【憎むようで、憎めないようで・・・】



「あれ、雑音・・・?」


低い声の方に振り向くと、そこには久々に会う者の姿があった。


「アカイト・・・・か」


フッと冷たく笑うと、すぐに相手との視線を逸らす。


雑音は先程からずっと、秋空の下にいる。
ついこの間までは、蝉が煩く鳴いていたのに今はその声すらしない。
それに、木の上に突っ立ているのか、さっきからやけに風が来る。
肌を晒している腕を組むと、木にもたれかける体勢になった。


「オメェと会うのも久々だな」


木にもたれかけた体勢のまま、顔だけを相手の方に向けてみる。
「激辛ッ!キャラメルコーン」と書かれた菓子を真剣に食いあさるアカイト
・・・・・てか、それ最早、キャラメルコーンじゃなくね?キャラメルじゃねーし。
という思考を秋風に飛ばし、「おいしいか?」と低い声で尋ねる。
アカイトは食べる手を止めず「辛ェモンはみんなうめぇんだよ」と素っ気ない返事を返す。
「おいしい・・・か」そう呟くと急にお腹がグルルゥ~と鳴る。
お腹を優しく撫でると、スタッと華麗に木から下りる。
確か野郎(マスター)に買いに行かせたトマトがあるはず・・・そう考えながら、台所へと向かう。
菓子を食べる相手の横を無言で通りすぎる。
久々なのに少ししか話してない・・・そう思っていると突然隣から、「オイ」とぶっきらぼうな声で呼ばれた。


「なんd「お前、腹減ってんだろ?」

ニタニタと笑う相手を目の前に「ち、違うッ」と強く言う。


まさか、聞かれていただなんて・・・。


「ふーん・・・ならいいんだが。あっ、そういやぁさっきよ、あの餓鬼姉弟が冷蔵庫にあったトマト持ってったぞ」


「どうやら、あのトマトをミキサーにかけて血を作るんだとよ。ククッ、もうすぐでアイツ(カイト)の馬鹿顔が見られるぜ」と笑いながら呑気に語りかける。


・・・・あの、黄髪姉弟ただじゃおかねー。


怒りがどんどんと込み上げてく。すると突然、グイッと腕を引かれた。


「ッ!な、なにをっ」


顔を上げると、まだニタニタ笑う奴の顔。
退けようとすると、今度は腰に手がまわってきた。
この状態はどこからどう見ても、抱き合っているようにしか見えない。
顔が赤くなるのを必死に抑え、必死に離れようとする。
「そんなに嫌がんなくてもいいじゃねェか」と言われるが「黙れッ馬鹿者ッ!」と強く反発した挙句、ようやく逃れることができた。
フーッと息をつくとすぐさま、ギロッと相手を睨みつける。
だが、相手には効かないのか先程と同じようにニタニタと笑う。
挙句の果てには、「そんなんでこの俺を怖がらせられると思ってんのか」とデコピンを喰らった。
ついに限界が来たのか、相手の胸倉を強く引っ張る。
そして相手に殴りかかろうとした、その時!


グルルゥ~。


さっきよりも盛大に鳴った。
「ハッ」とすぐさまお腹を押さえ、顔が赤くなるのを必死に堪えた。


「ハハッ、やっぱ空いてンじゃねーかッ」


雑音のお腹を指差してデカい声で笑うアカイト。
まさかこんな屈辱が待っていたなんて・・・雑音は耳を塞ぐように耐えた。
いっそ逃げ出したい。けれど、ここで逃げだせば負けを認めることになる。
人一倍、プライドがある雑音にとっては頭を抱える出来事だった。

すると、「ホラよっ」という声と同時に何かが差し出された。
よく見るとそれは真剣に食べあさっていたあの、激辛ッ!キャラメルコーン。
食べようか・・・でも、食べてしまえば・・・自分のプライドがまた邪魔をする。


(背に腹は代えられない・・・か)


(ここは負けを・・・認めよう)


相手に差し出されたキャラメルコーンを取ろうとする・・・・・が。


「なーんてなっ、タダで食わせるワケねーだろ」


「・・・・はぁ?」


タダで食わせるわけねぇ?何様のつもりだっ!!
久々の再会でこんな仕打ちは程がある。


「テメッ!ふざけるのも大概にッ「ほら、アーン」


あ、アーン?

「俺の気が切れるめェに早くしろ、ほら、アーン」とキャラメルコーンを持つ指をピクピクと動かす。


「なんだァ?恥ずかしいのかァ?」


「・・・ッだから、どうしてそれになるんだッ」


「なんだ、やっぱ恥ずかしいのか」


「そ、それはッ・・・」


「ククッ・・・早く素直になっちまえよ」



「ほら、アーン」




ドキッ。
急にニタ顔から、優しい顔になる。
ん?ドキッてなんだ・・・?
雑音は目をギュッと瞑りそぉーっと近寄り・・・・そして、



パクッ。



「・・・うめェか?」


「・・・・うん」


「ハハっ、そうかそうか。」


ポンポンッ。優しく雑音の頭を撫でる。
顔は真っ赤で上げることはできない。
すると急に、ギュッと優しいぬくもりに包まれた。
そして耳元で低い声が囁かれる。


「ったく・・・やっと素直になったか」



その時は何故か・・・・殴りたいとは思わなかった。




END




おまけ。

初音「雑音~今日、アカイトに抱きしめてもらってたでしょ?」ニコニコ

雑音「!!」

みられてました。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

僧むようで、憎めないようで・・・

アカザツ!(ネーミングが…)
今回は雑音とアカイトをラブラブさせてみました^^
この2人お似合いだと思いませんか!?
私の中では雑音はツンデレ設定です。
あの、クールな性格にたまにでるツンデレ・・・
最高ですッ!萌えるッ!!
この2人また出したいなぁ~。

閲覧数:134

投稿日:2011/11/26 00:58:33

文字数:2,148文字

カテゴリ:小説

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