ナースロボ_タイプT(ノーマル),
ナースロボ_タイプT(ノーマル), 7月某じつ。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),過去最高気温だという今年はとにかく暑かった。
ナースロボ_タイプT(ノーマル), く類浜町の気温は30度を超えており、海沿いの道を歩いていると
ナースロボ_タイプT(ノーマル),塀や防波ブロック越しに、海水浴客がはしゃいでいるのが見える。


ナースロボ_タイプT(ノーマル),「あつ……
ナースロボ_タイプT(ノーマル),吸血鬼だったら、灰になってるよ」
ナースロボ_タイプT(ノーマル),かのみやまつりはその日、亜麻いろの髪を日傘で隠し、薄手のカーディガンを羽織った格好でふらふらと歩いていた。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),これから、友人と待ち合わせがあるのだが、辿り着けるだろうか。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),
玄野武宏(ノーマル), 「やめろー!」
九州そら(ノーマル),「きゃあああー!」



ナースロボ_タイプT(ノーマル),はしゃぐ半袖、水着の人たちとすれ違いながら、もう夏休みだもんな、とさっきから分かりきっていた事を改めて実感していると
後鬼(人間ver.),「こっちも仕事ですからね! やめてほしいんでしょうけど!!」
ナースロボ_タイプT(ノーマル),際どい水着のおばさんが偉そうに胸を張りながら、誰かを追いかけていった。



ナースロボ_タイプT(ノーマル),「うわっ」とその勢いで、まつりは一瞬座り込みそうになる。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),「びっくりした……」
ナースロボ_タイプT(ノーマル),
ナースロボ_タイプT(ノーマル),最近引っ越してきたこの辺りは、かつて栄えていた港まちで、知り合いの大家が住んでいる。



ナースロボ_タイプT(ノーマル),スーパーが近くにあるほかに、
ナースロボ_タイプT(ノーマル),少し歩くとお土産屋さんや観光客目当ての宿、
ナースロボ_タイプT(ノーマル),それから海水浴場があるといったちょっとしたリゾート地にもなっている為、夏休みは海水浴客とすれ違うことも多い。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),一瞬、遊びに来たのかと錯覚しそうになってしまう。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),(今度覗きに行こうかな……)
ナースロボ_タイプT(ノーマル),
小夜/SAYO(ノーマル),「みゃー?」



ナースロボ_タイプT(ノーマル),体勢を戻していると、白毛に青いリボンの猫がやってくる。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),この辺に住んでいて、漁師のおこぼれを貰っている猫は
ナースロボ_タイプT(ノーマル),ときどき散歩していると会うことがあった。
小夜/SAYO(ノーマル),「みゃー……」
ナースロボ_タイプT(ノーマル),円らな目が、まつりを見上げている。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),人懐こく、撫でてやりたかったが、しかし今日に限ってはそれどころではない。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),「ごめん、今日は何も持ってない」
小夜/SAYO(ノーマル),「みゃー」
ナースロボ_タイプT(楽々),様子を悟ったのか、猫も何らかの返事をすると、海のあるほう――――
ナースロボ_タイプT(楽々),砂浜に飛んでいった。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),どうやら海水浴客の方に行くようだ。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),ばいばい、と見送ってまつりは海を眺めた。
ナースロボ_タイプT(楽々),――――キラキラ、
ナースロボ_タイプT(楽々),遠くで反射している、海。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),あの中に、飛び込みたいと思うもの、なのだろうか。
ナースロボ_タイプT(ノーマル), 病弱で、ほとんど海で遊ぶ経験のなかったまつりには、わざわざ海水に浸かるなんて今ひとつわからない文化だ。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),カーディガンで覆われた肌も、滅多なことが無ければ人前に露出することは無いだろう。





離途(ノーマル),「ん……ん」
ナースロボ_タイプT(ノーマル),呻き声がして、まつりは手元を向いた。
ナースロボ_タイプT(ノーマル), その腕には、実はさっきからずっと、すやすやと寝息を立てる黒髪の少年が抱えられている。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),
ナースロボ_タイプT(ノーマル), 名前はゆきしちななとと言って、まだ14歳。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),つい最近再会したところだ。
ナースロボ_タイプT(恐怖),「ゆきしちななと
ナースロボ_タイプT(ノーマル),01/39番─ タイプは07────……あの統一研究所のやってた人体実験の被験者の一人
ナースロボ_タイプT(恐怖),……まだ
ナースロボ_タイプT(恐怖),若いのに、ね」
ナースロボ_タイプT(ノーマル), 穏やかな寝顔。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),意識を失う前に送られた報告に、何度か「凶暴な子だ」と上がっていたのが微笑ましくも、胸が痛んだ。

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彼とはまつりが『屋敷』に住んでいた頃に出会った。
 いろいろあったものの、最終的には親しくなり、よく放課後に遊びに来てくれるようになった。年頃の子どもの居ない環境だった事もあり、何かと馬が合った二人は一緒に遊んだものだ。

不思議な子だった。
 類まれな記憶力を発揮し、かと思えば反動で突然長く眠る。
まつり自身、その才能に何度か救われた事があった。

ただ……カルテにあった「数字や記号の認識力、時間間隔の欠如」。
記憶しているものの代わりに、本人の識字や身体の内的な時間間隔に影響を及ぼすようである。


――――身体が動かない。時々、急にぼーっとする。
だからよく、怠けてる、って言われるんだ。

――――怠ける? 

