【おたより】

ぼくたちはずっと一緒だった　いつも4人で
いつしかみんな大人になった　自分の足で歩き始めた

みんなを寂しく思う頃に
一番愉快だったあいつからおたよりが来たんだ
来年、家族ができるみたいだ　
家も新しく買うんだってさ

おめでとう　おめでとう　みんな大きくなってゆく
ぼくはまだこんなにもちっぽけなままなのに
驚きと焦りを抑えてお祝いすると
「落ち着いたらまたみんなで飲もう」ってニヤッと笑った

みんなが懐かしくなった頃に
一番大人しかったあの子からおたよりが来たんだ
やっぱり、あの人がいいみたいだ
向こうの実家で暮らすんだってさ

おめでとう　おめでとう　みんなきれいになってゆく
ぼくはまだこんなにも小汚いままなのに
涙と嗚咽をこらえてお祝いすると
「またいつか、みんなで会おうね」ってやさしく笑った

みんなが思い出になった頃に
一番根暗だったあいつからおたよりが来たんだ
どうやら、いい人を見つけたみたいだ
もうすぐ子供も生まれるんだってさ

おめでとう　おめでとう　みんな強くなってゆく
ぼくはまだこんなにも脆いままなのに
寂しさと嫉妬を隠してお祝いすると
「これからも、時々は遊ぼう」って不器用に笑った
おめでとう　おめでとう　みんなどうか元気でね
「いつかみんなにおたよりを書くよ」って笑ってみせた

あれからどれだけ経っただろう
ぼくたちはまだ会っていない
ぼくのおたよりはまだ出ない
ぼくのおたよりはまだ出ない