君と過ごした日々は、私にとってかけがえのない物だった。
―― 夕日坂 ――
ある日いきなりのことだった。
私も理解が出来なかった。
「ゴメン…別れよう…」
どうしてそうなったのか、全く予想がつかなかった。
私は、あなたの前でキョトンとするだけ。
それだけを伝えてあなたは…私に背を向けて一言。
「送ってくから、帰ろうか」
そんな寂しい笑顔、出さないで。
そんな無理した笑顔で…手を引かないで。
私には『何で』と反論することも出来なかった。
あなたには従うことしかできなかった。
言う勇気がなかった。
一歩が踏み出せなかった。
そして帰り道。
いつもよりゆっくり歩いて帰る。
いつもの別れ道。
これで本当にさようなら。
別れ道が近づく度に、胸が締め付けられる。
そんな想い、初めてなんだよ。
「あと少しだから」
顔も見ず、優しく手を差し伸べてくれたあなた。
また胸が締め付けられる。
今にも泣き出しそうな涙を堪えながら。
少し前は、君が居れば笑っていられた。
辛くても自然と笑顔が出た。
それにつられて出るあなたの笑顔が愛しかった。
別れ道。
ずっと繋いでいた手を、指を離す。
「それじゃ…今までありがとうな」
そう言って私に背を向け、帰るべき道へ帰って行った。
『ちょ…』
呼び止める力もなく、私の目から涙。
もう決して戻ることのない瞬間。
君の話すこと、描くもの、今日見た景色を忘れないよ。
想うほどに怖くて…、私もまた揺らいだ。
ナンデソウナッテシマッタノ?
ずっと一緒にいると信じていた。
続く気がしていた。
どんな時も君を、君だけを見ていて、笑うはずだった。
だけど、もうその瞬間は戻ってこない。
受けとめなきゃいけない。
あなたもきっと、私にも言えない何か理由があったんだ。
そう信じて…。
「あなたの彼氏、引っ越したんだって」
そう知らされたのは、あの日から何日が経っただろうか。
聞くところによると、急な親の都合でここからかなり離れたところに引っ越したらしい。
それを聞いた私は、すぐ連絡した。
「お掛けになった番号は現在…」
また涙が流れた。
私は、こんなにあなたに恋をしていたんだ。
大好きだったんだ。
―― ありふれてる幸せに恋をしてたんだ ――
今思い出せば、いい体験だった。
あの日から10年ぐらい経つのかな?
今でも何してるのかな?とか、気にかける。
『元気に暮らしてるかな…?』
そう思い、夕陽を背にこの懐かしい坂を上り、幼き私を思い出した。
家まで数メートル。
誰かが家の前で立っている。
『何か用事ですか?』
笑顔で話しかけてみた。
その人は背が高く、歳は私と同じぐらいかな。
「○○さん?」
懐かしい声。
どこかで聞き覚えがある。
『そうですが…どちら様?』
私はあの日以来、それまでの記憶があまりなく、覚えているのは…。
あなただけだった。
「ただいま」
そう言われて、理解するまでの時間はそう遅くなかった。
あたしはここでまた新しい人生の始まりだと気付いた。
大好きだよ。
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4/4 BPM133
もう、着いたのね
正面あたりで待ってるわ
ええ、楽しみよ
あなたの声が聞けるなんて
背、伸びてるね
知らないリングがお似合いね
ええ、感情論者の
言葉はすっかり意味ないもんね...ゼロトーキング(Lyrics)
はるまきごはん
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