「ご、ごめん……」
咄嗟にレンくんが謝るも、リンちゃんはショックで口を噤んでいる。場の雰囲気が一気に悪くなった。ことによってはまた喧嘩になってしまう恐れがある。
「だ、大丈夫大丈夫、また書けばいいよ!」
努めて明るく言ってみたが、二人の間にはお通夜のような沈黙が下りていた。いたたまれない空気に冷や汗が止まらない。なにか、どうにかしてこの雰囲気を払拭しないと!
と、焦りが入った僕の頭がぴきーんと名案を弾き出した。
「そうだ! この楽譜もらっていいかな?」
「え?」
リンちゃんが顔をあげる。レンくんもきょとんとした表情で僕を見た。
「来月にあるパーティーで要らなくなった楽譜がたくさん必要なんだよ」
「パーティー、ですか?」
レンくんが首を傾げる。
「そう。だから、この楽譜をもらう代わりに二人もパーティーにおいでよ。チケット代わりってことで。ね?」
ケイには知り合いに声を掛けろと言われているし、この場の空気もなんとか出来る。我ながら良い案だと思った。
「パーティー、私たちも行っていいの? ほんとに?」
リンちゃんがびっくりしたように目を丸くする。
「もちろん」
にっこり笑って答えると、リンちゃんの表情が徐々に明るくなっていった。
「ふぉぉぉ! パーティーだって、レン! 一緒にいこ!」
喧嘩中だったのはどこへやら。頬を上気させたリンちゃんがレンくんに興奮気味に言い寄る。
「え? あぁ、うん……」
なんとなく勢いでレンくんも素直に返事を返してしまっていた。そこへ、僕の携帯電話に着信が入る。液晶を確認するとミクからだった。ちょっとごめんと二人に断って店の奥へ行く。
「もしもし」
『もしもし、カイトさん?』
「うん。どうしたのミク?」
『えっとですね、その……』
何故かミクの声は緊張していて、落ち着かない感じだった。
『さ来週にお友達二人とレストランで夕食を食べる予定だったんですけど、急に一人来れなくなっちゃいまして』
「うん」
焦った様子で喋るミクに相槌を打つ。
『それであの、キャンセルするのも勿体ないって友達が言い始めてですね……』
「うん」
おや、この流れはもしかして、と思ったら予想通りの言葉が続いた。
『えと、その。もし良かったら、夕食をご一緒しませんか?』
コメント0
関連動画1
オススメ作品
キミのちょっと乾いた
コトバ 胸に突き刺さるPain
これは無礼よ!
もっとそっと話して
何よ?そんな顔してるの?
アタシだから
つまんないと言うの?
まあ、アタシの方が
つまんないし。
素直に言えればなあ......MissTrust
ヤナギ ヤスネ
空(そら)と空(くう)表裏ある世界で
憧れと諦めが交差する
例題と 思うようにいかず
白紙です これがいっぱいです
部分のひとつももらえてないかな
自分に×を突きつける日々だ
解くための試行錯誤の跡
真っ黒に紙の隅を染めたから
費やした時間書いた数に
今はただ意味を意味を持たせて!...Filling void
sakagawa
神は信じていません
画面の向こうにしかいないから
都合がいいようでごめん
ノーレリジョンの祈り
いつかの夏暮れに
花火と打ち上がった蛍
いつしか星と呼ばれ
無機の街を照らす
金曜の夜は お釈迦様の掌で踊ったら
使い果たしちゃって 小指の先で眠ろう...アセプトアクセプト
あふれいど
Hello there!! ^-^
I am new to piapro and I would gladly appreciate if you hit the subscribe button on my YouTube channel!
Thank you for supporting me...Introduction
ファントムP
廃墟の国のアリス
-------------------------------
BPM=156
作詞作編曲:まふまふ
-------------------------------
曇天を揺らす警鐘(ケイショウ)と拡声器
ざらついた共感覚
泣き寝入りの合法 倫理 事なかれの大衆心理
昨夜の遺体は狙...廃墟の国のアリス
まふまふ
命に嫌われている
「死にたいなんて言うなよ。
諦めないで生きろよ。」
そんな歌が正しいなんて馬鹿げてるよな。
実際自分は死んでもよくて周りが死んだら悲しくて
「それが嫌だから」っていうエゴなんです。
他人が生きてもどうでもよくて
誰かを嫌うこともファッションで
それでも「平和に生きよう」
なんて素敵...命に嫌われている。
kurogaki
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想