-Caution-
今回はVOCALOIDが一人も出ません。
細かく言えばKAITO様がチラッと出ておられるのですが・・・。
なのでそういうオリジナル性満載な文章が好みじゃない方はこの先スルーしてください。
それでもOKですわ!という方は是非、どうぞ、よろしくお願いします。
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僕は走っていた。
全速で、とにかく走っていた。
荒い吐息を更に激しくして夢中で走っていた。
しつこく言うだろ?
でもそのくらい必死なのさ。
僕が誰かって?そんなのどうでも良い。
僕が誰でここが何処かなんて、キミにも誰にも関係ない。
そうさ、5W1Hの内の2Wくらいは物語を語る上で関係ない要素だと思う。
それはどんな物語でもそうだと僕は自信を持って断言するよ。
話がズレたけど、でもそんな現実逃避をしていたい、し続けていたいくらい僕の今の状況は切迫しているんだ。
実際数分前まではそんなのと無縁な普通の生活だった。何も起こらず起こると思わず商店街を歩いていた。
多少の危機感はあった。でも本当に『多少』さ。
すれ違い様にぶつからないようにとか、横断歩道では周囲に気を回すとか、他人とのイザコザを避けて目を合わせないようにするとか、そんなレベルでの話だ。
僕には寄り道する金も無い。
自分の行動範囲内で一番大きい総合スーパーへ、夕飯の惣菜や食料買い込みの在庫が無くなった時の非常食、いわゆるインスタントな食べ物を買い、寄り道もせずさっさと自分の住み家へ帰ろうと考えてたんだから。
それが僕の『普通』さ!
特別自分の身に何か起こるなんて考えてなんかしない。
でも起こってしまった。自分に関係ない世界、と目を背けていたツケなのか?
分からない。
なぜ自分なのか。なぜ今なのか。なぜ僕が。
そんな疑問する時間も今の状況が与えてくれない。
僕は追われている。
誰に?何に?なぜ?なぜ僕は追われてる?
なぜだろう。ワカラナイ。それすらもワカラナイんだ。
ソレは突然現れた。何も無い空間に突如として出現したんだ。
でも何がかは分からなかった。
だって見えかったんだから。いや正しく言うなら認識できなかったんだ。ソレを。
見ようとしているのに見ることが出来ない。視界に入っているのに、そこだけ無意識にモザイクをかけているような。
出現と同時に動いた空気が、ソレが生み出す雰囲気が、その存在感・圧力がそこにソレが存在することを示した。
ソレが何なのか僕にも判らない。その意味も存在理由も全て。
知らないし知られていない。判ろうとしても解らない。
分かっているのはその存在が自分を追跡している事実。
追跡されていることは分かるのに、何にかは分からない。オカシイ話だろうって?
僕もそれは分かっている。でもオカシイ現実が僕を追いかける。
僕の気が触れた訳じゃない。いや、そう思い込みたいだけなのか?
考えたくないけど実は僕は・・・
やっぱり自分が正常だとは思えなくなってきた。
だって今までの自分の証言をまとめるとこうなる。
今自分は、日も暮れた道を何者か認識できない、何も分からない正体不明のものに追われている。
ゾッとする。
考えなければ良かった。
ダメだ。不安で不安でしょうがない。嫌な未来を想像してしまう。
これは夢なんだ。猛烈に思い込みたくなる。
でもそれだと終わってしまう。何もかも。分かっている。
分かっているんだ。でも切れそうだ。挫けそうだ。腰が抜けそうだ。
それに反発する心を持って、最後の一線を守るために走り続ける。
そして考えてしまう。嫌らしい考え。図々しいと自分でも思う。
普段はそう考えている人間を軽い罪悪感しか持たず見捨てるのに。
見知らぬ振りをするくせに。
いざ自分に降り掛かると考えてしまう。すがろうとしてしまう。
誰か助けてくれよ・・・
都合が良い。
でも現実はそんな都合良く英雄を用意してくれない。
分かっているさ。でもそれでも考えてしまう。
自分は特別で、イザというときには・・・。
哀しい妄想。
思い込みたくなるんだ。死にたくないんだ!
お願いだ。もし今助かるなら、僕は・・僕はなんでも・・。
――――っ!!
瞬間、背中に衝撃が走る。ほぼ同時に肺へ伝わり圧迫される。
息が詰まる。強制的に出来なくなる。
立て続けに強烈な痛みに襲われる。
体の正面。そして見えるのは黒い壁。僕はアスファルトにうつ伏せになっていた。
それで終わらない。上から持続的に圧迫される。
苦しい。十分な息を吸えない。ヒューヒューという、か細い自分の息継ぎが聴こえる。全身に痛みが走る。骨が軋む。
神経が直接刺激されているような。でも痛みを和らげるための声を出せない。
イキが。出来ない。クルシイ。出来ない。イタイ。
なお続く。終わらない。終わらない。終わらない。おわらない。オワラナイ。オワラナイ!
だ、シニ・・・
「なんでもしてくれるの?」
声が聞こえた。その声が本当かどうか分からなくて。
でも。
―――
もう一度同じ問いが聴こえた。忘れかけていた痛みがよみがえる。
耐え難い。だからすがった。その声にすがり付いた。
するさ・・・
「ホントに?」
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「じゃぁ・・・約束だ」
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