!注意!【腐】クオレンで学パロ
太陽が暮れる光の残滓を空に紅く散りばめている。
自分を囲むのは物寂しい木々たち、夕陽の中に輝く草花。
「ここ・・・何処だよ・・・」
もうすぐ初夏に入ろうかという今日この頃、俺はだだっ広い学園という名の迷宮に迷い込んでいた。
***夕陽のなかで***
「・・・あち・・」
日が落ち始めたとはいえ、まだ昼間の熱気を含んだ空気に、くいっとかぶっている帽子を少し上に引き上げる。
自分の素性を隠す為とはいえ、少し大きめのこの帽子はむれて仕方が無い。
蓮は今日、ある事情を抱えてこの聖音坂学園へとやってきた。
明日にはこの学園の中等部に編入する予定となっている。
朝から満員電車に揺られ、一日かけてやっとここまでやって来た。
専用のバスに乗り、停留所で降りて歩く事数時間。
そして現在、―――――――見事に迷ってしまっていた。
まったく。
どんだけ広いんだよ!
この学園は!!
仲のいいミク姉は「道に沿って真っ直ぐ歩いてくれば大丈夫だよ」だなんて適当な事を言っていたくせに・・・
どこが大丈夫なんだよ・・・
涙が出そうだ。
道だってここで途切れているし、
学園というわりにはやけに静かで人の気配がしないし、
もしかして、自分は聖音坂学園ではないどこか違う所へ迷い込んでしまったのではないだろうか?
そんなどうしようもない考えが蓮の頭の中をぐるぐると回る。
『わたしも授業が終わったら迎えに行くから!!』
ふと、馬鹿で変に面倒見のいい未玖の言葉が脳裏によぎり溢れそうな涙を飲み込んだ。
そうだ。
ミク姉が迎えに来るんだった。
待ち合わせの場所に自分が来なければさすがの彼女も変に思い、自分を捜しに来るだろう。
大丈夫。大丈夫。
ぜんっぜん怖くない。
「―――――で―――・・・が――・・」
「!」
静かな林の中で突如人の声が聞こえた。
まさかと思い、もう一度よく耳をすます。
「・・・だからさぁ―――を―――――・・」
次こそちゃんと聞こえた。
間違いなく人の声だ。
よかった。
人がいた。
学園外のどこかの世界に迷い込んだかと思った←
とにかく、これで助かった。
声の主たちに職員塔への道を教えてもらって、未玖と落ち合えれば万々歳だ。
意気揚々と蓮は声のする方向へ歩を進ませる。
声の主は複数いるようで、何かを話しているようだった。
「すみませーん」
がさりと視界を隔てていた草木をかき分けながら声の主たちに声をかける。
「道に迷ってしまったので道を教えていただきたいのです・・・が」
蓮の言葉が途中でフリーズする。
彼の視線が目の前の人物たちに釘付けになる。
そこにいたのは三人組の男だった。
だが、蓮の視線の先にいる人物たちはいたって普通だ。
学園の生徒というには少し年齢層が上のような気がするが、いたって普通。
何か目立った所もない普通の男性たち。
「ひ・・・・ぁ・・」
それなのに蓮の口から声にならないつぶやきが漏れ出た。
驚愕に目が見開かれる。
失念していた。
知らない所で、学園なんだ。
確かに迷子になって焦ってはいたけれど・・・うかつだった・・
まさか〈男〉とこんな所で出会ってしまうなんて・・・
蓮は恐怖と後悔で頭がいっぱいになった。
どうして自分が男性恐怖症という大事な事を失念していたんだ!!(泣
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