第二十章   

いつもとは違い何故かすっきりと目覚めた朝、私は気分が良かった。
私が「性嫌悪症」と言う病気に納得したからだろう。
朝から私の好きな事をして過ごしていた。
彼からの「おはよう!大好きだよ!」と言うdmに
「私も大好きだよ!」そう返事をし、
今夜にでも私の「性嫌悪症」の事を伝えようと考えながら煙草に火を点けた。
家事やらメイクやら着替え、私の好きを詰め込んだ一日が終わる頃、
パートナーの帰宅の時間になろうとしていた。
私の気分は良かったものの、パートナーの顔を見るのが
嫌だった私は、一階に降りるのを避けていた。
水が無くなってしまった事に私は渋々一階へと降り、
パートナーに笑顔で「おかえり」と伝える。
いつもの様に私と目を合わせる事も返事もなく、携帯ばかりを見ている
光景が広がっていた。
「あぁ…嫌な雰囲気だ」気分が良かった私の心は挫けそうになる。
そんな事を思いながら、白湯を入れ自室へと戻る。
自室へと戻り、いつも書いている日記にペンを走らせる。
パートナーに対し怒りにも似た様な言葉が書き残されていく。
沢山の言葉の羅列を書き残した私は少しすっきりし、
風呂へと入る事にした。
温まっていく身体はほっとするもんだな、なんて思いながら
真逆に冷える事を好む私なのだが。
風呂から上がり、髪の毛を乾かしスキンケア等をして過ごしていた。
時間もすっかり23時を廻ろうとしていた。
パートナーは眠る様子で、「おやすみ」そんな言葉だけを残して
寝室へと向かっていった。
深夜帯だったが、彼へとdmを送ってみる事にした。
「瑞希?起きてる?」
「起きてるよ、どうしたの?」返事は直ぐに返って来た。
「伝えたい事があってね」ほんの少しの緊張感を覚えたが、
セックスに対して嫌悪感がある私にはここで関係が終わるならそれまでの事だ、と
考えしっかりと彼へと「性嫌悪症」の病気なのかもしれない、そう伝えてみた。
彼は「そうなんだね…」少しばかり悲しみを帯びた言葉を掛けてくれた。
数分後に「でもね?陽菜、プラトニックな愛があっても良いんじゃないかな」
私には無かった答えが返って来た事に私は驚きを隠せなかった。
驚きの返事を貰ってから、私は動揺が隠せなくなった為に、
一番お気に入りの香水を纏い、煙草へと手を伸ばしていた。
私は彼の心の大きな愛情に包まれていた。
「こんな私でも恋人でいたいと思ってくれるの?」
素直過ぎる程率直に彼へと尋ねる。
「勿論」そんな返事を貰うまでにそう時間は掛からなかった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

月は嗤い、雨は鳴く

「性嫌悪症」と言う言葉が腑に落ちた主人公。
それでも彼は「恋人」でいてくれるのか、不安なまま彼へと伝える事に。

閲覧数:8

投稿日:2024/07/12 01:28:20

文字数:1,056文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました