#3 開幕…ッ!!

2人はプロデューサーとの話を中断し、八百屋に急ぐ
ミク「八百屋のおじちゃん、無事かな?ハァッ…ハァッ…」
カナタ「あのおっちゃんなら無理して鈍器振り回してるかもなぁ… ハァッ…」
ミク「メロピィ、君は少しの間隠れててね」
メロピィ「分かった、頑張ってね!!」
そして、例のカボチャを目撃した八百屋に辿り着いた。間に合ったか…?
ミク「…!!」
カナタ「シャッターで防御してるのか…」
そして駆け込む。
ミク「おじちゃん!大丈夫!?」
八百屋のおっちゃん「!!ミクちゃんか!?来てはならん!そいつは危険過ぎる!!」
ミク「私達なら大丈夫!!ハァ…」
一応間に合ったようだ。あとは、あのカボチャを鎮めるのみ。
カナタ「ミク!!俺は別ルートからおっちゃんを避難させる、初陣だから無理はするなよ!!」
ミク「うん!!」


___そして、あの彗星との戦争が今、始まった…___


ミク「歌声で倒す!?」
現実味が一切しないので驚いた。
プロデューサー「あぁ、声が綺麗にこのカードに反応したらあのカボチャ並の攻撃力、いや…[歌唱力]を生み出す。あとは指示を出せば、敵にぶつける事が出来る」
ミク&カナタ「[歌唱力]…?」
プロデューサー「そうだ。それがこの狂った世界に対抗する唯一の手段、そして人類最後の希望なのだ」
カナタ「もしそれがこの世界における戦力だとして、敵はどうやって攻撃してるんだ?どこをどう見てもあのカボチャは歌ってるようには見えない」
プロデューサー「無論、あのカボチャは歌ってない。寧ろ、歌声を邪魔する存在だ。あの彗星は、ありとあらゆる音の周波を操り、狂わせ、崩壊させる。私達人間は、それに対してしっかりとした音色をぶつけ、元に戻す為に戦うのだ。言わばチューニングのような物だ。チューニングが終わった怪物は傷一つ付かないで元の姿に戻る。
忘れないでほしいのは、歌声は狂った怪物を殲滅するのでは無く、取り戻す為の物だという事を…」

______

(プロデューサー… 信じていいんだよね?)
不安を振り払い、深呼吸して、カードを前に出す。そのカードには、私のライブの晴れ姿が写っていた。気恥しい気持ちも忘れて、
ミク「彗星の怪物ッ!勝負だ!!」
全力で叫び、歌声を響かせた。するとミクの周りに、カードに反応した歌声が具現化された。幻想的な光景を前に、ミクはこの世界と戦う覚悟を決めた
カボチャの怪物「ゴモォ…」
怪物はこちらに気付いた。作戦が始まる。
(カナタ、頼んだよ…)
ミク「カードセット!!アタック!!」


ミク「セィッ!!」
カボチャの怪物「ガラァッ!?」
ミクは優勢だった。カボチャの怪物の音波を回避しながら、ストックされたカードに声を纏わせ細かく、正確にぶつける。初陣とは思えないくらいに。

八百屋のおっちゃん「何じゃありゃあ…」
八百屋の店主は殴られて空いたシャッターの穴から様子を見ていた。
カナタ「おっちゃん!あの怪物はミクに任せてこっちから避難するぞ!」
八百屋のおっちゃん「そんなこと出来るか!!ミクちゃんにこんな窮地任せるには荷が重すぎる!!」
カナタ「おっちゃん!シャッター無かったら死んでたんだぞ!?いい歳こいて無茶すんな!!」
八百屋のおっちゃん「ッ!!いや、待てよ… もしかしたら、アレの出番なのでは…?」
カナタ「…?」
八百屋のおっちゃん「…坊主、ちょっとついてこい」
そう言った店主は、床の板を捲った。地下室…?
八百屋のおっちゃん「頼む… ワシが戻るまで無事で居てくれ…ッ!!」

_______


(苦しい…)

(終わらない…)

(いつまでもくたばらない…)

(もう…無理…)

あれから何十分も攻撃し続けても、一向に奴が倒れそうな気がしない。底知れぬ体力の怪物相手に、形勢が逆転してしまう。もう体力も限界に達し、ミクは青ざめた面持ちでひたすら歌声を並べるが…
ガクッ…
ミク「あ…」
最後の音を飛ばした瞬間、足の力が抜け、膝をつく。
カボチャの怪物「グゴゴ…」
やはり隙をついて、カボチャの怪物がこれでもかとエネルギーを溜め、襲いかかる。
(カナタ… ごめんね…ッ!!)

