雨の音だけがむなしく響く6月。
レンの家に行かなくなって、約1ヵ月。
レンは、あの事故からは学校には来ないで、家で勉強をしているため、あれからレンと会っていない。


レンと会わなくなってから、私は気付いてしまった。
私は、レンがいないと、何も出来ない。

私の、レンがいなくても、貴方のような優しい人になれたらいいな、って、思ってたのにな。

やっぱり、ダメだった。
レンがいない、ただそれだけのことで、私にはもう誰もいない気がして…。
それを認めたくない、という気持ちから、私は愛想笑いばかり他人に見せる、つまらない人間になってしまったようだ。


それでも、何か、こんな私でもレンに、少しでも近づけるように…何かやりたい。

そう思って私は、心の中にぽっかり空いた、私に足りない『何か』を探すようになった。
でも、結局何も見つけることは出来なくて…。
その上、レンと会っていないだけで、毎日胸がズキズキと痛んだ。

私は、何も出来ない、変わらない自分と、レンへの認めてはいけない気持ちを誤魔化すように、絵を描くのに没頭するようになっていた。



*****



ある日の学校帰り。

今日は6月に似合わない、すがすがしい晴れの日だった。
しかし私の心は、いつも通りどりゃぶりの雨。
きっと私の心が晴れる日は、きっともうやって来ない…。


家路をとぼとぼ歩いていたら、制服のポケットに入っていた携帯が鳴った。
メールだ。

私はその場に立ち止まってメールを開いた。
差出人は、同じ部活の友達だった。


もちろんのことだが、レンの事故についてはこの学校の私たち2年生はほぼ全員が知っている。
でも、その事故が起こった時に一緒にいた…というか、事故の原因である私のことは、同じ美術の先生と部員しか知らない。

それは、レンとレンの両親が、私が関係していることは言わないでほしい、と学校に頼んだからだった。

それはきっと、これからの私の学校生活が、そのことで台無しになったらいけない、という、鏡音家の優しさからだ。


あぁ…でも…その優しさのせいで、自分たちが苦しむことになってしまったなら、私のこと、憎んでくれたほうがレンたち家族にとっては良かったんじゃないの?
そうしてくれたら、私も自己満足の罪滅ぼしなんてしなかっただろうに…。


メールの内容を読むことも忘れ、またレンのことを考えてしまっていたことに気づき、私はハッとした。

今度こそメールを読もうと画面をみる。
そこには、私を心配する言葉があった。



『リンちゃん、大丈夫?

 この頃…というか、一ヶ月くらい前からなんか暗いような気がするけど…。

 もしかして、レン君のことで何かあった?

 相談とか、いつでも乗るから。
 一人で無理はしないでね。』


私がレンの事故にかかわっていることを知っている美術部の皆は、私に気を使って、優しい言葉をかけてくれたりしていた。

私にとってそれらは、何の支えにもなることはなかったけど。
でも、皆の気持ちは、嬉しかった。


私は数秒そのメールを眺めてから、返信をしないでメールを閉じた。

――気付かれちゃってるのか…。


皆にまで迷惑をかけたくなかった私は、学校では、レンの家に全く行かなくなったことを隠して、いつも通り愛想笑いで生活しているつもりだった。
…普通に、気付かれていたようだけど。


――あれ?

そんなことを思いながら、携帯を閉じようと思った私の目に、未読メールがもう一つあることに気付いた。
なぜか昼過ぎの授業が始まったくらいの時間に届いているそれの差出人は…。

――……!?

――なんで…レンから…?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

空想パレット3【自己解釈】

こんにちは^^

いやぁ、、見事に1年ぶりの空想パレット自己解釈です。
すみません;

2話に続いて、これまた意味わからない内容になってしまっていますが、とりあえず完結を目指して書きたいと思いますww

多分…次で最後になるかなーって思っているのですが…
まぁ次こそ出来るだけためずに早く書きたいと思っているので、、見守ってくださると嬉しいです^^;

偉大なる空想パレット本家様↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9301676

閲覧数:146

投稿日:2013/04/16 14:47:38

文字数:1,529文字

カテゴリ:小説

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