人の一生は不思議なものだ。生まれた時は明日に希望を燃やしていた。生粋の夢見人だった。だが、やがて、今にしがみ付くことを生業とし始める。生い立ちを嘆き、生憎の平生を耐え忍ぶように過ごし始める。
人は不思議なものだ。生きているのに生きようとしない。芝生が刈り取られて初めて生命であったことを思い出すように、生垣が生え育った葉を切り落とされて初めて生命であったことを思い出すように、自分の大切なものを切り落とされて初めて、生きることを決意する。
愚かだ。実に愚かだ。近代の偉人ジャンジャック・ルソーがそれを「第二の誕生」と呼んでいるように、人のその愚かさは、神に約束された愚かさなのかもしれない。だが、愚かな期間があるからこそ、輝く時期もまたあるのではないか、私はそのように思う。
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