レーンー!」
カイ兄のレンを呼ぶ声。
「はーい!」
レンが部屋を出ていく。
それを見届けて私はもう一度布団にもぐった。
「―むにゃぁ…」
私は残暑の蒸し暑さで再び目を覚ました。
時計を見ると10時。一度起きてから4時間経っていた。
レンは部屋に居なかった。
「リン、やっと起きたね!」
「あぁ、めーちゃん…おはよ」
「おはよ、じゃないよ!早くご飯食べちゃってー!」
私が部屋から出ると、カイト兄の部屋からがっくんとレンの歌声がする。
練習してるんだ―。
私はドアに向かって 頑張れ、と囁いた。
「―今日からレコーディングなんだー!」
3日後。
カイ兄もレンもがっくんもずっとずっとカイト兄の部屋にこもって練習していた。
「そっか、頑張ってね」
3日もレンと遊べなくて私は不機嫌。
「…リン、なんか怒ってる?」
なるべく態度に出さないようにしてたのに
やっぱりレンにはばれちゃう。
でも私は
「別に」
とそっぽを向いた。
「…そっか」
「…」
「じゃ、行ってくるね!」
レンは少しさみしそうに笑って部屋を出た。
「知らないもん、レンなんか。リンと遊んでくれないんだもん…」
私は一人で呟いた。
「リーンーちゃーんっ♪」
いきなりの声に驚いてドアを見るとミク姉とルカちゃん。
「ミク姉!ルカちゃん!ノックとかしてよねっ!!」
「ごめんごめーん!だってさ、リンちゃんきっと寂しがってるだろうなって思って!」
ミク姉が明るく言う。
「え?」
「レンくん、最近ずっと曲の練習ばかりしてますからね」
「そうだよねー!寂しいでしょ?」
「全然っ」
私は頬をふくらます。
「嘘つけっ!顔に書いてあるよー!」
ミク姉の言葉にルカちゃんが頷く。
「…寂しくなんかないもん」
私は下を向く。
「…レコーディングスタジオ、行ってみたらどうですか?」
ルカちゃんが小さな声で言う。
「そうだよ!きっと…うふふっ」
ミク姉は楽しそうに笑った。
「なにが面白いの?」
「いいからいいから、行ってごらんっ!」
「さ、行きましょう」
ルカちゃんが私の手を取って立ち上がる。
それをミク姉が後ろから押す。
「いいよぉ、別に見に行かなくても…」
「いいからっ!さ、行ってらっしゃーい♪」
ミク姉がスタジオのドアを開け、ポンと背中を押した。
「あぁ、リン」
マスターが振り向く。
「なぁにー?レンに会いに来たの?」
「違うもん!」
「…ま、いいよ。見てるなら座ってなよー」
今出てもきっとミク姉とルカちゃんに押し戻されちゃうな。
私は仕方なく座った。
ガラスの向こうのレン。
カイ兄とがっくんと並んで立つと小さく見える。
「レン、頑張ってねー」
「ギター、期待してるぞ」
微かに聞こえるカイ兄とがっくんの声。
「うぅ…あんまりプレッシャーかけないでよぉ…」
少し涙目のレン。
曲が流れ出す。
瞬間、レンの目つきが変わる。
ドキン
鼓動が少し速くなる。
かっこいい…
ガラス越しに歌うレンは"男の子"だった。
間奏に入る。
レンは少し息を吐いてからギターを弾き出す。
かっこいい…
かっこいい…
もう、それしかなかった。
いつも一緒に歌ってた。
兄弟というより
姉妹みたいに
女の子同士みたいに思ってた。
頼りなくて、ドジで、可愛くて。
そんなレンは目の前に居なかった。
遠くなっちゃった。
少し視界がぼやけた。
カイ兄とがっくんの歌声で曲が終わる。
「レンよかったよー!」
「よかったぞレン殿ー」
「ほんと?」
「かっこよかった」
「ほんとっ?」
「ほんと」
「やった♪カイ兄とがく兄に褒められたーっ!」
満面の笑みをしたレンの視線と私の視線がぶつかった。
「あ、リン!」
「…」
「見てたの?」
「うん」
「…どうだった?」
「…かっこよかった」
私は少しふてくされながら言った。
レンだけ大人になっちゃって
なんか悔しい。
でも
私の言葉を聞いて笑ったレンは
やっぱり可愛いレンだった。
寂しく、ない。
またやっちまった…orz
ギャップに弱いんですね私!!
あ
IMITATIONBLACKをいまさら初めて聞いたとか
バナナイスにやられたとか
かっこよく歌うレンくんと可愛いレンくんとのギャップを妄想して萌えたとか
そんなんじゃ…そんなんじゃ…
…曲のイメージが崩れたら申し訳ありません。
ルカちゃんとがくぽのキャラがいまいち分からない…。
めーちゃんはお母さん、ミクちゃんは天然なイメージなんですが…。
それにしてもバナナイスはすっごくいいですね!!!
もっとV系バナナイス増えてほしいです。
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