「え・・・」
一瞬、思考がショートする。
グモは、私に・・・私に、何をしたの?
「・・・隙だらけ、ですね」
「!?」
我に返って、グモに文句をつけようとする頃にはもう、グモは保健室から居なくなっていた。
「あ・・・いつ!」
また私にあんな事しやがってーーー!!
ここまできたら、『私にあんな事するなんて・・・ひどい!』なんて乙女チックな考えなんて思い浮かばない。
私は!何回!関係のない男にちゅーされたり襲われたりしてんのよ!!
「隙だらけ・・・か」
確かにその通りかもしれない。
(ここに居ても意味無いし・・・教室戻ろうかな)
そう思い、保健室のドアに手をかける。
「!?」
「ルカ!?」
突然、保健室のドアが開いた。
「あ、レンか~。びっくりした」
「いや、ルカ教室来ないし・・・どうしたんだろうなって。具合でも悪いの?」
「ううん。ちょっとケガ人の手当てを・・・」
ケガ人・・・
あいつの顔を思い出すだけで、舌打ちしたい気持ちになる。
「じゃあ、教室戻ろうよ。なんか、転校生来たらしいよ」
「転校生?」
何で今の時期に・・・
「そ。噂によると、すげーイケメンだって。見たい?」
レンがいたずらっぽく言う。
「いや・・・微妙」
「ははッ」
レンは笑うと、思い出したように私に言った。
「あ!そうそう、ルカが居ない間、席替えしてさ。ルカの隣が、転校生の席だって」
「え~・・・なんか嫌。レンの隣は?」
「うん?あぁ、開音さん」
「あ、そんな人居たっけ・・・」
「ひでぇ!まぁ、あの人あんま学校来ないしね」
開音さんっていうのは、同じクラスの開音ミキさんの事。
通称miki。
開音さんは、小さい頃から芸能界に出ていて、今最も注目されているアイドル№1でテレビで見ない日はないくらい忙しい女子。
まぁ、学校には全然来ないけど。
「今日は開音さんも来てるよ」
「本当?珍しいわね」
「それより、早く教室戻ろうよ」
「あ、うん」
私達は、教室に戻った。
「お前最近遅刻多いぞー巡音」
「はい、すみません」
担任の注意を軽く流し、席に着いた。
「今日は転校生を紹介します。初音、入りなさい」
「・・・ふわーい」
眠たそうな声を発しながら転校生が出てきた後、教室にざわめきが起こった。
「かっこいいー!」
「え、あの人もしかして・・・」
「あのクオ!?」
『あの』?
「転校生の初音クオでーす。ついでに初音ミクとはイトコでーす。仕事忙しくてなかなか来られないかもしんないけどよろしくお願いしまーす」
「ちょっ・・・」
初音さんは、少し怒ったような表情を見せた。
「じゃあ、初音は巡音の隣な」
「はーい」
初音クオは、私の隣に座った。
横顔を、じっと見つめる。
『あの』って、どういう意味だ?
「・・・何スか」
「え!?あ、ううん。何でもない」
いきなり振り向かれて、思わず上ずった声になる。
「もしかしてルカ、クオ・・・いや、初音さんの事知らないの?」
私の斜め後ろはレンだったらしい。
「え?転校生さん・・・ですよね?」
「ほんとに何も知らないのかよ!?クオっつったら今最も注目されているアーティストのクオだろ!?」
「え、そ、そうなの?」
何となく、テレビで見たことがあるような気がしないでもない。
「巡音さん、何も知らないんだね・・・」
後ろの席の開音さんも、何も知らない私をドン引きした目で見ている。
「あははー巡音さんだっけ?面白いねー。いや、俺の事知らないのが面白いんじゃなくてさ。遠慮がないって言うか・・・うん、ごめん、泣いてなんかッ・・・ないんだからねッ・・・」
クオは、顔を覆い、私たちに背を向けて泣いていた。
そりゃそうだろう。
自分が今最も注目されているアーティストなのに、それを知らない高校生の女子がいるなんて・・・
「ごめんなさい。私、世間知らずで・・・」
プライドも、傷ついちゃうよね・・・
「・・・そんな本気で謝られちゃったら、クオ困ると思うけど」
呼び捨てってことは、芸能人同士顔見知りなのかな?
開音さんが、私を白々とした眼で見る。
(じゃあどうすればいいのよッ・・・!)
つうか、なんでこの人私に反抗的なワケ!?
「ははっミキ、キツイわー。いつもはこんな子じゃないんだよ。許してあげてね」
「・・・別に、気にしてないし」
「初音さん、この人女王だから気にしなくていいよ」
「今それ関係ないでしょ!!」
「あ、マジー?」
もう・・・疲れる。
「巡音さん、下の名前は?」
「私?ルカだけど」
「ふぅーん・・・」
クオは、にこっと笑う。
「ルカ」
「何?」
一瞬にして、その笑顔は崩れる。
「え、何にも感じない?」
「何、名前で呼んだこと?別に巡音でもルカでも何でもいいよ」
「あ・・・そう?じゃあルカね」
「うん。じゃあクオって呼ぶね」
「え?何で?」
「初音さんだと、初音ミクさんなのか初音クオさんなのか分からなくなるでしょ?」
「あ、そっか。じゃあクオね。やっぱ、巡音さんって・・・」
クオは、さっきとは違う怪しい笑みを浮かべた。
「面白いね」
「?」
私の何が面白いんだろう・・・
「初音、授業始まる。ルカも」
「あ、うん・・・」
レンが、少し機嫌の悪そうな声を出す。
「クオ、そんなへらへらしないで」
「うぃーす」
開音さんも同じ。
なんか・・・
(波乱の予感・・・)
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ご意見・ご感想
華龍
ご意見・ご感想
お久しぶりです。
華龍です。覚えてらっしゃいますか??
なかなか、メッセを送る機会がなくて…でも、投稿作品は楽しく読んでます!!
ボカロ学園久しぶりですね~!!!今回凄く楽しかったです!!
ルカも色々な人に想われてるんですね^□^;がんばれ、ルカ!!!
クオが!!!クオが!!!登場してますよよよよ?!!!(落ち着け
ミクオじゃなくて、あえてクオなのが良い!!!><そして人気アーティストって所も!!
ああああ…クオの隣の席って良いな~****
ルカ、羨ましーぜ★★
2010/09/15 00:35:19
どーぱみんチキン
お久しぶりです?(´▽`*)!!
覚えてないわけ無いじゃないですか!ちゃんと覚えてますよ(´∀`*)
クオもミキも登場させてしまいましたよ?・・・こりゃ大変だぁ。+゜(つ3`o)゜+。
私もクオの隣の席なりたいです☆
2010/09/20 18:54:09
なんん
ご意見・ご感想
おひさしぶりです!
楽しみに待ってましたー!!
これからどうなるんですか!?
続き待ってます
2010/09/12 20:48:39
どーぱみんチキン
お久しぶりですー!!ふみゅです(´▽`*)
続き、明日には書ければいいな・・・と思ってますが、書けなかったらすみません(´・ω・`)
楽しみにしていてください!
2010/09/12 21:38:48