麗しき乙女は今日(こんにち)も前だけ見て走る
ああ後ろから焦げてしまいそうなほど熱視線を送る僕など見ていない
乙女は今日も大変ご多忙でございます

ちょっとだけ 少しだけ
振り返ってはくれないだろうか
意中の人の背中だけでは満足出来ぬ愚か者でして…
否、乙女の御背中も大変愛らしくございます

走れよ乙女
ぴょんと小石を飛び越える姿さえ素敵です
ですが待たれよ
僕まで飛び越えてしまうのは如何な物かと
「一度僕に躓いてはみませぬか」
…とか、言えるわけがねぇ！

「麗しき乙女よこんにちは」空想では完璧
ああ可愛らしい笑顔を向けて欲しい そう思ってしまう僕は贅沢ですか？
乙女は今日も大変ご多忙でございます

ちょっとだけ 少しだけ
振り返ってはくれないだろうか
意中の人の背中だけでは満足出来ぬ愚か者でして…
否、乙女の御背中も大変愛らしくございます

恋せよ少年
ひょいと乙女に右足をさり気なく出してみろ
ですが神様
乙女はそれほどでは止まる気配もありません
「僕というゴールテープを切ってはみませぬか」
…とか、言えるわけもねぇ！