闇夜を裂いた 紅き辻風
終幕の刻告げるベルを鳴らす
悠久を語った歌劇は終わり
うたかたの命は鮮やかに燃えてゆく
度重なる悲劇と破綻を含んだカデンツァ
愛は幻想と 消えゆく世界
まるで報われぬ恋物語(ロマンス)のようで
一つまた一つ石化するペルソナ
気付けばただ一人で終焉を歌うのだ
矢来の盾のシャンデリアが砕ける
自分の足元も見失ったまま
氷魔が吠えるアトムの吹雪(いき)
凍えそうなアダージョ
それでも 終幕に響いてゆく
たった一つの歌声
銀の刃で断絶を切り裂け
不毛の愛を刈り取れ
新たな世界夢見るための
来たるべき終末を
旅人よ 歌い続けよ
結末の果てに何があるのか
そこへ歩む我らがいかに愚かか
その最期の瞬間まで、その瞳で見定めよ
旅人よ 歌い続けよ
無垢なる命に明日を示すため
すぐ側に迫りくる永遠の極夜に
星を穿ち七色の灯を照らせよ
今、終焉の幕が開く―――――
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