年に一度、大切な人にチョコレートを渡す日。
バレンタインデー。
それは二月十四日、今日のこと…。
「ミク姉、めー姉、ルカ姉、チョコレートどうぞ!」
リンはそういいながら、可愛らしくラッピングされたハート型のチョコレートを、三人の姉達に差し出した。
「ありがとう、リンちゃん。これ、私からね」
ポケットからチョコクッキーの詰め合わせを出し、ミクはそういった。おいしそうな、ミクの手作りである。
「私からはチョコレートケーキです。食後に皆さんと食べましょう」
「あー、後でココアでも淹れてあげるわ」
二人の姉のレベルの違いがあるが、リンはやったぁ、と言って笑った。
しかし、そこで終わらなかった。ミクが余計なことを言う。
「リンちゃん、レン君にはもうあげたの?」
リンの笑顔が引きつった。きょとんとして、ミクが首をかしげた。上の姉二人もリンを見て、不思議そうにしている。
ぐっと顔をあげたリンは今にも泣き出しそうにしながら、訴えた。
「実は…」
午後九時になっても、今年はリンがやってこない。
落胆を感じながら、レンはルカが作ったチョコレートケーキをそれなりに――と、いうより、大いに楽しんでいた。
確かに、リンからチョコを貰うという儀式じみたことは嬉しいのだが、その後、チョコを食べて、美味しいよ、と笑わなければならないのがつらい。市販のチョコを買い、溶かして固めるだけのはずが、何故あんなにもしょっぱくなるのか。
そんなことを考えながら、レンはチョコレートケーキにフォークを立てた。
「――レン!」
突然声をかけられ、チョコレートケーキがむなしくも白い皿から滑り落ち、レンのお気に入りの黒いTシャツにつぶれて乗った。べちゃ、と音がして、チョコクリームが格好いいプリントを塗りつぶした。
震える。
「…レン?」
恐る恐る再び呼びかけた声に、レンは振り返った。
「あ゛?」
びくっと震えて、リンは双子の弟と少し距離を置いた。
「何」
「ば、バレンタインの…プレゼント…」
レンの手にはチョコのあとが残る、むなしく軽い一枚の皿。
皿を置いて、レンは手を伸ばした。
「ん」
チョコを要求しているのだ。しばらくしても、レンの手には一向にチョコの重みは感じられなく、レンは顔をあげてリンを見た。
そこで、姉がいつもと違うことに気づいた。いつもの白く大きなリボンは頭に乗っておらず、大きなラッピング用の、赤と金のリボンが鎮座している。
「わ、私がプレゼント――…みたいな?」
笑って、おどけた風にリンは言ったが、レンは微塵も笑っていなかった。
「は?」
心底不愉快そうな顔をして、リンをみていた。
そして、にこっと笑った。柔らかい笑顔だ。リンがそれを見てほっとしたのもつかの間、
「バレンタインに自分がプレゼントとか言うなら、全身チョコレートで固めてから来い。」
どうやらチョコレートケーキを無駄にしたことが、よほど腹立たしかったらしい、眼が笑っていない。
久しぶりに見た弟のキレ顔に、リンはカタカタと小動物みたいに震えながら、半泣きで、
「だって仕方ないじゃん。今年はチョコレートうまく作れなくて…」
ミク姉達には買ってきたのを渡したけど、レンには手作りであげたかったの、とリンは付け加えた。
深いため息をついて、レンはチョコレートケーキを摘み上げ、皿に戻した。べっとりとシャツについたチョコレートクリームのあとを見て、レンはまた深くため息をついた。
「今年も、だろ」
「違うもん! いつもは固まるのに、今年は固まらなかったもん…」
悪化したのか。
わずかにレンは笑った。
「しかたねーなー…。チョコの材料、余ってんの?」
「う、うん…」
「じゃ、エプロンもってこい。二つ。その間に俺は着替える」
「えっ」
「作るぞ。」
小さな、ハート型のチョコが二つ、できました。
おわり。
鏡音とちょこ。
こんばんは、リオンです。
しばらく空いてしまってすみません。
この後も落ち着くまで控えさせていただきます。
一応受験生なんで(笑
この後の双子がどうなったかはご想像にお任せしますが、
その様子はミクがカメラに収めたとか収めなかったとか。
カイトにはめーちゃんからリキュール入りココアが、
がくぽにはルカから抹茶チョコのケーキが渡されました。
基本的にこの家のレンはリンに優しくない。でもデレる。
リンが好きだから。リンはレンにゾッコンです。
そんな関係にすごく萌えるんですが誰か書いてくれませんか(殴
コメント2
関連動画0
オススメ作品
おはよう!モーニン!
