僕はまた追憶にふけっていた
姉は親から愛されなかったと言った
その憎しみの牙が僕に向いた
「いつもお前ばかり」
「お前さえいなければ」
その言葉は姉の本心だった
子供の前で突然始まる夫婦喧嘩
お金が無いと嘆く母親の顔を殴る父親
馬乗りになって髪の毛を掴み
アザができるまで繰り返し顔を殴り続ける
顔中にできたアザを化粧で隠して出勤する母
僕はそれを見ているのが辛かった

大人になるということ
それは自由になるということ
自由とは責任が伴うこと
責任があれば逃げたくなるし
逃げた先にもまた責任が付き纏う
その息苦しさが僕を縛り付けて離さない
耳障りのいい言葉だけを信じて
盲目に生きれば幸せなままでいられるのか?
親だって完璧ではないと
ちゃんと理解しないと
いつまで経っても許せない
浸っているうちに涙が溢れてきた
令和‪✕‬年九月某日深夜零時頃
僕はまだ、今でもあの頃を捨てられない

僕は十分幸せだった
姉の分までちゃんと親からの愛を受けた
散々やった姉弟(きょうだい)喧嘩も
おあいこの事が多かったし
兄弟とはそういうものだから
何もおかしな事では無いと思った
詰まるところ僕は普通で
誰に言われるまでもなく十分幸せだったんだ
じゃ、この涙はなんなんだ?
この痛みはなんなんだ?
得るのも幸せなことで
失うのも幸せなことならば
なぜ僕はこんなにも悲しいのか?
そうか、僕は帰りたかったんだ
笑顔が絶えなかったあの頃に
僕は戻りたかったんだ

最近僕は泣いてばかりいる
ノイズに紛れて流れる映像
家族や友人の死を、彼らとの思い出を
想像して独り部屋で涙を零す日々
あぁ、もう疲れたよ
本当に疲れたよ
母親は仕事掛け持ちして
家事も育児もこなして
父親からの暴力に耐えて
そんな父親も仕事で差別されたりして
姉は二人から愛されなくて
努力を認めて貰えなくて
同級生から容姿をからかわれて
その憎悪が僕に向いて…
そっか、みんな苦しかったんだな

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

孤独が私を強くした

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投稿日:2024/09/29 16:41:43

文字数:824文字

カテゴリ:歌詞

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