こんにちは!高橋一大です。
静かな波の音が聞こえる古いアトリエの片隅で、青い泥から形作られた一頭の小さなクジラの置物を見つめています。その背中には、滑らかな釉薬が不均一に施され、まるで冷たい夜空から降り注ぐ光を静かに飲み込んで閉じ込めているかのようです。
私たちが毎日過ごしているこの世界は、息が詰まるほどの眩しい光と膨大な言葉で溢れ返っています。しかし、そこからそっと身を引いて耳を澄ませてみると、誰も気づかない世界の世界線がひっそりと揺れていることに気づきます。それは誰かが置き忘れた溜め息の欠片であり、決して届くことのない静かな祈りです。
レンズを通して被写体と向き合うとき、私はいつもこの陶器のクジラと一緒に、深い海の底へと沈んでいくような感覚になります。そこでは意味や理屈がすべて削ぎ落とされ、ただ光の影と冷たい質感だけが静かに漂っています。
例えば、枯れ果てた冬の街路樹の枝先に結ばれた、一筋の透明な氷の糸を見つめてみてください。太陽の光を浴びて一瞬だけ妖しく輝き、次の瞬間には溶けて跡形もなく消えてしまう。そんな誰にも知られないまま消えていくものの中にこそ、世界の最も深い秘密が隠されている気がしてなりません。
物語や音を作り出す行為は、そうした儚い歪みをそっと指先ですくい上げ、二度と解けない魔法のように新しい生命を吹き込む作業なのかもしれません。形のない寂しさや、名前をつけることの administrative できない歪んだ感情。
光が眩しければ眩しいほど、その足元に広がる陰影はより深く、そして恐ろしいほどに美しく佇み始めます。整えられた綺麗な表現よりも、どこか壊れてしまった欠陥の中にこそ、私たちの心を深く刺して抜けない鋭い刃のような美が宿るのです。
見慣れた日常のすぐ裏側には、まだ誰の手にも触れられていない静かな深海が広がっています。その場所へ足を踏み入れるとき、私たちは自分自身の中に眠る、本当の言葉を見つけ出すことができるはずです。
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