マスターが買ってくれたのは花の髪飾りだった。淡い色のリボンやレースが幾重にも重なって造られた花は、可憐で清楚な印象ながらもどこか落ち着いた雰囲気。なんとなく、可愛らしい雰囲気のものをマスターは選ぶのかな。と思っていた私は、包みの中から出てきた髪飾りに一瞬目を丸くした。
「あれ、気に入らなかった?」
髪飾りを手に、きょとんとした表情の私に、マスターが少し不安げにそう声をかけてきた。
「え、いや。むしろすごく好きな感じです。すごく私は好きです。けど、なんかマスターがこういう感じのを選ぶとは思っていなかったから」
そう驚いたままに私がそう言うと、そうか?とマスターは首をかしげた。
「だって、なんかお前にいちばん似合いそうだったし、それ。」
そう言うマスターに、じゃあ。と私は受け取ったばかりの髪飾りをふたつに結上げた髪に合わせてみた。
「どうですか?似合ってますか?」
「うん、似合ってる」
そう言って、まるで眩しいものでも見るような瞳で見つめてくるマスターに、なんだかくすぐったいものを感じながら私は笑みをこぼした。
髪にあてていた髪飾りを手元に戻して、そっとレースの花びらを撫でた。撫でた指先に熱が宿る。すごく大切にしてそっとしまっておきたい様な。やっぱり毎日使いたい様な。不思議な気持ちだった。そんな気持ちを抱いた胸元でも熱が宿り始める。
「ありがとうございます」
改めて礼を言うと、なんか照れるな。とマスターは苦笑した。
「照れる、けど、喜んでもらえて、嬉しい」
そう言ってマスターは本当に照れたように頬の辺りを赤く染めていた。
夏は終わり秋が訪れ。季節がめぐる中で熱をはらんだ空気がゆっくりと冷やされていく中で、私の中で広がっていった熱は消える事無く静かに、熾火のようにずっと胸の内で燻り続けていた。
冷える事のない熱は身体を蝕み回路を断絶する。切れ切れにちぎれ出した思考はそれぞれで意思を持ち始め、好き勝手に走り始める。
そして暴走は始まる。
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賭羅
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