タグ:雑音ミク
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銃。それは私が持っている知識の中で、数少ない嫌悪と恐怖を示すもの。
艶のない黒一色に覆われたおどろおどろしい外見は異様な空気を纏い、手に取ればその見た目以上の重量が手の平から体の芯に食い込む。
弾丸を込め、機関部に初弾を装填したときの金属音は、威圧的に刺々しく耳に刺さる。
そして引き金を引い...THE END OF FATALITY第八話「Close Quarters Combat」
FOX2
高度五万フィートを飛行する空中巡航護衛艦ネブラに侵入して数分。
神経を張り巡らし、硬く銃を握りしめ、一歩一歩探るような足取りで、私は格納庫から機首側へと向かう通路に足を踏み入れた。
通路は思っていたより狭くはない。普通の軍艦の様な狭さを想像していたけど、それに比べたら地上の施設と変わらないみた...THE END OF FATALITY第七話「異形の獣」
FOX2
ネブラに何とか着艦した私は、まともに身動きがとれないまま、着艦の際に空中で私のスーツを掴まえたアームによってエレベーターに固定され、ネブラの奥深くへと取り込まれていった。
少し戸惑っていると、ランスからの無線が入った。
「レーダーやソナーで確認した限りじゃ、生体反応も熱源反応もない……。」...THE END OF FATALITY第六話「私」
FOX2
午後3時30分。すでに黄金色に染まりつつある高度6万フィート上空を、私は亜音速の速度で飛行し続けた。硬いスーツ越しでも、風が摩擦し、体を締め付けるGの感覚が心地よい。
しかし、あまり自由な飛行を楽しんでもいられなかった。ディスプレイに表示された通りの航路を飛行しなければならないし、高度も速度も固...THE END OF FATALITY第五話「Enemy In Bound」
FOX2
微かな振動が響き渡る中、無線から博貴の声が聞こえ、同時にバイザーの中のモニターに博貴の顔が映し出された。
「大丈夫……良好だ。」
あの基地でスーツを装着した私は、その後すぐにアンドロイド搭載用のステルス輸送機に搭載され、急ぐように空へと打ち上げられた。バイザー内に表示された高度計には、現在...THE END OF FATALITY第四話「再飛翔」
FOX2
その施設は、大きなドームとそれを繋ぎ合わせる通路だけで作られており、どうやら間に合わせで急に立てられた仮設基地のようだった。ただの広大な空き地に、わざわざこんなものを建て上げたのだろうか。
敏弘さんと別れた後、空軍の制服の人は「どうぞこちらへ。特殊作戦作戦指揮官と技術主任までお取次ぎいたします。...THE END OF FATALITY第三話「黒い翼」
FOX2
唄音ウタ。愛称はデフォ子と呼ばれる、15歳の少女。カイトからの支援で就職した広告会社で、いつもと変わらない退屈な日々を過ごしていた彼女に、突然「アンリ」と名乗る謎の女性から警告の電話がくる。その直後、アンドロイド平和統括理事会の査察部隊・トリプルエーの議長¨健音テイ¨が現れる。ウタは部屋を変えて息...
「VOCALOID HEARTS」~第23話・闇の兆し~
オレアリア
あの事件の直後……壮絶な非日常から帰ってきた僕らを待ち受けていたのは、何事もなかったかのように、そしてプログラムされたように普遍的な日常とそれに対する疑心暗鬼だった。
僕はあの事件から生還した直後、口封じでもされるかのように、地下研究所への異動と急務を命じられ、心の支えであるミクと一ヶ月間会うこ...THE END OF FATALITY第二話「過去の者」
FOX2
『みんな、俺たちのライブを聞きに来てくれてありがとう!今日は、盛り上がろうぜー!!』
「きゃぁぁぁああああ!!不破さぁぁああああん!!!!」
ライブが始まった。キッチンダンプズという四人組のアーティストだ。俺も死ぬ前に活躍を何度か耳にした記憶があるが、テレビに出ていなかったのであまり詳しくは知らない...小説【とある科学者の陰謀】第十一話~束の間の対話
瓶底眼鏡
目を開けると、そこは真っ暗な世界だった。
音もしない、光もないこの場所には、私しか他の者の気配はない。
重い体を起こそうとする。
が、体が動かない。
辛うじて、瞬きはできるが、指の先やピンク色の唇はビクともしない。
世間ではこれを、「金縛り」と表現するらしいが、どうやらこれは金縛りではなさそう。
と...もうヒトリのワタシ
木穂
【憎むようで、憎めないようで・・・】
「あれ、雑音・・・?」
低い声の方に振り向くと、そこには久々に会う者の姿があった。
「アカイト・・・・か」
