少しの間、物思いにふけっていた頭を現実世界へと起動させる。
……もう、どんな事をしても無駄なのに。もう彼は帰ってこないのに。
それでも……貴方に縋っている私は。縋ろうとしている私は、最低だ。
私は目隠しをしていた腕を離し、ベットから降りた。
鏡の前まで来る。―私の顔は、相当酷いものだった。
『ねえ、―。ずっと一緒にいようね』
『ああ』
夏祭りに言ったあの日。小指で結ばれた約束は、今でも消えては―いない。
私は鏡に銃弾を一発打ち込んだ。だって、私がこんな顔をしているのは、たとえ彼であろうとも喜んでいるとは思えないから。
私は……黒光りするそれを、鏡へ向けたそれを、自分の頭へと向けた。
「待ってて……今行くから、ね」
ねえ、ずっと一緒にいようねって―いつも言ってたもんね。
私の人差し指に、躊躇いは無かった。
また、向こうで幸せになろうね―……?
―乾いた銃声とともに、私の視界は暗転した。
END
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