ひとつ、
拾った果実を残さず食べること
蜜の一滴も零さないこと。
甘味の奥の奥の奥の奥まで
乞食のように貪ること
貪欲に執着
精巧に劣等
周到に嫉妬
あまりに醜悪な優良
眼孔に空洞
口頭に欠損
心臓に鉛筒
覗き込んだ
愛を謳った今日が揺らいだ
鮮明な空は崩れ落ち消えた
まるでそんなような
夢から覚めた夢
雑踏の皆々今日も変わりなく
所詮乞食の理想願望故
どうか私など捨て置いて下さいませ。
犯した過ちは改めること
過去を無きものにはしないこと
昔の線上に今があること
惨めなさまを忘れないこと。
忘却は逃亡
休息は有用
拘束は相応
於いては迅速な対応
寝室は坑口
教室は戦場
病室は想像
縛られてた
足枷の外れる音が聞こえた
軽くなった足が枯れ落ちて消えた
蝕む全てが次の瞬間に
目覚め起こしてくれたならと
雑踏の皆々今日も変わりなく
所詮乞食の独り言故
どうか私の
ひそめた声に
気づいて下さいませ。
世界は きれいだ
馬鹿みたいだ
愛も夢も 知ったふりをして
無邪気に理想を信じている
本当はすべて、そんなきれいじゃないと
知っている
道端に小さな花を見つけた
今に羽化する蝶を見つけた
ささやかな世界のほんの少しを
この手で拾ってしまおうなんて
雑踏の皆々今日も変わりなく
所詮汚い乞食の私も
お前らのように馬鹿を見ている
どうか私など捨て置いて下さいませ。
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