フッと冷たく笑うと、すぐに相手との視線を逸らす。
雑音は先程からずっと、秋空の下にいる。
ついこの間までは、蝉が煩く鳴いていたのに今はその声すらしない。
...僧むようで、憎めないようで・・・
木穂
あれから数分が過ぎた。……と思う。携帯電話も完全に動かず、時間なんてとても分からない。それに、もう私にはそんなことはどうでも良くなっていた。
こんな暗いところに閉じ込められて、博貴と話すことも出来なくて、私はもう無理に外に出ようとせず、止まる気配のない貨物エレベーターの隅でうずくまり、駆動音が出...THE END OF FATALITY第一話「闇から見上げる兆し」後編
FOX2
ちっぽけな愛情
「雑音!ねぇ、雑音ってば!」
「なんだよっ、昼寝の邪魔すんな!」
初音は昼寝中の雑音を乱暴に叩きながら起こすと、雑音はひどく寝起きが悪かった。
それもそのはず、雑音は今さっき、好物のトマトを腹いっぱい食べる夢を見ていたのだ。
「だって、暇なんだもん・・・ねぇ、私と遊ぼう?」
「やなこ...【初音ミク】ちっぽけな愛情【雑音ミク】
木穂
「本当に……ありがとうございました!!」
チンピラ達が連れて行かれ、色々と混乱が収まった路地裏には
、今、ペコペコと頭を下げるハクさんと、照れる鈴音コンビの姿があった。
「いえいえ、当然の事をしたまでですよ……それよりハクさんにデルさんですよね!サイン下さい!!」
すると、ララの周りに《HoneyB...小説【とある科学者の陰謀】第十話~波乱と男心~その4
瓶底眼鏡
はちゅね像とは、ピアプロで一番大きな広場の真ん中に鎮座する、巨大なはちゅねミクの銅像のことだ。
何かの記念に配置されたらしいのだが、とにかく目立つのでピアプロで生活する人々やボカロ達からは渋谷のハチ公みたいにわかりやすい待ち合わせ場所という認識で定着している。
その例に漏れず、俺もまたここでハクさん...小説【とある科学者の陰謀】第十話~波乱と男心~その一
瓶底眼鏡
「……」
街のざわめきが遠い。
パフォーマンスを行っていた商店街を離れ、住宅街まで戻った俺が第一に思ったのは何故かそんな事だった。
夜の帳が降り始める中、俺が立つのは一つの宿舎の前。
普段俺が日常生活を送っているものより数段綺麗なそれは、亜種の中でも凄まじい人気を誇る者のみが生活を許されている、言わ...小説【とある科学者の陰謀】第九話~祭りの始まり~その三
瓶底眼鏡
量産化祭中には、様々なイベントや出し物がそこら中で行われている。
その大多数は、初音ミク人気に惹かれやってきた客に自分たちを知って貰おうと考えた亜種達が開いたものだ。そしてそういった中に混じり、また、《男の娘☆ボカロ同盟》も
活動をしていた。
「リッちゃーん!こっち向いてー!!」
「サイン下さいサイ...小説【とある科学者の陰謀】第九話~祭りの始まり~その二
瓶底眼鏡
3、2、1、ポーン。
『たった今、初音ミク量産化祭が開催されました!今日はまだ一日目ですが、既にピアプロの中は人でいっぱいです!!この日の為に全国、いや世界中からボカロファンが集まったということで……』
ピッ。
『……ょうは、長年ボーカロイドについて研究をしてきた、高坂晋太郎教授にお越し頂きました。...小説【とある科学者の陰謀】第九話~祭りの始まり~その一
瓶底眼鏡
「いやーみんな、おーつかれさまー!!」
数時間後、セントラルビルを脱出、散開したのち、俺たちは我らがアジト(因みにアジトは宿舎の地下にある。本当にいつ作ったんだ)に再集結していた。
「最後の方でハプニングもあったけど、なんとか無事に目的は果たせた……よって今回の作戦は大・成・功ー!!やったぞ野郎ども...小説【とある科学者の陰謀】第八話~悪の組織、始動~その3
瓶底眼鏡
「おお、もうこんな時間でゴザルか……」
「これでお別れなのは名残惜しいスねー……でも仕方ないス、じゃあね、シグナちゃん!」
「はい、行ってらっしゃいませー……はぁ」
ヲタ二名を見送り、俺は漸く一息ついた。個室にいる間ほとんどぶっ続けで歌い通しだった。常人なら喉を痛めるだろうが、そこは曲がりなりにも俺...小説【とある科学者の陰謀】第七話~最悪の一日~その二
瓶底眼鏡
ピアプロの商店街の中でも目立たない一角にある、ボーカロイドの経営するメイド喫茶、通称ボーカメイド喫茶「あーくのーれっじ」。
開店前のこの店の更衣室から、けたたましい笑い声が響いていた。
「サイッコー!シグもうあんたサイッコー!!ぷくっ、ぷくくく……アハハハハ!だめ、もう耐えらんないアッハッハッハッハ...小説【とある科学者の陰謀】第七話~最悪の一日~その一
瓶底眼鏡
(なんなんだ、こいつら……!)
