10-2.
「め……メグ?」
学校帰りなんだろう。神崚高校の制服に学生鞄を持ったその友人は、いつもどおりの、よく通る元気な声で私の目の前に立っている。
「そうよ。私が偽者に見える? ほらほら、あたしに会えて嬉しいでしょ?」
正直に言って、嬉しいとかよりも、なんで愛がここにいるのかわからずにポカンとしてしまった。自分がひどい格好してることも忘れて、私は呆然と愛を見上げる。
「どうして……ここに?」
「未来、あんたねー。学年で五番以内に入るその頭はどこに行ったのよ。忘れたの? あたし、ここに一晩泊まったわよ?」
「あ……」
そうだった。愛は、私の家がどこにあるのかを知ってたんだった。
あれからいろんなことがありすぎて、そんなことすっかり――忘れてた。
私がどうしていいかわからないままベッドに座り込んでいると、愛は学生鞄を置いて私の隣りに座る。
「お疲れ様」
愛はただそれだけ言うと、私を抱き締めてくれた。
愛はなんにも聞かなかった。たぶん聞きたいことは山程あるはずなのに、優しく、いたわるように私を抱き締めるだけで。
「メグ、私……」
「いいのよ。なんにも言わないで。つらかったのはわかってるから」
たった一人の私の親友は、信じられないくらい優しかった。優しすぎて私の方が申し訳なくなるくらいに。
私の周りにいる人は、優しい人ばかり。それに比べて私は――。
「ごめんなさい……」
「もう。それ、未来の悪いクセだーって前言ったでしょ? 気にしちゃダメよ」
「……うん。ごめ――」
「こーら」
いつかと同じように、こつん、と頭を私の頭にぶつけてくる。
何を言っても謝りそうだったから、私は何も言えなくて愛のされるままになっていた。でも、イヤじゃない。……嬉しい。
愛の優しさに、涸れていたと思っていた涙があふれてきた。
「メグ……」
「よしよし。もう大丈夫だからね」
その愛の優しさに甘えて、私は久し振りに泣いた。
「あたし……未来のママに嫉妬されてるかもー」
それから少しして、ママがお菓子とお茶を持ってきたあとに、含み笑いをしながら愛はそう言った。
「……?」
その意味がわからなくて、私が視線だけで問いかけると、愛は「だってさ」と続ける。
「会って五分で未来を泣かせてるんだもん。自分にできなかったことをそんなに簡単にやられちゃあ……ねぇ?」
愛はふふ、と笑う。
「ま、それはいいわ。今回はそれだけのためにきたんじゃないしね」
愛はそう言ってブレザーの前ポケットからケータイをとりだす。前に見たのと違うそのケータイを楽しそうにいじりながら、愛は私の隣りで電話し始めた。
「あ、隊長! ターゲット確保しました! 今代わりますー!」
電話口の相手にそれだけ告げると、愛はそのケータイを私に差し出す。
「……誰?」
「電話に出たらわかるわよ」
「……」
そんな愛の返事に、私はおとなしくケータイを受け取って耳に当てる。
「……もしもし」
電話の相手が、まさかその人だとは思ってもみなかった。
[……未来?]
「……え?」
私は呆然としながら、その人の名前を呼ぶ。
「海斗さん?」
その人は電話越しに、申し訳なさそうに[そうだよ]と言った。
ロミオとシンデレラ 41 ※2次創作
第四十一話。
今、ホームページを作成してます。
そちらにも、この「ロミオとシンデレラ」の修正版を載せようと思っています。あと、最終話のバージョン違いも載せてみようかと画策中です。
無事に公開できれば、アドレスをこちらにも載せますので、その際はそちらも併せてよろしくお願いします。
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