♪――…貴方の命 貰いに来たの
いけない事は 100も承知よ
でも 貴方は もう寿命が短いの
覚悟が必要の時期なの
理解してよね…♪―――
今日も平和な一日でありますように…。
そう思いながらもレンは朝起きて、仕事前にリンの為の朝御飯を作る。
体が生まれつき悪かったリンは、レンの双子の姉弟にも関わらず、ずっと寝たきりだった。
起き上がり少し散歩出来るまでになれたのも、ここつい最近の話。
レンが起きて朝食作りの包丁の音で、まだ眠たい瞳をゆっくりと開く。
「…ん…レン……」
「……リン…?
起きたのか?」
「ん、今日は体調良いかも…」
「ふぅん、なら良かった。
飯、もうすぐ出来るからもう少し待っててくれよ。」
「解ったー……」
瞳を擦りながらも、ベットから降り、テーブルに向かい歩いて行き、椅子に腰を下ろす。
少し欠伸が出て、大きく息を吸い込む。
朝食の良い香りが鼻を掠めて、それによりリンは朝食が待ち通しくなり、笑顔でレンに聞いた。
「ねぇ、レン。」
「ん?」
「今日の朝食って何?」
「今日はね、食パンに後サラダだろ、それからスープかな?」
「そっか、なら良いや!
またバナナとかは嫌だし」
「バナナは良いんだよ!
馬鹿にするなよ、リン」
「あはは、はいはい。
別に馬鹿になんかしてないわよ。」
笑いが耐えない家……。
レンはリンの笑顔を見て少し安心した。
多少は疲れが見れるが、今日は本当に元気そうだ。
レンは朝食をテーブルに並べて、リンの前の席に付き、向かい合わせに座った。
「「いただきます」」
二人で声を合わせ、大きな声でお馴染みの掛け声を言う。
流石は双子なのか、手を合わせるタイミングも言葉のタイミングも、首を下にするタイミングも全て一致していた。
そしてレンは相変わらず朝食を食べながら、リンと楽しい朝の一時を過ごしていた。
暫くして二人とも朝食も無事に終え、レンは仕事の支度をしていた。
リンはそんなレンを只無言で見つめる事しか出来なかった。
支度を済ますとテーブルに座っているリンの傍に近寄ると頬を撫で、自分のおでことリンのおでこをくっ付けて、二人はまたタイミング良く目を瞑る。
「良い、リン……誰が来ても開けちゃいけないよ?」
「解ってるわ、ちゃんとレンの言う事は聞くから」
「ん、なら良いよ。
じゃ、俺行くね?」
「えぇ、いってらっしゃい」
「いってきます。」
そしておでこを外すとレンは再びリンの頭を撫でて、仕事に向かう為に玄関の扉を開く。
リンはやっぱりそれでも無言のまま見つめていた。
―パタンッ―と閉まる扉は何故か毎回妙に寂しさを感じてしまう。
リンはレンが出て行った後でも扉を見つめて、少しばかり悲しそうな表情を浮かべる。
そしてリンはゆっくりと椅子から立ち上がり、またベットへ戻って深い眠りにつくのだった。
―――トントントントン
グツグツ…
―パチリ―と再び瞳を開けると、知らないうちにレンが帰って来ていた。
もうそんなに良い時間帯なのだろうか…リンは思わず余り開いていない瞳で、必死に時計を見つめると、本当に良い時間帯だった。
夕方…4時過ぎ…。
リンは迷わずに心の中で“寝過ぎだ…。”っと呟きつつも、多少癖が出た髪を前髪から掻き分けつつ、ベットから起き上がり、レンに声をかける。
「レン…お帰りなさい…今日は早いんだね…」
「あ、うん。
何だか今日は嫌な予感がしたから、早くに上がらせて貰った。」
「そっか…ならリンも今日は大人しくしてるね」
「うん……ごめんね……?」
レンは料理をしていた手を止めて、ベットに居るリンを見つめた。
その瞳は何処か悲しそうで、リンは返せる言葉が見つからなかった。
「………」
「ほら、もうすぐご飯だから…」
そう言えばカイト兄ちゃんとメイコねぇが来るってさ」
ふっと思い出したかの様に付け足した。リンはレンの表情には声をかけにくかったから、次の言葉に目を見開いた。
けれど何とか我に返りつつ、テーブルに向かいながらもレンの言葉に答えた。
「そっか、来るんだね。
あぁ、楽しみだなー…カイ兄とメイコねぇか…凄く大好きだから早く来てくれないかなー?」
「ふふ…まぁ楽しみなのも解るけど、先に夕飯食べなきゃね?」
レンは言葉を発しながらも作った夕食を、テーブルに並べていく。
リンはレンが置いて行く夕飯の匂いが堪らなく食欲をそそる事に気がついた。
鼻を効かしてリンは夕食の匂いを嗅ぐ。
全て運び終わったのか、レンも椅子に腰掛けると手を合わせる。
タイミング良くリンも手を合わせ二人で口を揃えて“頂きます”っと発した。
夕飯も済ませ、一段落付いた時電話がなった。
レンは迷わず受話器を取る。
――ジリリリ…
「はい、鏡音です。」
『うっ、痛いってメイコさん………あっ、レン?』
「あっ、カイト兄ちゃん?
どうかしたの?」
『ごめん、今日は行けそうにないや。
何かメイコさん何があったか知らないけどべろんべろんなんだよね、あはは…』
「ゲッ、マジで…うん、うん解った…じゃあそうやってリンにも伝えとくよ。
またメイコねぇにも宜しくね。」
――カチャンッ
受話器を置き―クルッ―とリンに向き直すと、苦笑いを浮かべたままリンに言った。
リンはレンの苦笑いを悟ったのか直ぐに、レンが言葉を言う前に言葉を発した。
「もしかしてメイコネェ達来れないの?」
「うん、らしいよ?」
「あはは、仕方ないよ。
今日はこのまま寝ましょうよ、レン」
「そうだね、寝よっか?」
意見は一致して二人はさくさくと手際よく、風呂に入り寝巻きに着替えた。
そして仲良くベットに入り、眠りにつこうとしていた。
「おやすみ…リン」
「…おやすみなさい、レン」
二人はタイミング良く瞳を閉じると、深い眠りにつこうとしていた…が。
今日はそんなに言う程風がないはずなのに、窓がいきなり大きな音を立てて揺れだした。
それに驚いてレンは瞳を開ける。
リンもレンが起きた気配でゆっくりと瞳を開けた。
何が起こっているのか理解しにくいが、取り敢えずレンはそのまま待った。
待っていると、風は止みはしたが、今度は玄関側の扉が凄い音と共に揺れ始める。
それには二人とも瞳を見開いて、扉一点を集中して見ていた。
その2へ
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