ゲームのコントローラーを握ったまま、俺は戦慄にうち震えていた。
「つ、強すぎるだろ……」
現在、画面では他にミク、リン、レンの使用する四人のキャラが入り乱れている訳だが……俺の使用するキャラ「偽装英雄 シグルド」は、他の三人とは距離を置いた場所に退避していた。
(様子...小説【とある科学者の陰謀】第六話~電子の歌姫~その二
瓶底眼鏡
「ここが、鏡音の家か……」
ピアプロの敷地内の中でも「住宅街」と揶揄される、ボカロや一部のピアプロ会員たちが住むマンション群が建ち並ぶ一角に、どこか場違いの感すらある一軒家が幾つか建っている場所がある。初音ミクを始めとする、俗に言う公式ボカロ達が暮らしている家々だ。
その一つ、表札に「クリプトン公式...小説【とある科学者の陰謀】第六話~電子の歌姫~その一
瓶底眼鏡
「きゃああああ!!助けて、誰か!!」
薄暗い路地裏に、絹を裂くような悲鳴が響き渡る。
「クックック……無駄さ、ここには誰も来れない、そう、だぁれも、ね……さて、そろそろ眠らせてあげるよ!!」
いたいけな少女を取り囲む無数の陰。その中でもリーダーらしき怪人が、カマになった腕を振り上げる。まさしく絶対絶...小説【とある科学者の陰謀】第五話~青いマフラーなびかせて~その一
瓶底眼鏡
「……」
(……どうする……)
俺に許された選択は2つ。
一つは普通に一言残す事。俺の面子は保たれるが、どんなリスクがあるかわからない。最悪もう一度死ぬ。
一つは組織の宣伝をする事。俺の命は助かるが、無数のギャラリー、そしてハクさんに狂言を吐く変人と認識されかねない。最悪死ぬ。社会的に。
即ち、どっ...小説【とある科学者の陰謀】第四話~天国と地獄~その二
瓶底眼鏡
こうして、俺の歓迎会が始まった訳だが……
「なんつう規模だよ……」
数にして200は下らない亜種ボカロ達が、順番に舞台に上がって歌や踊りを披露してゆく。今は初音ミクを男にしたみたいな奴(おそらくは初音ミクオ)と、KAITOを女性化したみたいな奴(おそらくはKAIKO)がカンタレラなる楽曲に合わせ踊っ...小説【とある科学者の陰謀】第四話~天国と地獄~そのー
瓶底眼鏡
「ここは、確か商店街だっけか……」
俺の視界には、様々な店が建ち並び、人やボーカロイドが騒々しく行き交う光景が映っていた。
なんでピアプロの敷地内にこんなものがあるかといえば、ピアプロの敷地が広がるにつれて仕事が忙しくて外までろくに出かけられない人やボカロ達が増え、ならいっそ中に店を作らせてしまおう...小説【とある科学者の陰謀】第三話~黄色の二人、現る~その二
瓶底眼鏡
「さて、と。どこから回る?」
「お前の好きに案内してくれよ。ところで……」
俺は宿舎の隣にあった建物を指差した。
「ありゃなんだ?宿舎っぽいが随分こっちとは趣が違うな」
「ああ、あれは私たち亜種の中でも大人気な……いわばVIPの宿舎よ。見た目通り中もこっちより豪華だわ。一部屋に二人押し込められたりも...小説【とある科学者の陰謀】第三話~黄色の二人、現る~その一
瓶底眼鏡
(汚い部屋だな……)
部屋の中は酷い惨状を呈していた。
床には雑誌やお菓子の空き袋などが散乱している。流し台は洗っていない食器が乱雑に積まれ、タンスからは強引に押し込められた衣類が飛び出している。何故かベッドの上はきれいだったが。
(掃除できないロボットっているんだな……)
そういえば、実体化亜種ボ...小説【とある科学者の陰謀】第二話~潜入~その二
瓶底眼鏡
探していて 探していて
見えなくても
君の声が 僕の涙を 花弁に
変えてく...
好きになる? わからなくて
自分勝手な君を 突き放した
胸がきゅって 音をたてた
だけど 僕は 気づかないふりで
飴よりも甘くて コーヒーより苦くて
曖昧な残像 消えてしまえば、...Jewel
さっつん@生主