[5月28日(土)]
一週間分の食料が尽きそうなので、モモと二人で例のモールへと出かけた。
土曜に授業入れとかなくて本当良かった。
モ「……聞いてます?」
俺「あ、ごめん。聞いてなかった。もっかいお願い。」
しまった。ウキウキしすぎて聞いてなかった。
モ「何も言ってませんけど……上の空でしたよ?」
何かお困りですか?と心配そうに上目遣いで尋ねてくる。
やばい。今俺最高に幸せだ。
俺「なんでもねーよ。ほら荷物貸せって。」
モ「構いませんよ。腕力には自信ありますから。」
友人の協力のもと、人工筋肉を最も有効に使える接続をしたからね。
ってゆーか、俺の友人何者?
買物袋を奪い合っていると、アパートの前辺りででっかいリボンがうろうろしてるのが目に入った。
いやな予感しかしねえ。あのでかリボン。
俺「こっちだ。」
モ「え?」
俺は買物袋からモモの手へと握り替え、アパートへ向かう一画前で曲がろうとした。
その時。
?「あ、お兄ちゃん見つけた♪」
はい終わった。体が一瞬で硬直した。
恐る恐る後ろを振り返る。
そこにいたのは金髪のでかリボン。もはやうさみみでかリボン。
このリボン、意志があるかのように跳ねるしね。
って、それどころじゃない。
こいつ振り向いた瞬間首筋に抱きついてきやがった。迷惑なことこの上ねえ。
?「三時間も待ってたのに、どこ行ってたの?」
俺「嘘つくな。出かけたのは一時間ちょっと前だ。重い。離れろ。」
?「あー!レディに向かって重いって言ったー!」
俺「どこがレディだ!うっすい胸でよく言ったもんだぜ。」
モ「……あの、胸が大きくないと、レディとはみなされませんか?」
モモの一言によって、場の流れが変わった。
?「あ、お兄ちゃんメイドロボ買ったの?」
俺「違ーよ。造ったの。ってゆーか挨拶くらいしろ。」
リ「あ、そっか。はじめまして。凛っていいます。リンとかフォーラスってよんでね♪」
モ「はじめまして。桃音モモと申します。」
モモはしばらくう~んと考えて、
モ「フォーラスってもしかしてリンの英語名の『フォスフォラス』のことですか?」
リ「うわぁ、お姉ちゃんすごい!まさにそのとーり!」
俺「お姉ちゃんっておま…」
モ「構いませんよ。」
ふふふっ、とお姉さんらしく笑う。
ここは外なので、とりあえず部屋へ帰ることにした。
******
俺「で、お前何しに来たの?」
リ「お兄ちゃんに会いに来たの?」
俺「それぐらいわかっとるわ!」
リ「お兄ちゃんとの愛を確かめに来たの?」
俺「帰れ。」
モモはお茶を淹れて居間へ来る。
モ「リンちゃんはお兄ちゃんとラブラブなんですね。」
リ「そうなの!んもう、お兄ちゃんったら照れちゃって。」
俺「そろそろ本当の理由を教えてくれ。」
いやまあだいたい予想はつくけどな。
リ「お父さんとお母さんは、二人でお出かけしました。一泊で。」
やっぱそうか。リンがここに来るときっていっつもそうだもんな。
モ「お二人はラブラブなんですね。」
リ「だからリンもお兄ちゃんとラブラブしに来るの。」
実際、家には誰もいなくなるので、俺のこの部屋が格好の避難所となる。
下手するとあの両親(バカップル)は月曜まで帰ってこないこともあるので、中二の妹(こいつ)のことが心配っちゃ心配だ。
ちなみに弟も一人いるが、あいつは寮付きの私立に行った。
モ「じゃあ、今日のご飯は特別なものにしましょうか。」
うわ、その提案いらねぇ。見ろよ、ほら。
リ「うわーい、やったぁ☆」
本当に中二か?っていうくらい幼い反応しないでくれ。頼むから。
つっても成績は学年でトップらしいから侮れねえ。
俺「あ、お前今日はモモと寝てもらうぞ。」
リ「?どゆこと?」
俺「俺はベッドで寝るけど、お前はここで雑魚寝ってこと。」
リ「なんで?!いつもどーリでいーじゃん。」
俺「お前その歳で同じベッドで寝れるか!」
モ「あの……聞き捨てならないのですが。」
俺「何が?」
モ「つまりですね。お二人は今まで同じ布団で寝てたってことですよね。」
俺「ああそうだ。暑っ苦しいんだよ。」
モ「密着して?」
俺「密着もいいとこだ。しかも腕にしがみついてくるから寝返りも打てん。」
モ「一晩中?」
リ「そーだよ☆」
あは、と無邪気に笑うリンに対し、モモは一つ質問するごとに黒いオーラを増幅させている。
今気付いた。これってもしかして……。
モ「絶っっっ対ダメです!いくら兄弟でも限度があります!」
リ「大丈夫だよ。寝るだけだし。」
モ「寝るだけでもダメです!私は許可しません。お年頃の女の子が男性と寝るなんて……」
リ「お友達で寝てる人いるよ?」
モ「マスターが嫌がってるじゃないですか。」
リ「ちえー。」
よかった。助け船が出た。さすがはマイメイド。
とはいえ、どちらかと言えば本人(モモ)が嫌だったからだよね、今の。
そこまで否定されると少しフクザツ。
俺「ということでそうしてくれ。今年で中二だろ?お姉さんなんだから一人で寝れるようになれ。」
リ「一人は怖い。トイレ行けない。」
モ「そのために私がいるんですよ。安心してください。」
リ「そだね。一緒に寝よ♪」
モ「私に睡眠という概念はありませんが……お供しますよ。」
やれやれ。平和平和。
モモの木成長日記:一曲目「リンリンシグナル」1/3
一話があまりに長いため三分割させていただきました。
以降もこうなるかと……
さて、タイトル通りこの曲は「リンリンシグナル」(Hiroaki Arai様 http://piapro.jp/t/1RA3)のコラージュです。
本作はこの曲とは全くの無関係であることをここに記します(2/3,3/3も同様)
しかも曲に関する部分は3/3にしかないというww
でわ。
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