ミク視点

「ふむふむ・・・全員、所々ミク達に似ているわ、ユア、この台に、そこの男の子を、寝かせてくれない?」
ミリさんが、ユアさんに言う。
「わかりました。でも、この子達、どうするんですか?」
ユアさんの問いに、ミリさんは
「・・・・、ユアが、決めて。私には、決める事が出来ない」
「・・・。分かった!なら、この子達はミクちゃん達と同じ所に居させる!」
「私達と・・・同じ所?」
「うん!ミクちゃん達は、VOCALOIDの使命の歌うって事をしてるから、この子達もVOCALOIDだから、歌うの、この子達も、ちゃんと歌えるって!歌えなくても、此処に居させるの。この子達の居場所を、此処にするの」
ユアさんの話を聞いていたミリさんは、頷いて。
「分かった。そうするわ。居場所。それは大切なモノだからね」
居場所。それが此処。それは私も同じなのだろう。
台に横たわる男の子に、私は、思わず一緒に居たい。と思った。
理由も何も自分でも分からない。本能的に思ったのだ。
「ミクちゃん、その子に恋したの?」
「ふえふえふえふえふえふえふ!?!?!?ななななに言ってるの!?ユアさん!」
突然のユアさんの言葉に私の思考は思わずショートを起こし、言葉が不自然になってしまった。
「えー、違うの?ミクちゃんがその子に見とれてたから、ついそうなのかと思って」
「み、見とれてたのは認めるけど、恋とか、そういうのじゃないから」
まあ、でも・・・かっこいいかも・・・。
と思ってしまったのは本当で、それが恋なのかは違うと思うけれど。
「とりあえず、私は、セリー・ミオエインを追う事にすわ。彼女は、やってはいけない事を犯そうとしている。そもそも、同じVOCALOIDを作ろうなんて、無駄な事なのだから」
それには、私も賛成だった。
"私"という意思は一つしかないのだから、同じ物を作るのは無駄な事。彼女は、その無駄な事をしているのだから。

なのに、それから何年も経った今も、彼女は、行方不明になって見付からなかった。
大量の亜種を残し、何処かへ行ってしまった。
その結果が、これである。

でも、私達は知りもしなかった。
彼女が、彼等の仲間になり、悪事を働いていた事を。

「クオ君。クオ君!」
クオ君は、数年前、悪UTAUに壊されたのだ。
そして、なのに。此処に、彼は居る。
何だって良い。彼が此処に居れば、私は幸せなのだから。
「ちょ・・・・ミク・・・・苦しい」
「あ、ごめん」
ちょっと、クオ君を強く抱き締め過ぎたらしい。
「まあ、いいよ。ミク。ただいまな」
「もう!クオ君ったら!」
その時、誰かが部屋に入ってきた。
「あのー、いちゃいちゃしてるとこ、悪いんだけどさ、ユアさんから呼び出しなんだけど、二人とも」
「あ、ネルちゃん。ごめんごめん、ユアさんから呼び出し?」
「うん、クオも戻ってきたところだし、向こう側も何か動き出すかもしれないってさ」
ネルちゃんは、クオ君と一緒に来た、私の亜種。
まあ、亜種って言っても、やっぱ私とは色々違うわけだし。友達って感じかな?
そして、私はクオ君とネルちゃんと一緒に、ユアさんのもとへ行く事にした。

「あ、ミク。それと、クオも、お帰り」
部屋に入ると、ユアさんが居て、そして、いきなりユアさんは、こう言った。
「クオ、貴方は、悪UTAUに狙われているわよ」
「!?」
突然の事で、私もクオ君もネルちゃんも驚いた。
「どういう事!?ユアさん。それって」
「言葉通りって事・・・。まさか、彼女が、悪UTAU側についていたとはね」
「彼女って・・・まさか・・・」
「そう。セリー・ミオエインが、悪UTAUの仲間になっているの」

セリー・ミオエイン!その憎らしき名前。
特に、ネルちゃんやクオ君は、彼女の事を、恨み、憎んでいる。
「成る程、これで辻褄があったという事。私、悪UTAUの話を、テイとテトに聞いたわ。というか、催眠術で記憶を探っただけなんだけどね」
「催眠術使える人っていたっけ・・・?」
「まあ、其処は置いといて、で、分かったのよ、前にクオを大破させた時に、【これで、彼女の言うとおりにはした】って、ルコが言ってたらしい」
「じゃあ、もうその時には・・」
「セリーは、悪UTAU側についていたんだ」
「そして、悪UTAUのオリジナル以外のものが出る様になったのも、その時期」
「じゃあ、偽者はセリーが作った物だったんだ」
これで、分かった。
セリー・ミオエインを捕まえる。
悪UTAUと戦う目的が増えたのだ。
絶対に、勝って見せる。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

歌姫戦士ボカロボット第17話

ひさびっさ。
次回予告
クオ「セリー・ミオエインの行動は何が原理なのかは分からない。何をしようってんだ。もう、あいつらの好きにはさせない!次回「夢と夢の交差」悪UTAUに加担する理由なんて、無いはずなのに」

閲覧数:49

投稿日:2011/08/20 13:03:09

文字数:1,885文字

カテゴリ:小説

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