全ての星が輝く夜が始まった!
ここは入り口 独りが集まる遊園地
朝まで遊ぼう ここでは皆が友達さ
さあ行こう! ネバーランドが終わるまで
案内人のオモチャの兵隊 トテチテ歩けば
音楽隊 灯りの上で奏でる星とオーロラのミュージック
大人も子供も皆が楽しめる
ほら、おばあさんもジェ...☆ ネバーランドが終わるまで
那薇
鼓動の音で眠りを覚ます
電子の光が輝いてる
キラキラ降り注ぐその先にに手を伸ばした
初めて見るキミの顔は
どこか不安げで頼りない
そんなキミがボクにくれた歌を
今でも覚えているよ
ずっと一緒にいよう
キミが生を歌い切っても
ボクはここでキミを待つよ...Gift 歌詞
ミルキィ
一年後 生きてんの?
希死念慮 一辺倒?
空っぽの部屋に流れ出した
忸怩たるミュージック
身銭を切るのが嫌で
切らせるのはもっと嫌で
それでいて結局は誰かに寄りかからずに生きていけなくて
街灯に照らされた街路樹の影が揺れてる
唯ぼんやりした不安と期待を抱いて
好むと好まざるとにかかわらず...暫定的に生きてゐる / 鏡音リン・鏡音レン
Snow*Room
小説版 South North Story
プロローグ
それは、表現しがたい感覚だった。
あの時、重く、そして深海よりも凍りついた金属が首筋に触れた記憶を最後に、僕はその記憶を失った。だが、暫くの後に、天空から魂の片割れの姿を見つめている自身の姿に気が付いたのである。彼女は信頼すべき魔術師と共に...小説版 South North Story ①
レイジ
<レン:>
悪事を働いて
ようこそ終点へ
魂の浄化に
何をしてあげよう
ワクワク
厳しめの懲罰
(フフフフフ)
<リン:>
(ちょっと待ったー!)...幽地終点
ヤナギ ヤスネ
◾️ 頭サビ
【リン】しりとり
【レン】両隣り
【リン】リスペクト
【レン】トリックアート
【リン】通り雨
【レン】めぐみの雨
【リン】メッセージ
◾️ 1番_Aメロ
【リン】...しりとり / 鏡音リン・レン
Ⅳ△Ⅴ
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
雪葉
ご意見・ご感想
レン!!料理上手なんだね!リンちゃん!チョコレートは愛のない板チョコを溶かして愛をつめてから固めるんだよ!そうしたらチョコレートは美味しいはずだから!フォローさせてもらいます!では失礼しました!次の作品お待ちしております!
2012/02/15 18:50:18
リオン
雪葉さん
レンは料理上手、リンは家事全般苦手です。そうか、愛で固めるのか! それは盲点だった!!(笑
来年のチョコはしっかり美味しく固まることでしょう。
リ「でも私の愛はアツアツだから、チョコがまた溶けちゃうね! てへぺろ☆」
2012/02/16 00:34:17
美里
ご意見・ご感想
バレンタイン!萌えますよねぇ。
ああもうリンちゃん可愛いです!今年は固まらなかったって、どんな風に作ったのか気になります。レンとのチョコ作りをビデオに撮っておやつ食いながらほのぼのと見たい!
そんな関係が私の残念すぎる文才では書けません…
2012/02/15 17:15:51
リオン
美里さん
萌 え ま す よ ね !! (蹴
多分妙なもの入れたんでしょうね。何かチョコが固まらなくなるようなものを…。
二人のチョコ作り中のビデオを駄々流しにしながら、ビデオの中のレンが軽くデレるたびにレンをなじってプライドずたずたにしたい!(←最低
大丈夫、信じてます! 美里さんやればできる子!! 美里さんの双子楽しみにしてます(笑
2012/02/16 00:31:18