???「マジカルスキル!ソリッドサウンド!!」
カボチャの怪物「グラァ!!」

ミク「…!?」
カボチャの怪物が少し吹っ飛ばされ、ヒビが入った。
カナタ「ったく、無理すんなって言ったばっかりだろ…」
現れたのはカナタだった。何故か、右手にマイクを持っている。
カナタ「約束しろ、絶対にこの世界を2人で生き残ってやるって!!」


ミク「…ありがとう。でも私、もう声が出ないよ…」
弱々しい声だった。カナタは懐から何かを取り出して…
グイッ
口に何か押し込まれた。何かが口に流れ込んでくる…
カナタ「八百屋のおっちゃんがこの野菜ジュースを取ってきてくれた。なんでも、調合中に奇跡が起きて秘薬みたいになったとか。まだ何本でもあるから、全部飲み干せ!!」
今まで飲んできた野菜ジュースの中でも一番美味しく感じた。それでいて、懐かしい味だった。
ミク「ありがとう… あとは任せて。一撃で決めてやる」
カナタ「どんだけ回復したんだよ… 秘薬恐るべし」
ミク「カナタも飲んでみる?一口残しておいたよ?」
カナタ「全力で遠慮させていただきます、いろんな意味で」
ミク「ぷぅ~…」
そして再び奴の前に立つ。そして、叫ぶ。
ミク「私は負けない!!こんな世界なんかに!!」
最後の一撃。まるで、誰かに見て欲しかったかのように、美しい弾幕だった…


カボチャの怪物「ガララァ!?ゴロ…」
崩れゆく怪物。その中心で、何かが光る…
カナタ「…?」
ミク「カナタ、何か出てきた!!」
メロピィ「あっ!!これ…マジカルノートだよ!!」
脇で戦闘を見守ってたメロピィが安全を確認して表に出てきた。
カナタ「…マジカルノート?」
メロピィ「この街から奪われた音は、全部この怪物に取り込まれたんだ!!あの彗星は、怪物達が僕達に向けた宣戦布告だったんだよ!!」
カナタ「つまり…」
ミク「他の街でも怪物を倒したら、音が元に戻る…?」
プロデューサー「いいや、もう一工程必要だ」
プロデューサーが歩いてきた。何か妙な荷物を幾つか持ってきている。
プロデューサー「このマジカルノート、俗に言う[封印]された状態で形を成している。まずはこの封印を解く必要がある。ミク、このマジカルノートに触ってみてくれ」
言われた通り、触ってみた。すると、頭のに何かが流れ込んでくる。
ミク「!?」
プロデューサー「これがこの街の封印を解く為の鍵となる音だ。そのまま、演奏しておけばいい。マジカルノートがその音を認めたら封印が解かれ、この街の音を取り戻せる」
カナタ「なるほど、音楽スタジオと併用して研究所を作ったのは、音を奏でられる人を育成する為でもあったのか。ミク、どんな曲だった?」
ミク「えっとね…」


その日、星屑街に、とある歌声が響き渡る。

___おや?何か流れてる…?___

___ミクちゃんの声だ!!可愛い~♪___

___街が、元に戻ってきてる…?___

___元気が出るな、俺達も頑張らなきゃ___


………

夜明けの空を眺めながら、2人は丘の上で座り込んでいた。

ミク「カナタ、ちょっと無理な相談かも知れないけど…」

カナタ「言ってみろ」

ミク「また、私に付いてきてもらってもいい?」

カナタ「…どこに?」

ミク「…この世界中の音を全部取り戻したいの。あの時の弱虫だった私のままで居たくない!今度こそ、守るべき人を守らなくちゃ!!」

カナタ「勿論だ、俺はいつまでもお前の味方だ」

目が覚めたら、どんな明日が待っているんだろう。ミクはちゃんと、傍に居てくれてるかな?絶対、守らなきゃ… もう、2度と…

カナタ「もう2度と、お前を泣かせない。2人で、こんな狂った世界を、終わらせよう」

2人は誓った。震える手を、今度はお互いに、固く握り合って…

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

【ミクコレ★歌声の秘密】#3「開幕…ッ!!」

皆さんおはこんばんにちは、@okkyのミクコレ実況チャンネルです!
Pixivよりミクコレ二次創作小説第3話を転載しました
今後も応援_|\○_オネガイシヤァァァァァス!!

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投稿日:2018/03/05 18:38:31

文字数:3,301文字

カテゴリ:小説

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