ようこそ 紳士淑女の皆様
今宵は素敵な品物をお目にかけましょう
手前に取り出だしたるは舶来の
人形――その名もマジックマリオネット

白磁のような肌には生気が宿り
今にも動き出しそうではありませんか？
そうとも 摩訶不思議にもこのマリオネットは
命を与えられた生ける人形

歌い踊り 人のように振る舞い
お世辞を使い 媚を売って
お気に召すままに 使い倒していただける

たとえ永遠にでもきっと あなただけのマリオネット
不平も不満も言わず口答えもしない理想の下僕
どうぞ召し使ってやってください
使い物にならなくなるまでは


かわいそう？ いえ
どうかお気になさらないで
なにせこれは人形
どれだけ痛めつけようとも
死にはいたしませんから
壊れても何度でも直して使えます


いかがいたしましょう？ 代金はあなたの『孤独』
たとえ永遠にでもきっと あなただけのマリオネット
奴隷のようにいたぶるも家族のように愛を尽くすのも
すべてはあなた次第
あなたのお気に召すままにご自由に

まるで影のように あるいは鏡の中のあなたのように
いつもすぐそばに寄り添って
あなたのその心の闇を映す
幸も不幸もありのままに…


――時は過ぎて約百年後のある日
ひとつの人形が花でいっぱいの
棺に納められた やさしい老人とともに