戦乱 落ち掛けた城 主が刃は既に折れ
彼岸に花咲く紅き海 もはやこれまでか
若君 覚悟を定め 汝が情けをその腹へ
世も知らぬ目なれぞ彼の姿 誠が武士(もののふ)よ
ありゃなんぞ分かつ道 喝るがごとくに呻く声
刮目せしやと人が言う
地獄を翔るは 牝馬が御髪よ
我が姉さま角隠し
懐剣 煌めく刃 猛く鳴き疾風や一陣が
五徳も振り切り薙ぎ払う げれつどものきや
花嫁 白無垢が君 朱染めが縁取る打掛を
引きずり千切って咲く飛沫 鬼神がここに在り
女(おなご)ゆえ仕合わせを 希う由したたむ政(まつりごと)
手綱になれやと国を出す
文にて幸い 父なる願いは
あてにゃ過ぎたもん
あれ聞きや 西にこれあり
彼岸がほころぶ城跡に
雄より勇みし姉口伝
鬼神が纏いし嫁衣(よめごろも)
口伝・鬼衣(くでん おにごろも)
これぞまことの鬼嫁よ。
あんまり「勇ましい女性」ってかんじの和物は見ないので書いてみました。女戦士って感じのはよく見るけど、女性らしさと勇猛さのギャップはあんまりないような気がする。
ストーリーは以下。
負けが見え、落城寸前の最期の夜。既に城主は敵に敗れ、跡取りたる若君も自害を覚悟した時である。
血と炎の海を、一陣の風のごとき一騎が切り開く。馬上で奮うは嫁入り衣装。先の見えた戦に巻き込まれないよう父が嫁がせた姉君が、白無垢のまま刃を携え現れたのだ。
後の人々は伝え聞く。西に国母
と謳われた、鬼神が花嫁ここにあり、と―――
お前、ギャップに弱いだろって?あたぼーよ!
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