今日はハロウィン祭り。
年に一度、アラタと逢える。

カボチャのマスクに、ひるがえるマント。

「お菓子くれなきゃ」
そう微笑んで。



「今年も来たんだね、ミミ」
見上げる視線にカボチャの赤い瞳。
「アラタに逢えるもん!」
「……そ?」

今年も私はおめかししてる。
お姫様コスチュームに兎耳。

「ミミ、何処~? 綿あめ貰ってきたよー!」
綿あめ両手に、ニコニコしてるのはユウ。私の彼氏。

ユウは今年も私の大好きな猫耳執事コスチューム☆

「君には彼氏いるだろ?」
耳元にボソッとアラタが囁く。

途端、頬がカーッと赤らむ。

「だって私、アラタに最初に遭ってたら……」

アラタは眉を寄せ、違うと否定する。
「君はとても残酷だ」



「ミミ、なんの話ししてたのー?」

ユウはなにも知らない。
いつもニコニコ、別れようって言うチャンスもくれない。

「タイプの話」
「え!? 僕の話!?」

どうして、ここまで自惚れられるのかわからない。
でも、まぁイケメンなのはわかるし……。
そんな人が彼氏で幸せな筈なのに、
なんで私はカボチャのアラタが好きなんだろう。

「今年もいっぱいカボチャ食べよー」
ユウ、そんなこと言って、手に持ってるの綿あめじゃん。
「綿あめの後で?」
「綿あめ、僕好きだもん! 別腹」

ほんと、可愛いんだかバカなんだか……。

「だけど、綿あめよりミミが好きだよー」
「バッ、バカじゃないの!?」

そんな事言われて、恥ずかしくてそっぽ向く。

「いつものストレートも好きだけど、ハロウィン祭用のくりんくりんヘアも好きー」
この髪はアラタの為、ユウの為じゃないのに!

《触らないで!》

そう声に出ていたのか、それともココロの中だけか……。
ユウは傷ついた目をして、少しよろめいた。


「僕は……」
「……」

「それでも僕はミミが好きだよ」

ユウの後ろで、ヒューッドンドーンと花火があがりはじめる。

初めて泣いた。
ユウが私の前で。

笑顔絶やさずに。



私はその時思ったんだ。

別れられる!
それと、ごめんなさい……。



だけど、私が選んだのは、ユウを抱きしめるだった。

「……え」

「バカじゃないの! 辛いなら言えよ。バカ!」

私だって、そんな、そこまで我慢させてたのわかったら、泣くほどだってわかったら……。

「ううん……ごめん、ミミ。君を縛って」
引き剥がされて、瞼にKISSされた。

「な……っ」

「君は知らないかもしれないけど、僕は」
「?」

ユウがゴクリとツバを飲む音が、やけに耳に残った。



「ハッピーハロウィン!」

みんなお祭り騒ぎだ。
そんな中、私はお化粧を直しもせずベンチに一人座ってた。

「どおして……」

どうして私は忘れていたんだろう?
ユウは5年前の今日、亡くなっていたんだって。

そして、そのことを忘れさせる魔法を持つカボチャに、
いつしか依存していたんだって……。

私の両手には、いつもユウがくれた綿菓子がふたつ握られてる。
私はそのひとつを食べ、もうひとつに涙を落とし続けた。


いつの間にか傍らにいたアラタが私に哀しく微笑んだ。

「俺をお食べ。君に愛をあげる」

アラタがくれた飴をゴクリと嚥下した。
途端、ボワンとアラタは消えていなくなる。

そして、ハロウィンは終わった。



忘れることは幸せなのか?
それを考えるのは来年になるだろう。

どんなに空が晴れていても、なぜだか涙が溢れるんだ。

愛しくて、哀しくて、逢いたくて……。

「ミミ、何処~? 綿あめ貰ってきたよー!」

ハッと振り返る。
そこにはカボチャの姿をした誰か。

「あなたは?」

私は、何も覚えていない。
だけど、こうしたいとわかる。

「おかえりなさい。大好き!」

抱きしめたその人の体からはとても甘い匂いがした。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

ハッピーハロウィン☆(ミミとユウとアラタ) ショートストーリーm(_ _)m

☆自己紹介☆

ミミ 15歳 一人称:私

ユウ 17歳 一人称:僕

アラタ 18歳 一人称:俺

閲覧数:126

投稿日:2016/10/28 17:48:25

文字数:1,616文字

カテゴリ:小説

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