なあ、知ってるか?
 君が読んでるその絵本ってのは、実はその終わり方じゃないんだってよ。
 どういうオチかって? それは僕にも解らないけど……それでも、そんなオチじゃないのは確かだ。
 ……そういえば、こんなこともあるんだっけか。
 この学校のどこかにある“秘密の部屋”とやらにある絵本があるらしいんだ。
 その絵本は――読んだものに取り付くっていうとても恐ろしいものなんだとさ。






≪魔女と学校七不思議Ⅰ≫




-1-

「……ってわけだよ。面白いだろ?」

 神威がくぽは図書室で頻りに話すLEONの言葉をずっと聞いていた。

「あ、聞いてなかった」
「おい! 聞いとけよ!」
「……で、なんだっけ?」
「絵本が、秘密の部屋にあって、その絵本を読むと」
「絵本に取り付かれる」
「なんだよ、ちゃんと聴いてるじゃんか」
「こういう反応したほうが面白いだろ」
「性格ほんとお前最悪だよな」

 神威がくぽとLEONは高校に入ってからの友達だが、わずか数ヶ月でここまで仲良くなるのも珍しいと神威自身も思っていた。

「……じゃあ、これならお前も気を引くと思ってな。この前変わった奴がいる、って言ったろ?」
「まあ、聞いた気がしないではない」
「そいつが、こう言ったらしいんだ。『私は、神威がくぽを欲している』ってな。その言葉を聞いて今クラス中はもちきりだ。もともと自由な校風だから先生から咎められることはないだろうが、気を付けとけよ」
「……僕を欲している? そいつの名前……なんだっけか」
「おぼえておけよ、だいたいの名前くらい。えーと……そいつの名前は……グミって言ったかな」
「そっか、ありがと」

 その言葉だけを聞いて、神威がくぽは図書室を飛び出していった。
 後に残されたのは、本を読むことなど毛頭ないLEONだけだった。



つづく。




ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

魔女と学校七不思議 第01話

『僕と彼女の不思議な日常』:http://piapro.jp/t/w8lN(一話、作者:ゆるりーさん)

『僕と彼女の不思議な校内探検』:http://piapro.jp/t/iN6E(一話)

『僕と彼女の不思議な世界』:http://piapro.jp/t/2lQB(一話)

『魔女と学校七不思議』←イマココ

……ってなわけで新作です。立ち位置は『恋と雨と幼馴染』の長編作品です。楽しんでいただけると幸いです。

閲覧数:197

投稿日:2012/08/24 18:22:35

文字数:788文字

カテゴリ:小説

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