第十二章
『ナスで御座る』
今日は自室で休む事にした。
本当はミクの曲を作ってあげたい。
今すぐにでもPCに向かいたいのに・・・・・・・・・・。
ゴロッと横になるとPCの画面が揺らいだ。
「ミク・・・・・・・?」
呼んでいないのにでて来るなんて・・・・・・、どうしたんだろう?
私はベットの頭を上げて座るような体勢になった。
すると何時もならブーツが見えるはずなのに今日は草鞋が見えた。
ミクったら、何時の間に和装になったのかしら。
なんて思っていたらニュッと出て来たのは紫髪の和服の男性だった。
「なっ・・・・・・・・!!?」
ミクがでてくると思っていた私は急に知らない人(?)が出てきたことに対して驚いた。
するとその人は私のベットの方まで来て膝を床についた。
「いきなりの訪問、お許しくだされ」
「はい・・・・・・・?」
何語?
いや、日本語なんだけど昔過ぎる。
「某はVOCALOIDの神威がくぽ。
主、宮野香織より文を預かって候」
そう言って私の前に白い封筒を差し出す。
それを受け取ると同時にPCからミクが飛び出してきた。
「マスターっ!!
ご無事ですか?」
「あ、ミクッ。
大丈夫よ、手紙を受け取っただけだしね」
そう言うと良かったぁ・・・・・と言って私に抱きついた。
手紙の中を見ると『突然の手紙申し訳御座いません。詳しくは明日話しますので今日は短文に致します。明日、其方の方へ伺います。もし良ければがくぽにそう伝えてください。 香織』と丁寧な筆文字が書かれてあった。
「香織さん・・・・・・・・・・?」
「某の主、宮野香織と申す」
「がくぽさんは『マスター』って言わないの?」
「『まぁすたぁ』なんて言えないで御座る」
なるほど、和風のVOCALOIDだ。
「えっと・・・・・・・。
じゃあ待っていますって伝えてくれますか?」
私がそう言うと「承知」と言って再びPCの中へと消えていった。
また何時もと変わらぬ部屋に戻り私はミクを見る。
「マスター?」
「・・・・・・・・・・ねぇ、ミク。
もし、私が」
言いかけた言葉を止める。
ミクは不思議そうに私を見ている。
「・・・・・・・・なんでもない。
今日は疲れちゃったね」
そう言って笑った。
するとミクは「歌でも歌ってあげます!」と言って私の好きな曲を歌ってくれた。
それを見ながら私は目を閉じた。
『もし、私がいなくなったらどうする?』
なんて、今の私には怖くて聞けなかった。
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