玄関には、詰まれたミクの荷物。ミクは家の二階にある俺の部屋の隣の親父が倉庫として使ってるスペース。俺達はまず二階に上がった、倉庫を住めるように片付けるのが最初の仕事だ。
親父の仕事関係の専門書やら、海外にもよく行くための荷物やらが散乱していた。
「少しは片付けろよ・・・」
惨状を見た俺からの一言。そういや、母さんがむやみに入るなと言っていたのはこの事かと理解した。
母さんもコレの整理にはよく手間取ってるようだ。掃除や、整理がまったく駄目な親父。
現状不必要なものは、この部屋に放り投げていたのだろう。
「まぁ、硬い事言うな。さぁ、ちゃっちゃとやろう!」
軽いのりの親父だが、そんな親父に(きちんとしてれば整理する事もなんだけどな・・・)と心の中で悪態を付いた。
適当な親父のおかげで、思いの他時間が掛かった。後から来て、ミクや母さんが手伝ってくれたおかげで何とかなった。一方邪魔者扱いを受けた親父は、ミクの荷物を一人で二階に上げていた。
ミクの調整用のベットは、組み立て式。親父はばらした状態で、運び上げる。
あらかた片付いた部屋に色々と運び込んでいく。
俺は田島さんからの知識を元にベットをくみ上げる。調整用のPCとリンクさせたりと、整備関連を始める。おやっさんがくれたベットは、簡易と言っても良い物だというのはこの時に解った。コードによる接続式ではなく寝るということによる、接触式になっている。古い型のロボットではコード接続式しか駄目だがミクは現在でもそこそこの型なので接触式にしっかり対応していた。
「後は、大丈夫か?」
俺が、PCをいじっていると親父が声を掛ける。
「大丈夫、設置終われば俺一人でメンテ等いけるから」
PCのモニターからは目を離さずに答えた。
「そう、ならミクちゃん、私と一緒にお風呂に入りましょう。大丈夫よね?」
母さんは声を弾ませる。
「はい、耐水性もきちんとしているので大丈夫ですよ。きちんと洗浄できる仕様になってます。でも、マスターが・・・」
「行って来い、こっからは俺の仕事だよ」
心配そうに俺に声を掛けてきたが、俺は大丈夫とばかりにミクに背を向けた状態で左手をあげる。
「わかりました、行って来ます」
そういって、ミクと両親はミクの部屋を後にする。


俺はPCのモニターと睨めっこだ。おやっさんは俺なら出来ると考えて、あえて色々設定等は抜きで俺にこれらをよこしてくれたのだろうと考えていた。
眠気がこみ上げてくる、時計を見たら11時を回った所だ。
俺はベットの設定をアレコレいじる。彼女達ロボットは、一日分のデータを調整という形で圧縮したり削除したりして脳内データがいっぱいに無いならないようにしていた。また、ネットワークを介して自己データのアップデートやらも行う他、自己の各種管理を円滑に行うためにスリープ状態でのチェック作業がある。その為様々なロボット達は、付属品として調整用のPCが付いてくるのだ。
しかし、コレは人間がきちんと毎日管理したりしないときちんと機能しない。簡単に言ってしまえば、『マニュアル調整』、調整用と言っても付属品のPCできる事も限られてくるという話。
このマニュアル調整は、事の他面倒くさい。田島さんの所ではそれが主となるのだが、所詮は付属品、専門的な業務用ではないのだ。
それを簡単にしてくれるのが、もらった調整用のベットというわけだ。
調整用のベットには、簡単な人工知能の様な物が付いていてロボットの自己管理システムのサポートをする。そして、調整用PCとリンクすることによってオーナーが組み立てたやり方によって自動的に調整をしてくれる代物だ。ロボットほどでは無いが、こいつも相当な値段がする。
そんなものをポンとくれた、おやっさんには感謝の気持ちでいっぱいだった。

田島さんの教育のおかげだ、思いの他早く作業が終了した。
「もう、ミクがいつ寝ても大丈夫だな」
そう言って、俺はミクの部屋を後にする。
下からはミクと母さんの談笑が聞こえる。下に降りて声のする部屋を除くと、母さんのパジャマに包まれたミクの姿があった。
風呂上りだからなのだろう、二つに結われた髪の毛はバサッとしていた。
「よう、終わったぜ・・・」
ちょっと、疲れが出てき始めたのだろう俺の声は力を失っていた。
「お疲れ様。今、お父さんがお風呂に入ってるから」
「マスター、お疲れ様です。」
二人の笑顔は、疲れた俺を癒してくれる。言葉にはしなかったが、コレはコレで良いものだと思った。
少し、居間で三人団らんを楽しむと親父が風呂から出てきて、冷蔵庫に入ってるビールをあさりる。
俺は、入れ替わりで風呂に向かった。

風呂に入って、ようやく一息ついた。
つまらないと思っていた日、しかし、そんな日が急に楽しそうな日に変わった。
退屈と感じていた日、しかし、忙しい日に一変した。
長い一日だった、そう感じた。ミクとこれから始まる生活、俺の日常はどう変わっていくのか・・・期待や不安でいっぱいだった。
もう、つまらないと考える生活ではない。コレからをどう過ごすかと、考える生活に変わって行く。
これから俺はどうするのか、どこに行くのか、そんな事を考えていた。
                                   風呂から上がると、親父達は楽しそうな声を上げる。両親は思い思いに彼女を歓迎しているようだった。
俺もその輪に入り、夜は更けていった。
 

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

奏でる想い歌 新しい家族3

この話は気が付いたら長くなっちゃいました^^;

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閲覧数:102

投稿日:2009/06/09 23:07:22

文字数:2,249文字

カテゴリ:小説

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