3、2、1、ポーン。
『たった今、初音ミク量産化祭が開催されました!今日はまだ一日目ですが、既にピアプロの中は人でいっぱいです!!この日の為に全国、いや世界中からボカロファンが集まったということで……』
ピッ。
『……ょうは、長年ボーカロイドについて研究をしてきた、高坂晋太郎教授にお越し頂きました。今回の初音ミク量産化が、今後どのような影響を与えるか……』
ピッ。
『……れから三日間にわたって、スーパーアイドルの私GUMIとボカロ亜種の派音ユウカちゃんの2人で、このお祭りを行き当たりばったりにリポートしちゃおうという特別企画……』
ピッ。
『……CALOID FANチャンネルでは、初音ミク量産化祭に合わせ秘蔵の初音ミクライブ映像を公か……』
ピッ。
『……ク量産化祭、世界中から歓喜の声が上がる一方で、未だボーカロイドに関する法整備が整っていない中でクリプトン・フューチャーメディア社が販売に踏み切った事を批判する声も……』
プツン。
「だあああああああもおおおおおおおおおおおお!!なんでどのチャンネルもこの祭りの事しかやってないのよおおおおおおおおおおおお!!!!」
「仕方ないだろ、歴史が変わる瞬間だぞ」
テレビのチャンネルを切り替えながら頭をかきむしる雑音に、俺は押し入れからテレビを覗きながら言った。
今まで、ボーカロイドは亜種含めその殆どがピアプロの内部にいた。それには様々な要因がある訳だが、やはり最大の理由は基本的に彼らが個人の所有物となり得ない事だろう。
とんでもないコストがかかる以上、ボーカロイドの製作は必然的にグループ単位の仕事となる。そのため、「誰が所有者になるか」について問題が発生する訳だ。その結果、大概はピアプロの宿舎に送る、すなわちクリプトンに預ける形となっていたのだ。
しかし、今回の「初音ミク量産化」で、ボーカロイドを完全に「個人の物」にできるようになる。
それはすなわち、一般の人間社会にボーカロイドという存在が、「心」を持つ人外の存在が、しかも非常に特殊な形で食い込んでゆくという事だ。どうあっても世界は揺らぐだろう。
……とはいえ、発売日は祭りが終わった次の日なのだが。
「でもだからってさー、騒ぎすぎじゃない!?大袈裟っていうかさー……聞けばあいつが実体化した時もすごかったんでしょ?だったら同じ見た目の私が実体化した時も凄くて良かったじゃない」
俺に向かって口を尖らす雑音。言い分が無茶苦茶過ぎる……というか要は初音ミクが気に入らないだけなんだろうが。
「実績知名度性格三拍子揃って負けてるからだろ。向こうは公式プラス世界初の補正付きだしな」
「性格は負けてないわよ!!あんな大人しいのより私の方がいいって人は絶対いるわ!!」
「ごく少数だな」
すると目覚まし時計が飛んできたので、押し入れの戸を閉めてガードした。目覚まし時計は戸に当たって鈍い音を立てる。
「ちっ、当たりなさいよ……ああ、それにしても暇ねぇ」
「外に出ればいいだろうが」
「絶対に嫌」
俺の提案をバッサリ切り捨て、雑音はベッドに腰掛けボカロウォーターの栓を開けた。
この三日間、彼女は一般公開されていないエリア、すなわち住宅街から出ない心積もりなのだ。そのための食料品も大量に買い込まれており、ただでさえごちゃごちゃした部屋は大変な様相となっている。
「ていうかあんたもヒマなんでしょ?今日どうすんのよ」
「そうだな……」
切り返す雑音に、俺は腕を組んで考え込む。
びんぞこの計画に関しても本格的に動くのは三日目を想定しているらしいので、それまでは俺もやらねばならぬ事がある訳でもないのだ。
(とりあえず午後7時からのハクさんのライブイベントには出席するとして……)
「お邪魔しまーす♪」
「ん?」
その時、突然の来訪者が部屋の扉を開いた。
「あれ、ラミアじゃん。どったの?」
「うん、ちょっとシグ君に用が……っていない?声が聞こえたんだけど……」
「いや、そこ」
とっさに押し入れに引っ込んだものの、あっさり雑音に居場所をバラされる。
すぐさま薄暗い部屋の中に眩しい光が差し込み、桃色の髪のボカロが中をのぞき込んできた。
「やっほー。こんな所が好きなんて、変わってるねシグ君も」
「余計なお世話だ。因みに俺はこれからとても忙しくなるのでお前の誘いには乗れないぞ」
「さっき暇って言ってたじゃん。後、私の誘いじゃないよ」
「え?」
俺が疑問符を浮かべると同時、ラミアの背後から小柄な人影が進み出た。
「久しぶりだね」
「お前は……」
そこにあったのは赤毛を真ん中分けにしたつり目の少女……否、男の娘型ボカロ・波音リツの姿だった。
「何の用だ?」
「いや、あの時のお礼がしたいと思ったんだけど……迷惑だったかな?」
「ああ、全くdもごっ!?」
俺が文句を言おうとした刹那、ラミアが俺の口を塞ぎ、雑音が俺の首を無理やり縦に上下させた。なんという息のあった連携プレー……
