もう、何もかも嫌になる前に……
ホントノ愛ヲクダサ……


「ほんと、初音さんってすごいよねー」

期待しないでよ。
美化しないでよ。
私はそんな人間じゃないのに。
だれも本当の「私」を見てくれる人が、いない。

「そんな事、ないよ……」

私は演技するので必死なの……
苦しくて辛い。
「優等生」という名の「鎖」は、いつまでもがんじがらめに私の自由を吸い取る。
私は……今日返された、少し下がった…それでも普通の親なら喜んでくれる点数の書かれたテストを、気付かれないように握り締めた。
破り捨てたい。
誰も居ない放課後に、こんなテスト丸めてゴミ箱に捨てれば、それはとても簡単なことなんだろう。
でも……そんなこと、できない。
私の評価。美化されすぎた……評価。
私は、皆の目から見れば優等生で良い子。でも、本当の私は……どうなの?
私は、そんな評価がされたいわけじゃない。男子の私を舐め回すような視線も、女子からの羨望の眼差しも、大嫌いだ。
皆学校での「初音ミク」しか見ていない。「私」を見てくれない。そんな世界で生きることなんて苦痛だ。
皆からの「期待」が重くて。
「もう、なんでアンタって子はこんな点数しか取れないの!」
パシン。
頬を叩く乾いた音が、無音のリビングに痛々しく響く。
それは私の耳に突き刺さる。
お母さんも……お父さんも……
私はそんなに良い子じゃないのに。
期待を超えれなかったテストなんて、親にとってはゴミも同然だ。
そして、期待を超えられない度、体も心も傷が増えていく。

振り向けば、私は親の期待の為に数々の物を捨ててきた。
友達や、夢。
自由を奪われて…生きる?どうして?

ココロを鎖で縛られた、あやつり人形。
辞書の中の「自由」という言葉に斜線を引かれた私。
私は、両親の装飾品……
もっと、輝けと私を美化する。

私は、誰の為に生きているのでしょうか。
時々そう、問いたくなる。
私の生きる価値は、意味は、何?
私はただ親に動かされているだけのあやつり人形。
まだ……生きている理由が「ジブン」と言えないままで。

だから、もう何もかも嫌になる前に……
ホントノ愛ヲクダサイ……

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

鎖の少女 1

自分の表だけの評価に悩む優等生の心情…
かなり難しいですね…orz
このヘボ小説で少しでも心情が読者様に伝わっていらっしゃれば、光栄です。

閲覧数:927

投稿日:2010/02/27 18:39:30

文字数:908文字

カテゴリ:小説

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