消えかかる 谺の余韻に咲く
透けた日陰の花 月白に融けた
ここは 暗くて
誰もいないと思ってた
どこも 黒くて
なにも 無いと ごちた
開いているはずの目蓋が
まつげ触れ合わせ震えた
光もないはずなのに何かを見た
嗚呼 体の真ん中から
湧き出る泉とまらなくて
溢れた生まれたての水がそれに触れた
生まれ震える 衝動のサインに聴く
欠けた 卵の殻 鳥の子色してた
産声連れる 鼓動音韻温(ぬく)く
濡れた 柔肌 曙色
そこは 寒くて
誰も来ないと眠ってた
どこも 痛くて
いつも 涙 おちた
色はない筈のわたしが
素肌触れ合わせ震えた
光もないはずなのにだれかをみた
嗚呼 こころの真ん中から
ひろがる波紋果てはなくて
こぼれた生まれたての音が端に触れた
濡れて潤う 俄雨の余韻に聴く
裂けた 雲間から 空 薄縹色してた
琥珀を連れる 視線交錯緩く
透けた 掌 紅緋色
青藍に落ちるとばりから
金色(こんじき)のあられが降る
千歳緑の隙間から 踊る角隠し
支子の尾が揺れる白無垢を追いかけて
ここから 飛び出した
顧みる 谺の余韻に解く
透けた日陰の花 白磁に融けた
地を強く蹴った身体は
朱(あけ)の西日に向かう
白銀の龍になる
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参考文献
日本の伝統色 和色大辞典
http://www.colordic.org/w/
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