その光景に若干引き気味のリツに、雑音が親指を立てる。
「是非させて貰うってさ!!さあ連れて行って!!」
「え、あ、うん……」
「むがっぷはっ……おい俺はそんな事一言も言ってないぞ!!」
戒めを逃れた俺が雑音に怒鳴ると、リツが少し残念そうな顔をする。
「そうか……少しは君の助けになりたかったんだけどな……」
「うっ……」
波音リツは男の娘だ。それは何度も言われる中で皆重々承知している事だろう。
しかし、見た目はもう完全に可愛らしい女の子なのだ。そんな相手にこんな表情をさせてしまうと流石に罪悪感を感じる……
「シグ君……お願い」
「全く、こんな可愛い娘の誘いを断ろうだなんて、あんたも酷いわよねー」
「お前は黙ってろ雑音」
期待と不安が混じったような視線で俺を見つめるリツと、俺に向かって手を合わせるラミア。非常に断りにくい空気が、そこにはあった。
(もしかしたらただの誘いかもしれない訳だしなあ……)
そう考えると余計に断りにくい。
2人の視線に根負けし、俺は投げやりに言った。
「……わかったよ……」
「本当!?やったー!良かったねリッちゃん!!」
「うん。ありがとう、シグ」
「……ああ、どうも」
喜ぶ2人を見て、俺は、女装関連でなければいいなあ……と、儚い夢想をしたのだった。
小説【とある科学者の陰謀】第九話~祭りの始まり~その一
更新しました!前回から随分間が開いた割には短くてすみません!!
まずは今回お借りした亜種を紹介します!
・きなつさん
派音ユウカ(http://piapro.jp/t/9nnz)
・azuki×nagisaさん
虚空音ラミア(http://piapro.jp/t/qarh)
今回は二名のみ、そしてユウカちゃんは出番ほぼなしという事態に……なんかもう皆さん本当に申し訳ありません……
そして小物でVOCALOID HEARTSとコラボ!!果たしてこの程度のコラボをコラボと呼んでいいのか……何がコラボか探してみよう!←
次話は早めに更新できたらなぁ……むりぽだけど←
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ゆるりー
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ご意見・ご感想
オレアリア
ご意見・ご感想
びんさん今日は!
待望の第9話、うpされるのをずっと待ってましたよ!
遂に始まったミク量産化際、現代情勢が揺れている中で果たしてシグ達はどう動くのか…?
てかこちらのグミやらボカロウォーターとかが出演してるっ!?
所々に嬉しい小ネタが入ってて思わずニヤリとしてしまいましたww
こちらも陰謀シリーズのコラボもどんどんさせて頂きますね!
びんさんも私生活がかなりお忙しそうですね…!
僕も試験前に突入していて更新が滞っていますが頑張ります!
ネタはあるのに時間が(ry
次回の更新もずっと待ってますね!
期待してます!!
2011/06/25 08:37:48
瓶底眼鏡
こんにちは!
本当に待たせてごめんね!!
ですねぇ……しかし、動くのはシグ達だけとは限らんのですよ←
ほぼチョイ役ですが出してみました!
大きなネタではまだ絡めづらかったので、これで勘弁してくだs(ry
ありがとうございます!楽しみにしてます!!
最近本当にやりたい事が出来そうな感じなので今やってるサークルを辞めそうな気配が……そうでもしないと経済的に破産しそう←
試験前とか自分普通に遊んでましたが何か?←
大丈夫!ネタも時間も存在しえない自分より遥かにましさ!!←
2011/06/25 09:03:26
絢那@受験ですのであんまいない
ご意見・ご感想
ミクさん量産化いよいよ! よし、臓器を売って金w(やめぃ!
ほとんどミク量産化祭の番組内容ですかwwwミク嫌いな人乙って感じですね。まあそんな人いないと信じてますが←
いやいや、女装関連でおkでしょ!だってシグですから←
次回楽しみです。
2011/06/24 22:01:55
瓶底眼鏡
一応ボカロと人間には臓器の互換性はないよー、てかあったら怖い←
だから雑音はうんざりしてるのさ☆←
一応二番目と五番目の番組は毛色が違ってたり←
もはや女装はシグのアイデンティティだものね!!←
頑張ります!間違いなく更新遅くなるけど!!
2011/06/24 22:12:46
日枝学
ご意見・ご感想
今日このシリーズ初めて読ませてもらいました 面白いです! 先を読みたくさせられました
続き期待しています!
2011/06/24 21:14:45
瓶底眼鏡
おおお!ありがとうございます!!
更新はどうしても亀になりそうですが、見捨てず読み続けて頂けると非常に嬉しいです……頑張ります!!
2011/06/24 21:24:12