「……是[イエス]。我こそ、ブレイズのマスターだ」
“了解した”
そう言うと、ブレイズは赤い小さな光の玉になり、魔方陣の真ん中にある剣に付着して、見えなくなった。
「……これで契約は完了ね」
ルカが杖をコツンと大地をつつく。
「それじゃあ行きましょうか。機械都市タートルへ」
レンは剣をもち、言った。
***
その頃、砂漠の小さな町。
少し前まで、水が涸れていて、ひどい有様であったが今は水源が復活し、普通のオアシスとして機能している。
そして、その街のなかにある小さな喫茶店。そのなかにひとりの男がいた。
その男はこの時期だというのに、青いマフラーを首にかけていた。だのに、汗をかいていてアイスクリームを食べている始末だ。
男は何かを見ていた。
――それは地図。
「さあて。アキューア。この先で一番近い街はどこだろうね?」
“……タートルじゃないですか。あそこならきっといろいろありますし。情報収集にも成りますよ”
男の隣にいた水色のワンピースを着た女の子が言った。
「タートルか。そこならたしかに近いな。……なるほどそこに行ってみよう」
「出るのかい?」
立ち上がった男に、その喫茶店のマスターらしき人間は言う。
「えぇ。世話になりました」
「そんな……。あんたこそこの街を救ってくれた。感謝し尽くせない」
「いえ」
男は笑う。
「そうだ……。名前を聞かせてはくれないか? せめて」
「……私は」
「わたしはカイトと申します。まあ、また機会があれば」
そう言って、カイトと名乗った男はそこから去っていった。
***
そのころ。
「VY1。様子はどうだ?」
「――どうやら、ルカとレン、さらにカイトまでもがタートルに来るようです」
「――そうか」
男は一度考えた。
「カイトはこの前にやられたことがある。できればここで潰しておきたいものだ」
「……タートルで決戦、となりますね」
「ああ。そうだな。『VY2』も用意しておけ」
「……了解――マスター」
そう言ってふたりは闇に溶けた。
つづく。
「Quest V」その5
小説。予告通り投稿しました。
一応旅立ち編は完結。カイトのエピソードはpixivで書きます。
その1~その4を書き下ろし追加してpixivにうpしました→http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=549214
第4話:http://piapro.jp/t/5nHy
第6話:http://piapro.jp/t/YP92
登場キャラはとんでもなくこれから多くなるので書きません。ごめんなさい。
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