部屋の隅で飼っていた、小鳥が死んだ。


昨日、漸くてのひらから直接餌を食べるようになったのに。

さて、冷たくなったこの子をどうしようかと家具の少ない部屋を見渡すとデッキの上の空っぽの水槽が目についた。小石とヒーターが底に転がっていて、どうやってもアクアリウムには見えない水槽だ。そういえば熱帯魚が死んだのはどのくらい前だっけ。

両手で小鳥を包み込むようにしてベランダに出た。足元の干乾びた鉢植えを隅に避けて、爪先にぶつかる金魚鉢やゲージを煩わしく感じながら、手すりに肘をついて空を見た。

「マスター」

部屋の中から、ミクの声が聞こえた。

カナリアの声に似ていた。


手の中で動かない小鳥を空へ放って、空っぽの入れ物をがしゃがしゃと蹴飛ばしながら部屋へ戻った。低く音をたてるパソコンの前にぽつんとミクは座っていた。はやくはやくと手招きするたび、ツインテールがゆらゆらと揺れた。

「マスター、今日はなにを歌うの?」

無邪気に笑うミクをみて、ふと、明日で7日目かと思った。


(君の首筋が白くみえた。)

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ワンルームループ

梅雨の憂鬱に負けた、と思われる。

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投稿日:2009/07/03 21:24:21

文字数:460文字

カテゴリ:小説

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