「あっ、死神様めーっけ!」
「・・・・・・・・・・・・」
 死神―もとい、憐は声をかけてきた少女(だが実年齢は二十二である)の方を見るとげんなりとした表情を見せた。
「あー、ひっどいなぁ! 何もそんな顔しなくたって良いじゃん!」
 少女―もとい、紫音は憐のそんな表情を見てプゥ、と頬を膨らませる。つくづく行動が実年齢と合っていない人間だ、と憐は何時も思う事を考えた。
 此処で一つ言って置くが、憐は死神であり、故に人にその姿を認識される事は無い。あるとしても、それはその人間が死ぬ時、しかも、直前の、一瞬だけ。なのに、紫音がこうして憐と喋る事が出来ているのは、彼女に霊感があるからだ。しかも、途轍もなく、強いチカラが。だからこそ、こうして憐と気楽に―少なくとも紫音は、だが―喋ったりする事が出来るのだ。
「・・・で、今回は何の様だ・・・?」
 ハァ、と溜息と共に言葉を吐き出す。その表情はもう紫音とは関わりたくない事を全面的に表しているが、それに紫音は気付かない、否、気付いて無い振りをする。その方が楽しいから♪ だ、そうだ。
 憐にそうふられ、紫音は用件を思い出したかの様に「あ、そうそう」と言ってゴソゴソと腰につけているウエストポーチから何かを取り出し、それは紙の束だった、を憐にはい、と渡す。
 渋々ながらも憐は受け取り、それに軽く目を通すつもりだったが、最初の方を見て、直ぐに目を見開いた。そしてその目を冷たく、鋭くした後、紫音に向け、
「何故これを俺に渡す?」
 と、冷たい口調で言った。それに臆するでもなく紫音はクスクスと笑って、
「ピッタリでしょ? 『鎌を持てない死神の話』、なんてさ。あ、楽譜は蒼に頼んだの。蒼も楽しそうだったよー、死神様に歌を歌って貰えるなんて、だってさ」
 愉快そうにそう言った。
「ふざけるな」
 先程よりも怒気の篭った声で憐は、それでも静かにそう言った。
「楽しいか? こんな風に俺の過去を匂わす様な歌を、俺に歌わせて、楽しいのか? 幾ら神の御子といえど、これには限度があるぞ」
「怖いの? 過去を暴かれる事が」
 先程までの愉快そうな声は何処へやら、紫音は年不相応の感情の無い声で逆に憐に問うた。
「綾ちゃんに自分の過去を知られる事が怖い? でも、そんな事、その曲の中には出てこないじゃん。綾ちゃんの前のリンちゃんと、死神様である憐君の、思い出。彼女にとってはとても大切な思い出。ねぇ、憐君、ちゃんと読んでよ。最初だけじゃなくてさ。そう勝手に最初から思い込んでちゃ駄目だよ。・・・まぁ、ニンゲン、てのは思い込みの激しい生き物だからね・・・。相手を疑わなければ自分が騙されると思い込んでしまう。・・・これだからあたしはニンゲンが嫌いなんだ」
 最後の方は吐き捨てる様にそう言うと、さて、と、表情を一瞬にして元に戻すと先程も言った様に憐に楽譜を読む様に薦める(まぁ、実際は歌詞をちゃんと読め、と言う事なのだが)。
 フゥ、と今度は諦めにも自嘲気味にも聞える溜息を付きながら、憐は楽譜に目を通していく。
 そして読み終わったのだろう、パサリ、と紙を元通りにすると紫音に返した。
「気に入らなかったかな?」
「・・・そういう訳じゃないが・・・。歌う、としたら・・・やはり・・・“アイツ”がいるのだろう・・・? 俺は・・・」
「あ、それなら大丈夫! あたしがリンちゃんになるから!」
「・・・。・・・そう、か・・・」
 フ、と笑うと憐はクルリと後ろを向いた。
「行くの?」
「あぁ、此処ではないが、死が近い者の匂いがする。それではな、神の御子」
 そう言うと、憐の姿は瞬きをする間に消えてしまった。一人、残された紫音は暫くその場に佇んでた後、ポツリと、独り言の様に、
「神の御子はあたしじゃないよ・・・、死神様・・・」
 そう言った、言葉は風に流され、誰の耳に入る事も無かった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

過去と現在と、 ~鎌を持てない死神の話 番外編 6~

多分6だと思う。うん、多分!(←
今回ちょっとシリアス目。紫音が神の御子設定はこの子の前身キャラが・・・まぁ、ポケ○ンの自己キャラなんですけど(←)、が世界を造りし者の娘・・・みたいな設定がありまして・・・其処からです。まぁ、本当の所は勝手に出てきちゃっただけなんだけどね!(←
死神様は過去と決別する事が出来るのでしょうか、楽しみにしてて下さい。

それでは、読んで頂き有難う御座いました!

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閲覧数:407

投稿日:2010/07/17 23:22:11

文字数:1,605文字

カテゴリ:小説

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