――――ずっと見えない何処かに繋がっているような、変な感じがする……
それを意識すると、うまく息が出来なくて。それで、周囲にはそう見えるから怒るんだ

恐らくは脳に高度な負荷が掛かって居て、それを処理する為だと思うのだが……自分でもうまく説明が出来ないのだろう。
 
「今だと何かわかるかもしれないけど……ラボは、屋敷にあったからなぁ」

 まつりの居住地だった屋敷の崩壊、惨殺事件が起きたのは、
――――彼と生き別れたのは
ちょうど今のように暑い、夏休みの頃。

近所に家のあった彼と親しくなり、よく放課後に遊びに来てくれるようになった。年頃の子どもの居ない環境だった事もあり、何かと馬が合った二人は一緒に遊んだものだ。

この頃、「仲の良い友達とは言う事を聞かせる格下の奴隷」とでも本気で思って居そうな兄たちが、まつりが対等に扱っている彼の存在に「許せぬ」「何故そいつに構うのか」と騒ぎ出していた頃でもあり、気を揉んでいたりもしたけれど、未だこの時点では概ね大きな問題は起きて居なかった。
そう、思っていた。

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ナースロボ_タイプT(ノーマル),昼下がりのおばあ様の寝室で、メイドの血が天井から滴っている事を皮切りに誰かが叫んだ事――――
ナースロボ_タイプT(ノーマル),くらいは朧げに覚えているのだが、細部がまだあまり思い出せない。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),確かな事として、その事件以降、彼に会う事はなかったのだが――――




離途(ノーマル),『――うわあああ!? しまっ……!?』
離途(ノーマル),
ナースロボ_タイプT(ノーマル), なんと先日、国立病院に入院していた自分の前に現れた。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),まつりと出会ったときも、ほとんどなつく事のなかったあの彼が、あの日。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),知人である金髪の女性に素直に連れられて来たときには驚いたものだ。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),人体実験をおこなっている研究所の被験者だったところを保護されたのだという。


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――――あの人に、まつりに会ってほしいと言われた。
と。真っ直ぐな目で見つめていたのを思い出す。

『痩せてるね。向こうではちゃんと食べてた?』
『さぁね。あいつら、多数派みたいな顔で指摘してくるけど、皿が動いてるだけでも恐怖だろ。何が優しさだ。一言も言えないのか。盛られてないかとか、どう報告されるのかとか一々気になった事が無いんだ。どんなにトラウマだと言っても「えー、いい人じゃーん!」って』

 彼は、世話を焼かれるのが嫌いだ。
そう言った相手には恐怖にも近い強い拒絶反応を見せる。
 精神的に平穏に生きて来られた側の人間――被験者にならなかった彼らは、他者からの心ない、一方的で何気ない『好き』や『必要』、という言葉が、特に大人からのそれが過剰に恐怖を煽るものだということを知らない。
それでも、まつりの事は覚えていてくれた。
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ナースロボ_タイプT(ノーマル),それから、ショックで失っていた彼との思い出も少しずつ思い出して来た。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),




ナースロボ_タイプT(ノーマル), まつりは確かにあの頃。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),ななとの存在を認めて、一緒に外に出たいと思っていたのだ。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),だから対等に仲良くしたかった。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),閉じ込める必要はない。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),もっと広い世界に出るべきだ。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),
ナースロボ_タイプT(ノーマル),他の事だけじゃない。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),人体実験にまで巻き込んで……他の被験者だけにがし、
ナースロボ_タイプT(ノーマル),01/39【07】番の事だけは隠そうとしていたのも許せなかった。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),自分たちが奪ってきた分を代わりに返して、報われて欲しいと願ってもいた。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),だけど、あんなことになって、きっともう叶わないのだ。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),と、そう思っていた。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),のに、今になってときが来た。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),
ナースロボ_タイプT(ノーマル),もし――
ナースロボ_タイプT(ノーマル),多大な犠牲を払ってでも、外に出たいという願いが叶っているのだとしたら。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),償う為の機会があるのだとしたら。
ナースロボ_タイプT(ノーマル),そう思うと、立ち止まって居られない。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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ハワイアンブルーと群青劇 1

『誰からも公言されない、ぼくたちの「出生の秘密」について、考えたことがあるだろうか?』


朗読台本シリーズ第3弾「なとなと ハワイアンブルーと群青劇 1 」のプロローグです。

https://estar.jp/novels/25882059

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投稿日:2025/10/16 04:58:54

文字数:4,578文字

カテゴリ:小説

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